お久しぶりです。乱調してますが投下します!!!
投稿してしばらくして猛烈に反省しますた。。。
やっぱり期間を開け過ぎると駄目ですね。
そして再度ちょっと付け足しました。
***
「やめておけ、その地域一帯は山岳民族が押さえていてな、獣の様な連中だ。奴等は自領がどこの国に属するとも我関せずとしてはいるが、攻め入られるのは気に入らないらしくてな、地の利を生かした斜面からの反撃は恐ろしい物があるのさ。まぁこちらが認めていれば大人しくしているし、あんな山岳など大した利用価値も無い。放っておけ。」
「流石は元北方遠征軍統括、流石は帝国北方領領主殿。」
「おいおい、嫌味か? まぁいい、言わせてやるさ。」
スカイラーが彼の顔の前で掌を振ると、アダムは投影機の電源を落とした。表示されていたのは現在ヴァローナが侵攻しつつある、ヴァローナとアルディアナ北方領土の国境付近一体であり、北方領土はそもそも彼の領地であったのだ。
侵攻を進める為にアダムは彼の客人であるスカイラーを呼び出していた。元自領が責められているというのにこの男は躊躇う事も無くすらすらと攻略の為の情報を…―例えば基地であったり編成部隊の特徴であったりを、アダムに事細かに伝えた。その把握の具合はアダムでも思わず目を見張るものがあった。それは彼が親の威光のみでのし上がった訳ではない、と言う事を暗に証明しており、アダムは気の毒になって軽く頭を振った。
「君はよくもまぁ、一度僕に裏切られておきながらおめおめとここに逃げ込んできたものだよ。普通ならば敬遠してしかるべきだと思うんだけどね。」
強引に推し進めたヴァローナ制裁に失敗したスカイラーは失脚し現在に至る、彼を失脚に追い落とした原因を作り出した当人であるアダムの元に身を寄せてきたのだ。アダムにとっては彼の存在など“オプション”には過ぎないが、何にせよ保険は多い方が良い(・・・・・・・・・)。彼は充分に有用だ。
「裏切りなどと……人と言う動物の性と言ってもいい。そう達すれば、なにアダム、貴様など可愛い物よ。」
スカイラーは粗雑だった以前と比べてやや達観したような物言いをするようになっていた。そういう態度も失意が産み出したのだろうか、とアダムは興味深く思いながら率直にそれを伝えて見た。
「ふむ、ある種達観したという訳か。」
「貴様こそ達観しているではないか。」
「ふふん、達観と言うのかなこれは。絶望じゃぁないかな?」
「それは俺へのあてつけか?」
「ご自由に。しかしながらスカイラー君、僕が君を受け入れたのを不自然とは捉えなかったのかい?」
「肉体を含めて、地位も名誉も財産も全てを失った俺には怖い物など有る筈も無かろう。貴様とてその境地は知り尽くしているのではないのか? 俺には少なくともそう見えるがな、こうなってから見えるものもまたあるのかと、そう思ったのだが。」
「そうか、君と最初に出会ったってからもう30年くらい経つのか。」
「俺が覚えているのは精々20年強だが、貴様の見た目は変わらんな。」
そう言ったスカイラーの瞳の中には暗い置き火のように静かに燃える憎悪がある。アダムはそれには答えなかった。たかが2、30年。なんて事は無い、と彼は思っている。そんな月日は彼にとってみれば一瞬の出来事でしかない。途方も無い様な時を刻んできたのだ。
「前々から聞いてみたかった事がある。」
スカイラーが言った。
「何なりと。」
「貴様があの女に執着する理由は何なんだ。」
「うん?」
意味が判らずに聞きアダムは聞き返した。
「腹を割れよ、あの女に対する行動は大凡貴様らしくも無い。アレはそもそも貴様のモノだったはずだが。親父の妄想の果てに産み出された研究成果なんだろう? アレが自然の者のはずもない、むしろ節理から外れた存在だ。それは解る、否分る様になったのだな。俺自身が死を否定し続けている。」
スカイラーが言うと、アダムは口元に笑みを浮かべた。しかし、それは凍てつくように冷たい物で、スカイラーは居心地の悪さを感じたのか、ごまかすように同じ様な笑みを浮かべた。アダムは暫く黙っていたが「そうだねぇ…―。」と呟き視線を落とすと徐に唇を開いた。
「……父親としての義務感ってところかなぁ?」
その言葉の響きはいかにも安っぽく他人を小馬鹿にしている。敢えてそういう言葉を投げつけたアダムに対して彼は片方の眉を跳ねあげて溜息混じりに言う。
「白々しいな。」
「ふふん。」
スカイラーは腕を組んで平らな視線を投げかけていた、アダムは鼻で笑いながらそんな彼に対してちょっと視線を彼に投げかける。その瞳が普段にない色を帯びて事に彼は気付かなかったようだ。だから、彼にはアダムがその次に紡いだ言葉すらも質の悪い冗談にしか聞こえなかったはずだ。
