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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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059:ローラと温室2

温室に入ると畝が等間隔に作られていて何時でも準備OKのようだった。
「じゃあ、みんな手伝ってくれるかな?」
苗を大量に準備してザルに一人分ずつ用意して渡していく。
「リュージ、注意点とかある?」とザクスが聞いてきたのでポイントだけ教えるとレンと一緒に植え始めた。
ティーナはレンに習い、ヴァイスはザクスに習って植えていく。
4人に手伝ってもらっている間に、この畑に見合うだけの苗を用意していく。

「ああぁ、いくつ消費するか見とけば良かった」軽く反省したのでステータスを確認してみることにした。
ステータスオープンと呟くと必要な項目の確認をしていく。

【名 前】:リュージ
【レベル】:05→8
【職 業】:魔法科特待生
【生命力】:28→34
【魔 力】:30(+10)→39(+14)
【筋 力】:13(+3)→16(+3)
【敏捷力】:10→13
【持久力】:12(+2)→15(+2)
【耐久力】:12→15
【知 力】:20→26

今日使った魔力はお風呂を沸かすのに1~2P、自然に回復したかは不明だ。
魔法としては【温室】【畝作成】【種苗増殖】×5回くらい、12P減っていた・・・たった12なの?と少し不安になったのは秘密だ。これは聞いた話と少し違う、儀式魔法で言えば10人前後の魔力を使っているとガレリアは言っていた。

「それはね、らくのう魔法が特別なんだよ」振り向くといつの間にか緑の精霊がいた。
そしてしっかり頬に小さい指が刺さっていた、かなり古典をご存知でいらっしゃる。

「また来ちゃった」
「ようこそ、今日は魔法の実験とトマトを植えているんですよ」
「トマト?それって美味しいの?きれい?甘い?」
「うーん。あ、そうだ。これがトマトですよ」
「おおぉ、ねえねえ貰ってもいい?」
「勿論いいですよ、今日のは少し違う品種ですけどね」
「ねえ、しばらくここにいていいかな?邪魔しないからー」
「ずっとはお相手出来ないですけどいいですか?」
「うん、じゃあ植えるところ見てくる」
「はーい」

少し遅れたけど手元にある苗を植えていく、多分個別で使うと魔力を多く使う魔法が『らくのう魔法』では何かの補正がついているようだ。教えてくれと言われても原理がわからないから教える事ができない、ということは気にしなくても問題ないってことだね。
火曜日に減ったMPだけ確認できれば多分大丈夫だと思う。

しばらく畑仕事をしていると王女を案内している講師陣がやってきた。
「やあ、精が出ますな」学園長が話しかけてくる。
「リュージ君、何を植えているのかな?もしかして又新種の野菜かい?」
ローレルが興味深げに聞いてきたので、魔法の実験とトマトの栽培ですと答える。
「私達も見学して大丈夫ですか?」サリアル教授が確認してくる、輪っかがある所を持ち上げて離せば入れますよと伝えた。

「わぁぁ、ここはまるで春ですね」王女はサリアル教授に話しかける。
「昔、常春さまが使っていた技術に似ておる。ローラさまはまだ小さかったから覚えておられぬのでしょう」
「はい、その頃はまだ」
「ここは常春さまが使っていた技術に似てはいますが、一般人が使いこなせる魔法でもないようですよ」サリアル教授はみんなに聞こえるように大きな声で説明をしていた。

「ねえ、リュージ君。そのトマトというものが野菜や果物だとしたら、農業科の教授の僕も手伝える事があるんじゃないかな?」
「おじさま、素直に手伝ってお裾分けを貰いたいと言ったほうが良いのではないですか?」
「レン、それはストレートすぎていけない。仮にも私達は貴族だ、ということでお裾分けではなく報酬として少し、ほんの少しでいいんだ」
「おじさま、熱意が強すぎてリュージが若干引いていますよ」

「ローラさまも農業科を予定されているのですよね」サリアル教授が質問していた。
「はい、4月より農業科でお世話になります。私もやってみたいのですが・・・」
視線が学園長に集まると「リュージ君、人手は足りているかな」と聞いてくる。
「すいません、大きく畑を耕してしまって結構な範囲です。出来れば手伝って頂けますか?勿論、現物支給で宜しければ報酬を出せますよ」
「ではローレル教授、ローラさまのサポートを。他の皆も時間が許す限り手伝うことにしようか」学園長はいったん席をはずし、戻ってきた時には出入り口に管理するように衛兵に命じた。
「誰でも入れるというのは問題があるから念の為にな」そういうと学園長も手伝いに入った。

