友達の存在...(22/57)縦書き表示RDF


2学期が始まるが、依然として佐伯は学校に行きたくなかった。
そんなある日の午後。佐伯は気分転換にと、外出した。しかし、立ち寄った公園で不覚にも眠ってしまう。
彼女の名前を呼ぶ声に気がつき、佐伯は目を開ける。彼女の目に映ったモノとは…
友達の存在...
作:りす君



friends21:彼の死…私の思い。(10)


まだ夏の蒸し暑さが残っている9月初旬…

2学期に突入しても、私は学校に行かなかった。ママには、“スクールに通わない?”と誘われてるが、私は断り続けていた。
何故か解らない。何故か解らないけど、私は高校を休学してまでスクールには通いたくなかった。
…多分、まだ“あの人”の側に居たいという気持ちが、私の判断を鈍らせているのだろう…

(彼は今頃、学校で何しているのだろう?)

相変わらず、彼の事ばかり考えてしまう私。周りから見れば、“そんなに彼の事考えてしまうなら、学校行って彼と会えば良いじゃん。”と思うだろうが、それは…出来ない。

あの日から、榮波君から電話やメールが来なくなった。
別に(さび)しくない…って言ったら嘘になる。ホントは…寂しくて…彼が居ないと辛く、死にたくなる。
今の私はまるで、飼い主からほっとかれたウサギのようだった。

2学期は、体育祭や文化祭、1年生秋季短期旅行が木原高校の行事となっていた。だけど、私は参加したくない。参加しても楽しくないから。



そんなある日の午後。私は、ママには無断で外出していた。

並木通りに植えられた木々の葉が徐々に、黄色く色付いていた。
いつの間にか私は、“あの日の”公園の前にいた。足先は、自然に公園内へ向かっていた。
私はベンチに腰掛け、たまたま持ち合わせていた読み掛けの小説を読み始めた。
この頃やっと風が涼しく感じられるようになり、心地よい。無意識の内に、私の瞳は瞼でカバーされていた…


















……き?…い、…えき?…丈夫か?

聴き覚えのある声に、私はゆっくりと目を開けた。そして見えたのは…

「佐伯っ!!」
「っ!!」
「ふぅ…やっと目を覚ましたか。こんな所で何やってんだよ、ったく…しかもこんなトコで寝てたら風邪ひくぞ。」
「さ…榮波…君?」
(榮波君…いつの間に…。はっ!まさか…私の寝顔見られちゃった?そうだったらサイアクだぁ…)

私は、恥ずかしさのあまりにうつ向いてしまった。

「佐伯…ゴメンな、いきなり目の前に現れて驚かせて。」

私は、首を横に振った。

「…ううん。でも…どうしてここにいるの?」
「え?…あぁ、ここは俺がいつも帰りに寄っていく秘密の場所なんだよ。」
(ここが榮波君の秘密の場所…)

周りを見渡すと、確かに人気(ひとけ)は無く、静かな公園だった。

「で、佐伯の方は俺の秘密の場所で何してたんだい?」
「えっ?!」
(ここで、ただ転寝(うたたね)してた…なんて言えないし、どうしよう…)

私が戸惑っていると、榮波君が私に顔を向けて口を開いた。

「佐伯…折り入って御願いがあるんだ。」

彼の顔はいつもの柔らかい感じじゃなくて…至って真面目な顔だった。

「な、何?」

私が尋ねると次の瞬間、彼は深呼吸して何かふっきったような顔で言った…。

「来月の短期旅行の自由行動中、俺の最期の思い出に“親友”としてずっと一緒にいてくれないか?」
「えっ?」
(榮波君の最期の思い出?それに、“親友”として?)

私は榮波君が言った言葉が、よく理解出来なかった。何故、その旅行が彼の最期の思い出なのか?それに、私が彼を嫌っている事を承知済みで彼は私に御願いするのか…

「そ、それじゃな。頼むぜ!」
「ちょ、ちょっとま…あぁん!」

私の言葉は届かず、彼は足早に去って行ってしまった。

「一体…私はどうしたら良いの?」


















彼には、“親友”と視られていて、私は彼の事を恋愛対象として視ている…



私と榮波君…この2人の違う思いが、後にあの辛い出来事へのカウントダウンの口火を切る事となる…。












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