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第2章
第33話 愛夫料理
「ただいまー。」

稜哉が帰ってきたとき、時計はとうに9時をまわっていた。

「お帰りー」

ロランはピンクのふりふりのエプロンにやっぱりピンクのバンダナをつけてキッチンにいた。

「何、してるの?そんな格好で」
「ん?フルーチェ作ってるの。ブドウの。稜クンも食べる?」

ロランの手元のボールの中にはブドウが山ほど入っていた。

「ありがと。でもその前にご飯食べるよ。」
「そう?じゃ、ちょっと待っててね。」

ロランは冷蔵庫をガサガサやり、電子レンジでなにやら温め始めた。

「あ、稜クンは座っててよ。」


それから5分経過――。


「さあ、どうぞ。召し上がれ。」

テーブルの上には良い匂いを漂わせた秋刀魚(さんま)、わかめの味噌汁、暖かそうに湯気の立つご飯、蓮根とにんじん、さやえんどうの煮物がすまし顔で並んでいた。

「これ、みんな1人で作ったの?」
「作ったと言えるのは煮物くらいだけどね。さ、食べてよ。」
「いただきます。」

さっそく、蓮根を一口、食べてみた。

「……おいしい」
「ほんとに?」
「うん。すごくおいしいよ。」

実際、ロランの料理はどれもこれも本当に美味しかった。
懐かしいような、安心するような味に稜哉の心は弛緩(しかん)した。
そんな、ホッとした彼の表情を読み取ったのか、ロランは言った。

「さあ、ボクの愛夫料理で元気になーれ。腕によりをかけて作ったんだよ。」
「アイフ料理?」
「愛妻料理の夫バージョン」

得意げに言うロランをみて思わず口元が緩む。

「いや、僕、妻になった覚えないけど?」
「まぁまぁ、そんな難い事は言わないの。明日からボクが毎日幸せなご飯、作るからね。」
「……。」

ロランは意味ありげな笑みを稜哉にしっかりと投げかけ、キッチンに消えていった。

(ジャスティンも料理をするんだろうか?)

稜哉はジャスティンはどんなご飯を作るんだろう、とか何がすきなんだろう、とか、いつの間にかジャスティンのことを考えているのに気づき、あわててそれを消し去る。

(何やってんだ、僕は。)

今、自分が食べているご飯をみて思った。

(僕はこんな立派な料理、作れない……。)

なんだか自分が情けなく思えた。
やっとやっと憎き試験が終わりました!!
あ、英検2級、無事に受かりました!!
 
そして第34話に続きます
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