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第2章
第40話 消せぬ記憶
(ボクはきっと死ぬまであの日を忘れることは無いだろう)

赤く燃える落ち葉が舞う中、何人かが遠くではしゃいでいるのを、ロランはガラス窓越しに見た。


  ――     ――     ――

「ロラン、そんなに急がなくても、ママたちはロランを待っていますよ」
「でも早く帰らなきゃ、おばあちゃん。だって昨日約束したんだ。帰ったらママがケーキを買って待ってるって。」

5歳のロランは小さなリュックサックをカサカサいわせながら紅葉した葉の舞う帰り道を走った。

(ママがボクの大好きなショートケーキ買って待ってるんだ。パパだってきっと汽車を買ってくれているんだ。何の汽車かな。FRASH700系だといいな)

木漏れ日の美しい森の中に、ロランの家はあった。

ピンポーン。
 
息せき切って呼び鈴を鳴らす。

(今にお姉ちゃんが出てくるんだ。「ロランが帰ってきたよー」って)

ピンポーン。

ドアは()かない。

ピンポーン。

(まだ用意できてないのかな)

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン……。

何度鳴らしても、反応は無かった。

「どうしたの?ロラン」

後から来ていたロランの祖母、ロズリーヌが追いついた。

「だれもでないの。」

ロランが心細そうに答える。

「どれどれ」

ガチャ。

ロズリーヌがまわしたドアノブは、簡単にまわった。

「あら、開いているじゃない。鍵を閉めないなんて、無用心ね。」

そう言ってドアを開けたとき、2人はその場に立ち尽くした。

床や靴箱に飛び散った血しぶき。
廊下に溜まった、赤い水溜りの上に倒れている男。

「パパァッ!」

ロランは靴も脱がず、父、オーレリーのそばに駆け寄る。

「オーレリーッ!」

ロズリーヌも慌てて家の中に入る。
そうしてロズリーヌはこの家に何が起こったかを理解した。

階段のそばで、衣服をグチャグチャにし、肌を真っ赤にして倒れているロランの姉、ローザ。
いかにも何者かに荒らされた形跡の残るリビング。
そしてキッチンには……

「ママァッ!!」

テーブルに出されたケーキの前で、ロランの母、セシルは虫の息をしていた。

「ママァッ!!」

ロランが涙で顔をぐしゃぐしゃにして駆け寄る。

「……あ……ロ……ラン……。おか……えり……。ケ……キ……かってお……いた……わよ……」

そこまで言うとセシルは弱々しく笑って言った。

「ロ……ラン……、おたん……じょう……び……おめで……とう……。」
「ママァァァァッッッ!!」

セシルの体から力が抜け、ロランの手を握っていたてがふわりと床におちる。

「……ぅぅぅぅうあああああああぁああ……!!」

今や家中が真っ赤になっているのに、異常なほど真っ白いショートケーキの前で、ロランは嗚咽を漏らして泣き続けた――。

  ――    ――    ――


ちょっと重かったかなぁ……(汗)
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