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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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054:解呪

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60,000PVを超えました。

若干短めの文量です。
キリがよかったので続きは次話にもっていきます。
「それは珍しい腕輪ですね」シスターダイアナへの面会を求めるとすぐに通された。
対になっている腕輪の名前・効能を話すと「どちらかと言えば祝福された腕輪のように聞こえますね」と返事があった。
確かに名前だけ見ると安寧と慈愛だ、女神さまからの祝福と言われても素直に納得してしまうと思う。
問題は安寧の腕輪の効果が暴走しているだけのような気がする。
「これって呪いですよね」念の為聞いてみた。

「まず、何点か前置きとして話す事があります」
「はい」
「神聖魔法とは何かです、基本的に神聖魔法とは神の奇跡を人の身に降ろし代行することです」
「はい、学園の講義でそう教わりました」
「一般的に知られてるのは病気や毒などを癒す治癒系、アンデットなどに効果がある聖光などがあります」
「はい」
「それとは別に特別な儀式により護符や聖水などを作ることもあります。ちなみにこの護符の効果は長くても1年ですね」
「あぁそうなんですか・・・では、解呪は厳しいのでしょうか?」
「基本的にはすぐに発動する魔法は人に作用しやすく、物への魔法は儀式によって完成されています」
「今の状態がどちらになるかが大切ということですね」
「そうです、理想を言えば腕輪をはずしてから残留している呪いを解呪するのがいいですね」
「外す手段に心当たりはありませんか?」
「神聖魔法を使えて腕輪に干渉できる人がいれば・・・あるいは・・・、どちらにせよその腕輪の状態を詳しく見なければどうとも言えません」

シスターダイアナは夕方近くなら時間が取れるそうなので一度見て貰えることになった。
協会を後にすると学園に行き、サリアル教授を探し相談した。
貴族への犯罪行為を過剰に反応したサリアルは、まず被害状況を確認した。
師事している常春さまも以前、複数の称号の時に一人仲間を失っている。

「私見ですが多分、毒と呪いは両方とも弱いものでしょう。相乗効果でルオンさんが弱っているならまず毒を抜く事です、そして本人を強化するか腕輪に干渉するしかないですね。問題は毒と呪いの効果がどこまで体を蝕んでいるかです」
「本人を強化してもなんとかなるのですか?」
「話を聞くと心に作用している腕輪ですから、強靭な意志に強靭な肉体の両立は難しいかもしれませんね。学園の講師にも聞いてみます、お師匠さまは付与魔術師としても優秀ですので聞いてみると良いでしょう」
「ありがとう御座います。ルオンさんが心配なので、ザクスと合流したら今日はそのまま帰ります」
「明日の試験は気にせず、そちらに取り掛かってください。出来れば明日どのタイミングでも良いので報告を」
そう締め括ると、一応土曜日の常春さまへのアポは取れているという話を頂いた。

学園で昼食を取っているとザクスがキョロキョロして、こちらを見つけたのか駆け寄ってきた。
「「どうだった?」」お互いに第一声を発したらかぶってしまった。
まずはザクスから状況の説明をしてくれた、薬湯は3種混合の薬草に微量の毒が含まれている植物が入っていた。
薬草は気持ちを落ち着ける効果があり、毒は発熱や体力を奪う効果だった。
屋敷内の薬湯は全部処分し、とりあえずはしょうが湯で良いという意見が出た。

へたに薬に対する薬を準備していくと『胃に負担がいった時の胃薬』など対策に対する対策が際限なく必要になってくる。ザクスは既に生姜に対する考察は終えていて、後々薬学科でも積極的に使いたいと打診をしてきていた。
続けてこちらの状況を説明した、出来る手配が終わったので一度別邸に戻る事にした。

「やあ、おかえり。一緒にお茶でもいかがかな?」
ザクスと二人で別邸に戻るとルオンが直々に出迎えてくれた。
レンに手配と状況の報告をすると、ルオンと侍女と一緒にみんなでティータイム(しょうが湯)となった。

