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第1章
第20話 あたたかい家族
「これでもう買うものはないわね。」

ポーグラント百貨店を出た6人は駅に向かって歩いていた。

「なんか、たくさん買ってもらってしまってすみません。」
「そんなこと気にしなくていいのよ。稜は家族なんだから。帰ったら学校の準備しましょうね。」

たった2日前に会ったばかりなのに、もうずっと前からこの人たちと暮らしている気がする……。
きっとそんな錯覚はポーグラント一家の暖かさからくるのかなぁ。
ふと稜哉は思った。

一人っ子で小さい頃から父親と2人きりで過ごしてきた稜哉にとって母親や兄妹がいるのはなんだか不思議な感じだった。
もちろん2人で暮らしてきた今までも楽しかったけれど、それとは違う……友だちが家に泊まりにきているような感覚だった。

Fanapone駅の改札を抜け、再び汽車にゆられて約1時間。
Timishora駅の改札を抜け、ガレンシア街をとおり、森林に囲まれた家に戻った。

「ポーグラントのことなんだけれど、ちょっと話したいことがあるの。」

ひと段落ついた稜哉にジェーンおばさんが話しかけた。

「なんでしょう?」

ガサガサと、テーブルにさっきもらってきた資料が広げられた。

「えっとね、まずはこれ。選択科目なんだけど、この中から選んで丸をつけて。」

差し出された手紙には

『選択科目 週4時間勉強する必修科目です。1~4から選んで丸をつけ、担任に提出してください。なお途中で変更はできません。
1.英語 2.ドイツ語 3.イタリア語 4.フランス語』

「俺はドイツ語を取ってるぜ。」

オリバーが横から覘いて言った。

「難しい?」
「そんなに難しくはない。英語ができれば文構造はだいたい同じだからね。」
「ふーん。ジョンは?」
「あいつはイタリア語を取ってる。楽しそうにやってるみたいだ。」
「イタリア語かぁ」

稜哉はイタリア語にも多少惹かれるものがあったが、結局英語にした。
なんだかんだで英語が苦手だった。

「次なんだけどね。」

稜哉から渡されたプリントを受け取ったおばさんは言った。

「ポーグラントには宿舎があるのよ。」
「宿舎!?」
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