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第2章
第23話 ロラン・アルベール
人との出会いはいつも偶然……神様のいたずらから始まる。

「いらっしゃーい。」

稜哉がドアを開けると、部屋の奥から明るい声が聞こえ、長い金髪をふわふわさせた少女――いや少年が現れた。

「キャー!!ちょーかわいいっ!君がレストレンジ君?」

透き通ったように白い肌、パッチリ二重にピンクのアイシャドウをいれ、唇にはグロス、ほのかに甘い香りを漂わせる見の前の少年は稜哉と同じ制服を着ていなければ間違いなく"超"がつく美少女だった。

「あ、うん。えっとロラン・アンベール君?」
「ボクのことはロランでいいよ。それより、さ、中入って入って。スーツケースは持つよ。」

ロランはニコッと笑いかけると稜哉の手をつかんで部屋の奥に連れて行く。

「昨日の夜にね、デネブのお告げがあったの。明日、ボクの部屋に新しいコが入ってくるって。それでね、楽しみにしてたんだ。そしたらさっきフロントから君がくるって電話が来て。」

声を弾ませながら話すロランに稜哉はただ「はぁ」「へー」としか言えなかった。

だいたいこの人は何でこんな女の子っぽいんだ?

「とりあえず荷物はここ置くね。今、紅茶持ってくるよ。そこ座っていいよ。」

ロランは部屋の片隅に稜哉のスーツケースを置くとそういい残してキッチンに消えていく。
稜哉は丸いテーブルの周りのいす1つに座るとあたりを見回した。
ハート柄のアコーディオンカーテン、机に飾られているくまのぬいぐるみ、TVの上に置かれている天使のオルゴール。
まるで女の子の部屋に招待されたみたいだ、と稜哉は思った。
いや、もしかしたら女の子の部屋よりも女らしいかもしれない。
優しいアロマの香が周りをゆっくりと泳ぐその空間は、稜哉に不思議な安心感を与えた。

「ダージリンティーだよー。」

ロランはピンクのお盆にティーカップを2つと砂糖をのせて戻ってきた。

「レストレンジ君はクラスどこ?」
「稜でいいよ。僕はCクラス。実は今日から、ここに通うんだ。」
「転入生なんだ。ボクもねCクラスなの。だから同じクラスだね。いやー、でも稜クンが初めてだよ。」
「え?」
「ボクの部屋に入ってギョッとしなかったコ。みんな始めはビックリするんだ。『男のくせになんだこの部屋は!!』って。」

いや、僕だって十分ビックリですが。
この部屋は。

「ロランは、その……女の子っぽいものが好きなの?」
「うん!!かわいいものが大好きなの。」

あまりに素直に答えるロランに、稜哉は唖然とした。
悪い人ではなさそうだけど……オカマちゃんか?

ロランが持ってきた紅茶を1杯飲んだ。
とたんに甘いようでほろ苦い感触が広がる。

「美味しいね。この紅茶。」
「でしょう。ボク、いろんな紅茶を飲むのがすきなんだ。メルヘンのドリンクバーの紅茶は全種類飲んだし。そうだ、今夜一緒にメルヘン行かない?まだ行ったことないでしょ。」
「メルヘンって?」
「食堂だよ。バイキングなんだ。夜ご飯、一緒にそこで食べよっ。」

かわいく微笑むロランに稜哉は肯いた。

この子とは仲良くなれそうだな――。

不安だらけのポーグラントでの生活が、楽しく、スリリングなものに変わろうとしていた。
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