友達の存在...(21/57)縦書き表示RDF


榮波は、呼び出した佐伯が既にいるのに一向に口を開かず、早1時間が経とうとしていた。
そして、ついに榮波が口を開いたが、彼が言った言葉に佐伯は…
友達の存在...
作:りす君



friends20:彼の死…私の思い。(9)


今、私の目の前には昔と変わってしまった彼…榮波君が無言でベンチに座っている。既に会ってから1時間近く経過していた…。
少しだけ(せみ)の声が公園内に響きわたっている。その中、無言でただ立っている私と座っている榮波君…と、その時だった、彼がついに口を開いた。

「何故、俺がここに呼び出したか…佐伯には解るはずが無いよな。」

私は、静かに頷く。彼は、顔をうなだれて小さく息を()いた。


「俺さ…学校辞めようかなって思ってるんだ。」
「っ?!」

榮波君が放った、その衝撃の一言が私の耳に響き伝わって、通り抜けた。

「やっぱ、中学と全然変わんなかった。…高校に行ったら、何か変わるかなぁって思ってたけどさ…結局、高校でもイジメのターゲットにされてさ…。」

淡々と覇気の無い声で私に話す榮波君が、とても惨めに見えた。

「そういや…佐伯。」
「…何?」

彼が突然、話を変えた。

「俺の所為…だよな?佐伯が、学校に来なくなったのは。」
「!!」

彼は、彼自身で解っていたのだ…私が、学校に行きたくなくなった理由を。

「あの時さ…俺自身、ボロボロだったんだ。毎日…毎日、悪質で陰湿なイジメを受け続けててさ。」
「………。」

彼が私に放った“あの言葉”は、私の心の奥深くで未だに刺さっていた…。

(痛くて…苦しくて…辛いのに…そんな理由で言われたなんて、信じられない…いや、信じたく無い!)

「もちろん、今更謝ったってもう遅いって解ってる。だからさ、もう…」

(だから、二度と佐伯を傷付けないため、学校を辞める…って言うんでしょ?それは、ただ自分を傷付けないために逃げてるだけじゃん。卑怯者っ!!)

彼に対し、私は率直にこう思った。

「…卑怯者。」
「…えっ。」
「そう言って榮波君は、私を守る振りして、ただ自分が傷付かないために自己防衛してるだけじゃん。卑怯者っ!!」
「………。」

到頭、私は我慢出来ずに口に出してしまった。彼は黙ってうつ向いたままだった。

「…そうやって榮波君が目の前から居なくなったら私、一生あなたを恨み続けるからっ!」



一方的に彼へ吐き捨てて、私は泣きじゃくりながら公園から家へ向かって走り出した…。
















「…くっ…ひっく…うわぁーん!!」



私の両目からとめどなく溢れ出る大粒の涙。そして…彼への何ともやるせない気持ちが、私を苦しめる。



榮波君は、決して私を嫌いになってはいなかった。ただ、ムシャクシャしていただけ…。なのに私は、彼に本気で嫌われたのかと思っていた…。



そんな誤解から生じた彼との深い溝。その溝を、どうやって埋めたら良いか解らない。だけど…絶対に埋める…埋めてみせる!



(嫌だよ…。私、榮波君と離れたくない。だって、ずっと…ずっと彼と一緒に居たいから。)












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