友達の存在...(20/57)縦書き表示RDF


夏休み、ずっと部屋に閉じ籠っていた佐伯に、突然榮波から携帯に電話が掛ってきた。佐伯がそれに出ると榮波は、“夜に公園で待ってる。”と言って一方的に電話を切ってしまった。
佐伯は、先日の出来事で榮波の事がもう嫌いになっていたのだが…
友達の存在...
作:りす君



friends19:彼の死…私の思い。(8)


「今から水窪公園(みさくぼこうえん)に来い。」



私が電話に出ると、榮波君がこう言った。

「………。」

今まで彼が私に対して、命令口調をした事なんて一度も無かった…

「…聞いてんのか佐伯?」

彼が私を呼び捨てしたのも、これが初めてだった…。

「じゃ、午後7時に水窪公園な。遅れんなよ!」

こうして、榮波君から一方的に電話を切られた…。

















…正直言って、今の榮波君の元へなんて行きたくなかった。今の彼は、本当の彼じゃないから。



約束の時間はとっくに過ぎていた。時刻は午後9時を回っていた。
パパとママは外出していて遅くまで帰って来ない。私は、冷蔵庫に入ってたモノで早々と夕食を済ませていた。



(カチッ…カチッ…カチッ…)



時計の針の音だけが部屋中に木霊(こだま)する。

「………榮波君、まだ待ってるのかなぁ?」

ふと、自分の口から出た言葉に戸惑う私。

(もし、彼がまだ公園にいたなら…)

いつの間にか、私は無意識に玄関のドアを開けていた。















「はっ…はっ…はっ…」

私は、公園に向かって一生懸命走っていた。

(今の彼と逢いたくないのに、何で私は彼の元へ向かっているんだろう…)

走ってる内に目から涙がとめどなく溢れて来た。

「…うっ…くっ…もう榮波君なんて嫌いになったのに…何で…何で、私はこんなに彼に逢いたくなるの?」

自問自答しても解らない…それが恋なのかもしれない。












「…遅い。一体、何やってたんだよ?」

私が公園に着くと彼は、ベンチに座っていた。もう彼の顔には、あの日の“優しい笑顔”は無かった…。












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