「僕はね、全知全能に仕える者を須らく従えてみたいだけさ。それは即ち創造主であり、それは即ち我々よりも高位次元にて生かされている物であり、選ばれたものであり…―何であれ……その資格があるはずなんだよ実際。」
「神などと、馬鹿馬鹿しいな。貴様にそういう思想があるとは知らなかったな。」
「何とでも言ってくれて構わないさ、ただそれについて君が言葉を紡げば紡ぐほどに君が愚かだと言う証拠になるだろう。君がどう思おうと、それらは既に決まり切った事としてとうの昔から競ってうされていた事なんだ。」
「貴様は神か?」
「全ては神のみぞ知る、さ。」
「白々しいな。」
「ふふ……。」
アダムは笑った。敢えて二度も言われたが、「白々しい」とはなんとも言い得て妙だと彼は思ったのだった。自分のやっている事は確かに白々しいのだ、そして回りくどい。
精神と肉体と智識は既に彼の中では混じり合い不可分の物となっている、その昔、神に選ばれた智識の化身は、この世界で淘汰した。滅びた神など全知全能では無かったという事だ、今彼は、彼の神の持っていた遍く全てを手に入れ、否、凌駕している。で、あるのならば彼ら(・・)を…―、再び存在をさせてやった、自分を追放した彼ら(・・)を従えるのも時間の問題なのだ。
未練がましく、器が機能を停止して尚、最果てのこの地まで隕石となり降り注いだ彼ら(・・)を、アダムは心底憎み、愛している。特に神の写し身であったあの女、あれは堪らなく良い。もう一度、あの光に遭いたいものだ、そうして存在次元をさらに一段階上部に移行する、彼ら(・・)はその為の鍵だ。
「誰もが白々しいんだよ、誰もが。」
この世界の営みの中で巡り流れる者は根底では繋がりあい補い合い、だから己の孤独など誰にも理解はされないのだろう。本当は、孤独を埋めたいのかもしれない、そうアダムは思った。本当に、白々しい。
スカイラーは自虐気味に笑っていた。その様が気の毒で、再びアダムは軽く頭を振った。
***
「何処へ行っていたんですか? ジェネラル・スカイラー・スペンサー?」
スカイラーが自室として宛がわれている部屋へ戻ると女が声をかけて来た。彼女は扉の前で直立して立っていた。室内だと言うのに銃を掲げ持っている。
「護衛など必要はないと思うのだがな。」
「そう言う訳にも参りません、これは命令です。」
「犬だな、お前等は。」
スカイラーの侮蔑に対して彼女は特に気にした様子は無かった。ただ眼光は鋭く、鋭い刃物に突き刺されたような気分になり彼は柔らかなソファーに深く腰を掛けた。
「あの二人は人間じゃぁないですね。」
女が不意にぽつりと漏らす。
「あの二人?」
スカイラーが尋ねると「幕僚長殿と皇王ですよ。」と事も無げに彼女は言った。
「何故そう思う?」
「匂いがしない、獣の……。」
「っは。本当に畜生だな貴様等サーペントは。」
「闘争が本能なのです私達は。」
「本能は信じよう、即ちお前の直感は全く正しいと俺は思うがな。確かにセラナ・クロノワールは人に非ず、だ。俺の知る限りは…―作り物の紛い物だなアレは。だがそれを言えば俺はどうなる? この全身は全て作り物だぞ? お前の嗅覚は俺をどう判断している?」
女は瞬きもせずに彼を見た。そうして片方の唇を持ち上げる様に笑う。
「御言葉ですがあなたはまったく須らくが獣ですよ、下衆で救いようのない腐臭がしますね。」
「言うよなサージェント・ヴァネッサ。」
「コレは親近感だと思ってください。私は私の言葉を飾る術を知りません。」
「まぁいい。今の俺にはお前等が何をしようとお前等を処罰する権限は無いのだからな。」
スカイラーは言って目を瞑った。背中が柔らかなクッションに沈み込む感覚…―しかし本当にそうなのか、彼は常々そう思い続けている。全て作り物なんじゃあないかと、彼の世界は彼を中心に回る、しかしその世界は彼の偽体が彼の脳に送り続ける電気信号でしかないのだから。
「アダムは神になりたいそうだ。」
「神に?」
スカイラーが呟くと彼女が鸚鵡返しした。
「そうだ。お前は神が居るとしたら何を願う?」
「私ですか?」
彼は言って彼女を見た、そういった全く彼女に似つかわしくない思想に対する彼女の対応を見てみたかった、ただそれだけである。彼女は相変わらず真っ直ぐな瞳で彼を射抜いていた。その眼光は強く、そして暗い。
「…―豊かになりたいです。」
「金か?」
「いいえ。」
彼女は微かに首を振りそうして少しはにかんだように笑った。
「とりあえず自分の家が欲しいですね。戦争とか無くて子供が居る様な。」
うーん、久しぶり過ぎて文体が安定しません。(硬いなぁ)後日加筆修正あるかもです。
ИСТИНАサイト(イラスト・設定等)
更新通知を登録
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。