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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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052:ルオン

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さて、この後別のお話を投稿します。
そちらはとりあえず二日連続の予定です。
サリアル教授との面談が終わると品種改良グループの教室へ顔を出した。
レンとザクスがいたので改めて試験範囲とかどんな内容なのかを聞くと、1年目は主に一般教養や基礎知識を重視しているようだった。魔法科の一般教養も基礎知識も十分頭に入っている、改めて座学の復習をするより毎日の積み重ねを重視したほうが良いと思い今日は早めに寮に帰ることにした。

寮母に改めて山岳訓練が終わった事を報告すると、寮でのパーティーも無事終わった事を聞いた。
トマトやゆず湯などレイシア王女はとても喜んでいたようだった。
全員に聞いているようだけど年末年始の帰省について確認を受ける。
戻らないといけない場所は今のところないので、寮で過ごせるかを聞くと問題ないようだった。

みんなが戻るまで魔法の修行をする。
魔力を練ったり・形状を変えたり・糸にしたりと試してみる。
思いの他、魔力を形にする瞬発力も増しているように思える。
そういえば朝の訓練も動きが良かった気がする、レベルが上がった事を思い出したので確認してみた。

【名 前】:リュージ
【レベル】:01→5
【職 業】:不明→魔法科特待生
【生命力】:20→28
【魔 力】:18(+4)→30(+10)
【筋 力】:09(+3)→13(+3)
【敏捷力】:06→10
【持久力】:08(+2)→12(+2)
【耐久力】:08→12
【知 力】:12→20

大体1.5倍から2倍近くまでステータスが上がっていた。
多分魔法科の学生には知力が重要なステータスになっているだろう。
しばらく魔法の訓練をしているとみんなが戻ってきた。

「「「「ただいまー」」」」とハモるみんなは着替えて談話室に集まっていた。
頃合を見て談話室に合流すると、早速山岳訓練とパーティーの話になった。
そしてレンが「2件のお礼状が届いているよ」と皆に見せて回る。

1件は王家よりのお礼状だった。
数々のもてなしは建前が多い貴族社会の中で心温まる内容でした、新種の食物や石鹸・同年代のお友達とのお喋りはとても楽しい時間でした。王女としての期間は間もなく終わり、嫁ぐことになるでしょう。
この間話した内容は今後も王家として妻として女性として考えていきたいと思います。
願わくは皆様と同年代で学生時代を過ごせたら楽しかったと・・・。

王家や貴族が行く学校は別にある。
特別な警護体制に講義内容、幼い頃から帝王学を学んだ子息子女は学生時代に派閥を形成し独自の伝手や上下関係を学んでいく。レンをはじめ学園にも貴族は学びに来るけど大抵家名は伏せていた。
ローレル教授のせいでバレバレだっけど、貴族の礼をしなければ貴族としての対応はしないで良い。

最後の1行は「来年は妹を学園に入れますので仲良くしてあげてください」と添えてあった。
学園が慌しくなることは確実になる、騎士科が学園内の治安維持から親衛隊になるのが目に見えるようだった。
王家と学園で調整は済んでいると思うので状況を見守りたいと思う。

もう1件は自分宛に来たお礼状だった。
王都の別邸にいるレンのお兄ちゃんがゆず湯と生姜湯を大層気に入ったらしい。
ローレル教授とレンがお世話になっているので直接会ってお礼を言いたいそうだ。
また、寮で一緒に過ごしているメンバーがどんな相手か会いたいとも書かれていた。
夕食の招待なので日程が決まったらレンに伝えて欲しいとあった。

ヴァイスは今回の訓練で試験は免除、ティーナも実技と最近の冒険者ギルドの依頼達成で試験はパスした。
ザクスとレンは試験対策などしなくて良いようで、自分も金曜日に試験を受けて終わる予定だった。
みんなに確認をすると準備も考えて水曜日に行くことになった。
レンに伝えると楽しみにしててねと、ちょっとため息を交えつつ笑った。
寮母に外泊の許可を得ると、執事と侍女にも報告した。

年末年始の予定をみんなに聞いてみると、レンだけは王都の別邸で過ごすようだった。
ヴァイスは王都に家族がいるようだけど卒業までは帰るつもりはないそうだ。
今週の試験が終わると来週いっぱいで学園の講義は終わる。
追試や学園外の人を対象にした講義などはあるが、遠くに帰省する者などに考慮して大体一ヶ月は休みになる。
年末年始も学園には人がいるので、グループ活動をしている学園生も少なからずいた。