「トマトはとっても美味しいんです」ローラが力説していた。
「ほう、既に王国への報告が終わっているのですね」ローレルが質問すると「多分お姉さまと私だけしか知りません」と返事が返ってくる。
「おじさま、試作品は報告の義務はないですよ」
「ふむ、だがな学園で育てられた物は把握しとかないとまずいのだよ」
「リュージと一緒に居たら報告だらけになります、ここは自然に広がるのを待つべきかと」

考え込むローレルに「じゃあ、このトマトが生ったらパーティーしませんか?料理出来る人と調理機材他があれば大丈夫だと思います」と提案してみる。
「ほう、それは良いな。関係者のみと言う事でやるか」
「あの、それは私も来て良いですか?」心配そうに質問するローラに「勿論です」と答える学園長。
大体作業が終わると水を撒いた、その間みんなは参加者の確認をしていた。

片付けまで終わると衛兵さんに温室の出入り口の警護をお願いした。
「えーっと、魔法も併用しますので今回は特別に早く収穫できるようにします。今後はかなり時間がかかるのは了承してください」
「作物を作るのは時間がかかるからね、そこで文句を言う人はここにはいないよ」ローレルが代表して答えてくれた。
「そんな訳で次の土曜に収穫出来るようにします、皆さん如何でしょうか?」
「生徒達もその頃には帰郷するだろうし丁度良いな」
料理は学食の方が手伝ってくれるよう手配するそうで調理道具も問題なかった。

問題は呼びたい人が増えていきそうな事だった。
まず農業科のみんなに嗅ぎ付けられたら参加をしたいと言ってくるだろう、薬学科のみんなも興味を持って見学に来るはずだ。ただ、先週の金曜で多くの学生が帰省に入り、次の金曜には学園の講義が終わる予定だった。
ギリギリまで成長していなければ大抵の学生は諦めるという結論になった。

その後ローラはレイシアお姉さまとローランドお兄さまを呼びたいと言い、ヴァイスはお世話になっている先輩二人を呼びたいと言っていた。
レンとローレルは農業閥の家系なので当主かお兄さまを呼びたいと言い、サリアル教授は日頃よりお世話になっているガレリアを呼びたいと言っていた。
限がないので二回に分けることにした、学園での食事会では王家から1~3名くらい学園長や教授他生徒が5~10名まで参加。
翌日には寮で王家から1~3名、レンの親族とヴァイスの先輩と講師が数名の参加予定になった。

「明日話を通しておくので学食の責任者に必要な物を発注したいのだが・・・誰か頼めるか?」
「私がリュージ君と相談して進めます」サリアル教授がサポートしてくれるようだった。
王女は満足し「早速予定を押さえます!私は必ず参加しますので宜しくお願いします」と皆に挨拶をしていた。

寮に帰ると少し遅くなったけど軽食を用意してくれていたようだった。
「料理長、ごめんね。本当はもっと早く帰るつもりだったんだ」レンが甘えた声で昼食のお礼を言う。
そして寮母へ次の土日の予定をみんなで報告した、街に残る人は年末に向けてパーティーが増えていく。
寮は特に多くの人々に支援を貰っているので、各所に挨拶する必要があり好都合だと言っていた。

テキパキと指示をする寮母、料理長にも指示をしていたので丁度いいので相談してみる。
「料理長、明日は学食の方にも協力してもらって色々考えたいと思うんだけど・・・」
「ああ、じゃあ姉貴を頼るといいぞ」
「え?お姉さんが学園の学食で働いているんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ?トマトのソースは姉ちゃんのアイデアだぜ」
「じゃあトマトを使った料理はお姉さんの方に相談すればいいかな?」
「おう、そうだな。食材の仕入れで結構会うからメインを決めて後はかぶらないように考えると思うぞ」
「お姉さんは・・・」
「似てないって思うんだけどな、よく似てるって言われるんだ」
確認の為、容貌を確認するとどうやら当たっていたようだ。

月曜日は色々忙しくなりそうだ、レンは別邸に行きヴァイスは先輩の所へ週末の予定を確認に行った。
まもなく1年が終わる、学園生活も悪くないなっと思った。
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