「ロランの家族を殺した2人の犯人は3日後に捕まったわ。彼らはロランの家にある宝石目的であの日に盗みに入ったらしいの。家に忍び込んだときには3人とも出かけていて居なかったそうよ。でも2階を探っていたとき、3人は運悪く帰ってきてしまった。しばらく様子を見ていた2人だったけれど、2階に上がって来たローザに見つかって、最終的には……」
ジャスティンの言葉が涙で途切れた。
稜哉はただただ、黙って話を聞いていた。
心の奥のどす黒い炎はいつの間にか消え去り、言い知れぬ辛さが押し寄せてきていた。
自分は母さんを殺されている。
けれど自分には、母さんとの記憶はまったく無い。
物心ついたときから母さんは居なかったから……。
だからアーサーから母さんの話を聞いたとき、どこか人事めいた感情がわいた。
すごく悲しい、とは思わなかった。
稜哉は思った。
つながりがあったからこそ、それを突然、なんの予兆も無く断ち切られたときの悲しみは、経験の無いものには計り知れない、と。
つながりがあるから、あったからこそつらいんだ。
「ロランはロズリーヌに引き取られて、彼女の元で育てられることになったの。でも彼に異変が起きはじめた」
「異変?」
「そう。異変。今まで見向きもしなかったぬいぐるみを、常日頃から抱えるようになったり、ローザの持っていたスカートやワンピースを着始めたり。逆にあれだけ好きだった電車にはまったく興味を示さなくなったり」
太陽が屋上の2人をやんわりと照らす。
陽射しは、優しかった。
「ロランのそんな行動は、どんどんエスカレートして行ったの。好んで女子と遊ぶようになって、持ち物もピンクが多くなって……。彼の机の上のくまのぬいぐるみを知ってる?あれを取り上げると、彼は今でも泣いてしまうの。まるで小さな女の子みたいに。でもきっと彼は、どこかに自分の安心する場所を作っておきたかったんだと私は思うの。」
稜哉は初めてロランの部屋に入ったときにみたぬいぐるみを思い出した。
机の上にあった、くまのぬいぐるみを。
そしてあの時に感じた安心感に、はっとした。
あの部屋に入ったとき、不思議と安心したのは当然だったんだ。
だって、あの部屋の住人が安心感を求めて作り上げた空間なのだから。
隠れ里に来たばかりという不安感を持って部屋に入った自分が、心なしか落ちつけたのは当然だった……!
「ロズリーヌはロランが4年生のときに病気で亡くなったわ。それ以来、本当にロランは独りぼっちになってしまった。ロランの"女の子らしさ"は、彼が今までもがいてきた孤独や不安から逃れられる、唯一の方法なのよ。だから稜哉君、ロランを見捨てないで。私は彼の心に安心感を分けてあげることはできなかった。でも稜哉君、あなたなら……!お願い。ロランのそばにずっといてあげて」
ジャスティンは頭を下げた。
稜哉は呆然とその場に立っていた。
「ジャスティン、頭を、上げてよ」
赤紫色の髪が、涙でぬれたジャスティンの頬にくっつく。
「ジャスティンは、ロランのことが……?」
稜哉はあえて終わりまで言わなかった。
それでも、聞きたいことは伝わった。
「昔……。今も、大切な友だち……」
ジャスティンの言葉に稜哉は黙ってうなずいた。
今日は気温が20度だとか。
あったかくなりましたねヽ(*’∀’*)/
200文字小説に挑戦してみました!!
"最後の学年通信"
テーマは"卒業"ですw
ぜひどうぞww
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