翌日と翌々日はサリアル教授の講義を中心に受講し瞑想も学んだ。
神聖魔法を使える素養のある人は教会から合図があるようだった。
講義が終わると呼び止められ、神聖魔法をもっと学びませんか?とお誘いを受ける。
シスターダイアナからコツを教わったと伝えると、一緒に神様へ仕えませんか?と教会への就職を斡旋された。

まずは「一流の冒険者になるのが先なので」とやんわりお断りをいれる。
「では、困った時は助けてくださいね」と微笑まれると今度は断りきれないようだった。
神に仕える人なのにきちんと自分の武器はわかっているのは流石女性だなと感心した。

今日はグループ活動が終わるとレンの別邸に行くことになっている。
それぞれ充実した時間を過ごすと馬車で迎えが来た。
全員揃って別邸に到着するとすぐに客間に通される、ティーナはレンと一緒の部屋で男性3人は同部屋となる。
レンは「貴族の礼をする必要はないわ、うちはオープンだし細かい事は気にしない家なの」と事前に話していた。

夕食のテーブルにつくと料理が出てくる前に挨拶が交わされる。
ローレル教授もちゃっかり座っていて、両親・兄・妹が席に着き特待生4名に多くの質問をしていた。
料理はどれも美味しく、家族の仲がとても良い。またサポートをしている家人も教育が行き届いているように感じた。

中でもお兄さんがとてもシスコンっぽかった、家族大好きっていう意味だとファミ○ンと表現すべきか?一人一人に握手をして「レンを宜しく」と連呼している。最後に自分と握手をした瞬間悪寒がしたのに違和感を感じた。
幼い頃より病弱で気管支系に欠陥があると言われていて、特に冬場は毎年今年が山場と言われ続けていたせいで「ある種の達観」という境地に達していた。

今日会えるのは最後かもしれない、そう考えるだけでこれ以上知人や大切な人を増やそうとせず、家族を過剰に大切にしていた。今回のゆず湯と生姜湯で体調が回復してきたせいかもしれない。
明るい兆しについ妹の友達に興味を持ったようだった。

「これからもレンと仲良くして欲しい」と何度も握手する兄に「もうルオン兄さん、はしゃがないの」とレンが嗜める。
食事が終わりルオンは薬湯を飲むと、今年は落ち着くのかな?と淡い期待が持てたレンが安心する。
それぞれ食後のお茶を楽しんでいると急にルオンがむせ始める。
気管に入ったのかな?と少し見てると家人が少し慌て始めた。

ザクスと一緒に駆け寄ると背中をさする、すると先ほどの悪寒が強くなっていた。
レンも一緒に背中をさすろうとしていたが、ルオンの背中に触った瞬間「キャッ」と短い声を発した。
一瞬レンと目が合うと何かがおかしいと訴えてくる、テーブルを片付けようとしている家人の手をザクスが掴みルオンが飲んでいた薬湯を確保していた。

ルオンを自室に運び込み、楽な服装にすべく衣服を緩めていく。
家人に手伝ってもらうと左手首に金属性の腕輪が嵌められていたようだ。
袖を捲ってみると痣状の斑に広がった変色が見て取れる。
これは何時からあったかを周りの人に聞いてみても「知らない」という答えしか返ってこなかった。

もしかするとこの腕輪が関係あるかもしれない。
ザクスも当主に許可を得た上で手持ちの瓶に薬湯を仕舞っていた。
何故瓶を持っているかは不明だけど、さすが薬学科で基礎薬科グループだった。

気持ちを静めて室内を浄化する。
レンが部屋に入ってくると室内の雰囲気が変わったことに気がついたようだ。
今までと変わった事は神聖魔法に触れた事だ、そしてルオンに悪寒を感じたと言うことは一概に病気のせいだけではない可能性もある。司祭を呼んで「病気です、助けて」と言って毒や呪いだったら対処が出来ない。
ただ、司祭による回復魔法は少なからず効果はあったようだ。

何故このタイミングで起きたのか?何が原因なのか?場合によってはルオンの状況が一変するだろう。
腕輪は結局はずせなかったのでルオンが落ち着くまで待ち明日調べることにした。
寝不足では体力が削られるだろうし、家人にもある程度気取られない事が大切になる。
周りのあまりにも素早く落ち着いた行動に、少し違和感を覚えつつ夜を迎えることになった。
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