friends6:お互いに深まる関係へ…
俺は、成に殴られた。
何故、彼が俺を殴ったのかは不明のまま。別に成に殴られて奴の事を嫌いになった訳では無い。けれど、その殴った理由が解らない以上、彼には話しかけ難い。
奴に殴られた翌日。俺は、授業中に腹が痛いと嘘をついて教室から抜け出し、保健室に行く素振りをして潮見のいる特別教室へ足を運んだ。何故か、この頃の俺は彼女と話す機会が多いような気がするが…。
今日の特別教室にいた人は、潮見だけだった。俺を見ると彼女は、読んでいた小説を綴じて椅子から立ち上がった。
「どうしたの?授業受けないの?」
と、潮見が言った。俺は取りあえず、授業をサボって出てきたと話してから本題である昨日の出来事を話した。
話を聴き終わった潮見はクスリと笑った。俺は、潮見のその姿が不思議に感じた。
「な、何?」
「あ、いや…高萩君は鈍感だなぁーって思って笑っちゃった。ゴメンね。」
と、潮見が慌てて言った。
「鈍感?何が?」
俺は疑問が募るばかりだった。そんな俺の疑問顔を見ていた潮見は、溜め息をついて少し置いて言った。
「恋だよ、高萩君…。」
俺は混乱した。
コイ?この“恋”の事なのか最初解らなかった。
「へっ?こ、恋…だって…?」
「そう、恋。成増君は千駄木さんの事が大好きで、高萩君が千駄木さんと仲良くしてた事にヤキモチを妬いていたんだよ。」
「はぁ…。」
俺は、潮見が出した驚きの解説にただ生返事するだけだった。潮見は、窓を見て思い更けながら言った。
「良いなぁ…あたしも恋したいなぁ。」
「恋ねぇ…。てか、ヤキモチ妬いたぐらいで殴る事は無いだろうけど。」
「フフ、それも一里あるね。」
潮見が自然に笑っている…。やっぱ、彼女には笑顔を絶やさずにいて欲しい…
しばらく彼女の姿をボーッと見ていた俺に、
「ねぇ…高萩君?」
と、潮見が不意に話し掛けてきた。
「え?何だい、潮見?」
俺がそう返事すると、潮見は少しだけ不機嫌になった。
「高萩君…また“潮見”って言ったぁ!あたしの事を“麻衣”って呼んでって何回言えば解ってくれるの?」
と、言って小さく頬を膨らませてそして、徐々に微笑んだ。
俺の中の疑問の一つに“何故、潮見は俺に下の名前を呼ばせたいのか?”がある。別に彼女と付き合って訳では無いし、かと言って幼馴染みでも無いから疑問である…。
「………萩君?ねぇ、高萩君?聴いてる?」
「えっ?!」
潮見の声で、我に返る俺。
「また、ボーッとしてたぁ!」
と、潮見に注意された。
大抵の人もそうだが、俺も会話中に考え事をしてる時は相手に返答がろくに出来ないのだ。これも、僕から友達が去る原因の一つだと思う。
「ホントゴメンな!で、何かな潮…おっと麻衣だったな。」
潮見は俺のおかしい言動に少し笑ってから少し経ち、顔を下に向けながら小さな声で言った。
「た…高萩君って…バレンタインデーの日は…あ、空いてる?」
「あぁ…空いてるけど、何かあるの?」
すると、潮見はうつ向いて体をモジモジしながら、たどたどしく言った。
「2月14日は、丁度あたしの誕生日なんだぁ。でさ…そ、その…良かったら高萩君…その日あたしの家に来て…、一緒にいて欲しいなぁ…。」
「えっ?!」
…信じられなかった。
潮見の彼氏でも無い俺が彼女の誕生日を彼女から招待されるとは…。
「だ…ダメかなぁ?」
「べ、別に…良いけど…。そ、そっちこそ大事な誕生日に…お、俺みたいな奴に祝られて良いのかい?」
驚きのあまり、俺の方も言葉が震えてしまった。潮見は顔を赤らめて小さくコクリと頷いた。
「…ウン、高萩君に祝って貰えるならホント嬉しいし…。じゃ、じゃあ…バレンタインデーに、あの“公園”で13時に待ち合わせでどう?」
俺はその時間で了承した。
「解った、必ず行くよ。もしかしたら俺の所為で最高の誕生日にならないかも…。」
「アハハ、そうかもね。」
「フッ…そう言うか。じゃあ、行かない事にしようかなぁ?」
「ゴメン、ゴメン!ホント冗談だから!必ず来てよぉ。来なきゃ泣いちゃうから、しかも大泣きだからネ!キャー!!!」
………。
こうして、俺は2月14日に人生初となる、女子の家に上がる事となった。まぁ…今、潮見となら俺は“友達”になれるかもしれない。
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