友達の存在...(3/57)縦書き表示RDF


高萩は、また憂鬱な世界史の補習を受けていた。そんな中、千駄木が倒れるが高萩はただ見てるだけで何も出来なかった。その時、彼に後ろから声を掛けてきたのは気と声は小さいが心優しい女子、潮見だった…。
友達の存在...
作:りす君



friends2:優しいヒト


翌日、クリスマスが終わり普通の冬休みに戻った。俺は、別にいつもと変わらない様子だった。全体の成績が落ちて苦しんでいるのは別だが。

教室では、昨日のクリスマスの事で話が盛り上がっていた。俺は、自分には関係無いと感じていたので仲間の話に加わなかった。そして、隣を見ると千駄木が必死に勉強している。俺は取りあえず、世界史の補習授業が始まるまで冬休みの課題をやり始めた。

「お、偉いなぁ。待ってる間に宿題やってるよ。」

クラスメートの川端 康介(かわはた こうすけ)が俺の姿を見て言った。俺は、
「何だ、康介か。蒲原と一緒じゃねぇのか?」
と、川端に質問した。川端と蒲原は付き合っていると噂されていたからだ。

「いや、別に高萩には関係無いだろう。」
と、川端に言われて、俺はこれ以上詮索するのを止めた。



また、いつもと変わらない世界史の授業に俺はつまらなかった。成績は下がる一方。世界史の授業を俺はこの日、何となくやり過ごした。

授業が終わり、教室を出ようとした時だった。

(バタッ)

いきなり千駄木が膝から崩れ落ちたのだ。直ぐに近くにいたクラスメートが保健室へ千駄木を運んでいった。俺はその様子を呆然と観ていた…。



呆然と観てるしか出来なかった俺に、誰かが不意に後ろから声を掛けた。



「…た、高萩君?大丈夫…?」



その声に俺は我に返った。
声の主はクラスメートの潮見 麻衣(しおみ まい)だった。潮見とも話した事が無い俺は何を話しかけたら良いのか解らなかった。

「えっ…あ…うん、平気。」
「…なら、良いけど…。」

潮見は性格が大人しくて誰にでも優しい、真の“女の子”と周りから言われている。背が低く、女子高生とは普通では到底思えない程の妹系のロリ顔だが彼女の笑顔は自然体で、男子から“天使スマイル”と称されている程、可愛いらしく人気だ。
女子からぶりっ娘と噂されているがデマである。
常に誰に対しても優しく接する心を持つ女子の一人である。
しかし元々、気も小さくて声も小さかった事が災いに転じ、彼女は一時期クラスの女子から(いじ)めのターゲットにされて学校に来なくなったが、今は何とか学校に来ている状態だった。



俺は、一応“アレ”を尋ねてみた。

「今は、大丈夫なのかい?精神的に苦しんだり、病んだりしてないか?」

潮見は、一瞬驚いた顔をして少しうつ向きながら、
「う…うん、何とか…。ねぇ高萩君…あたし、どうしたら良いのか解らないんだ…」
と、言った。俺は、
「そうなんだ…」
としか言えなかった…。

俺が言い終えると何か潮見の様子がおかしい事に気付いた。潮見はうつ向きながら少し肩が震えていた。

「し、潮見?」

俺は驚いた。床を見ると潮見が溢した涙の雫で濡れていた。

「ご、ごめん…余計な詮索(せんさく)をしてしまって。」
と、俺はとっさに潮見に謝った。潮見は泣きながら首を横に振って、
「ううん…高萩君は悪くない…。全て…あたしが悪いの…。ゴメンね…高萩君に迷惑掛けちゃったね…。」
と、言ってきたので俺は、
「自分自身を責めるな。」
と、言って自己嫌悪に陥っていた彼女を優しく慰めてあげた。

「う…うん…ありがとう…。」
と、潮見は言って彼女のバッグから紙を取り出して何か書いた後、その紙を俺に渡した。
「…あたしの携帯番号とメルアドなんだ…。高萩君…受け取って欲しいな。」
と、言った。俺は、彼女から紙を受け取り、自分の携帯のメモリーに潮見の名前を入れた。潮見も自分の携帯を取り出して、俺の名前をメモリーに入れた。

「これから少しずつだけど…連絡して良いかな?」
と、潮見が言ったので俺は、
「もちろん。」
と答えた。彼女は少しだけ笑顔になった。



帰り道、俺は駅まで潮見と歩き、駅で別れた。
駅に着くと上が騒がしく感じたので上がってみた。

すると何と、プラットホームで福本と川端がいがみ合いの口論をしていて、一歩間違えたら多分暴力沙汰になりそうである。しかも、その近くには蒲原がいたのだった…。












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