「もう体調は大丈夫なんですか?」ザクスが質問をする。
「うーん、慣れかな?意外に病弱ってのも難しくてね。この腕輪に打ち勝つために色々と影ながら努力はしてたんだよ」気丈に振舞うルオンは少しだけへこんでいた。
「本当にレンには悪いことをした、ごめん本当にこれだけは許されないと思う」その場で謝るルオンの後ろで侍女も深々と頭を下げていた。

「さっき親父と話し合ったんだ。まず当主候補としての責任を放棄するのは全面的に私が悪かったと思う。一時の感情に囚われないのが貴族としての責務だ。心を入れ替えるので今後の自分を見て欲しい」
そう告げると1年の猶予期間をもらったことをレンに話した。
その上で当主見習いとして自領を治められた暁には、彼女の事を両親に説得するつもりだと宣言した。
軽い悲鳴を上げるレンとティーナをよそに涙ぐむ侍女が印象的だった。

この世界の冬も日が早く沈む、そして早めに来て頂いたシスターダイアナに早速腕輪を見て貰う事にした。
「これは穢されていますね」ルオンの腕輪に触れた瞬間ダイアナが呟く。
先日サティス家に見てもらった女性はダイアナの親戚だったが彼女は主に癒しを専門としていた。
ダイアナはどうやら聖光の魔法を得意としているようだった。

「現在のこの部屋は清浄に保たれています、このまま何もなければその腕輪も問題はないと思いますが、病に対する抵抗力は相当弱っていることでしょう。一度光の魔法を注いで見ますか?」ダイアナはそう言うと、いつの間にか現れた当主と家人にも確認をする。
「リュージさん、少し手伝って頂けますか?」
周りの人を少し下がらせ、部屋の中央に侍女とルオンに立ってもらうよう話す。
二人と手を繋ぐダイアナの反対側に立ち、指示通りに二人の手を取る。
右手に腕輪をはめているルオンの手を握り、左手に腕輪をはめた侍女の手を握った。

「私の魔力を感じてください」ダイアナがそう呟くと、淡い光がダイアナの両手から流れ出す。
ルオンと侍女の手を通り、聖光を感じた瞬間続けていた瞑想から光の魔力を上乗せする。
二人の腕輪が光だし若干大きくなった瞬間魔力を強めに流した。
瞬間、腕輪は魔力に引かれ自分の腕まで移動し締め付けられない絶妙な具合で装着した。

「リュージさん、それでは解決になっていません」ダイアナが声をあらげてこちらをじっと見る。
「一先ず二人の無事を確認しないと」そう告げると頷くダイアナ、4人を包む魔力は徐々に収まっていた。
「人にかかっている呪いを解除するにはいくつか方法があります」そう言うと水晶を取り出すダイアナ。
「大きな光を定期的に当てる方法、但しこれには呪いが影に逃げ込んで残留する可能性があります。そこでこの聖別された道具を使います」
使い方は追い込み漁みたいなものだった、大きな光を注いで水晶に流し込む。そして逆流出来ないように聖別されたこの水晶に呪いを封じ込めると説明を受ける。

二人は斑になっている側の手を水晶に添える、そして先ほどと同じ要領でダイアナが光を流し込む。
今回は両手にある腕輪が怖いので手伝うことはなかった。
ジワジワと斑になった模様らしきものが腕から手首・掌・指先に移動し水晶に流れ込む。
そして二人の両手がすっかり元の肌色になり水晶が絵の具で汚された水桶のように黒ずむ、後はこの水晶を浄化すれば呪いに関しては終了だ。二人はお礼を言うと当主も丁寧にお礼を言い、寄進の約束の話に移っていた。

水晶は専用の箱に入れられて厳重に蓋をされている、ダイアナが戻るまで机の上に置かれてた。
「こんな水晶がねー」とヴァイスが触らないように箱を覗き込む、すると少し離れたところで悲鳴が聞こえた。
駆け出すヴァイスとティーナ、当主達がこの部屋に戻ってくる。
次々と部屋に家人が入ってくると、こちらを囲うように人の壁となる。
最後に入ってきたヴァイスとティーナはジリジリと下がってこの部屋に入ってきた。
すぐにドアを閉めると軽快なノックの音が聞こえてくる。

「お館さま、ただいま戻りました」そうドアの向こうから声が聞こえガチャリと音がした。
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