キンコーン、キンコーン、キンコーン。
今日、講義室で聞く、4回目の授業終了のベルが鳴った。
ロランは気だるげに体を起こし、スーツケースを持つ。
「帰ろうかな」
室内の電気を消すと、静かな室内に、夕日が窓から差し込んだ。
稜哉はベルが鳴ったと同時に荷物を片付ける。
(5時間目がやっと終わった)
昼休みが終わってから、稜哉はずっと上の空だった。
ロランのことを考えると、胸が痛い。
今まで、女の子同然の仕草をするロランを心のどこかでは軽蔑していた。
でも――。
『自分の安心する場所を求めているのよ』
稜哉はスーツケースをガラガラさせながら、にぎやかな教室を出た。
昼時の眩しい明るさとは打って変わって、薄暗い夕陽を背に、稜哉はキャンパス内を歩いていた。
6時近くだからか、風も涼しく、稜哉の脇を勢いよく通り抜ける。
宿舎の前まで来て、稜哉の足取りは止まった。
なんとなく部屋に戻るのが億劫だった。
(でもいつは戻らなきゃいけないし)
「よしっ」
小声でそう自分に活を入れると、目の前の自動扉を通った。
「ただいまー」
稜哉はやや暗い声でアコーディオンカーテンを引いた。
「あ、お帰り……なさい……。」
ロランはエプロン姿でクッキーを焼いているところだった。
稜哉を見ると、気まずそうに言う。
2人の間に、もやもやとした灰色の空気が漂った。
(何きゃ言わなきゃ)
「ねぇ、ロラン……」
「昨日は本当にごめんなさい!!」
ロランは突然、手に持っていた型やら小麦粉をテーブルに置くと、頭を下げた。
「ボク、稜クンが来てくれて、嬉しくて……調子に乗ってた。本当にごめんなさい。もう、あんなこと2度としないから、だから……、また仲良くしてください!」
必死になって謝るロランに、稜哉はもちろん怒りの感情は湧かなかった。
「またさ、4人でメルヘンにでも行こうよ」
稜哉の柔和な表情に、ロランは安心したようにふにゃっと笑った。
「ボク、クッキー焼いているんだけど、食べる?」
「それじゃあ、1枚もらおっかな」
次回更新日は3月23日(火)の予定です
(貯めていた分が無くなってしまった(汗)
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