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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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050:何故山に登るのか

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。
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46,000PVを超えました。
年内最後の更新となります、拙い作品
ですが多くの方に読んでもらえた事を
嬉しく思います。
皆様良いお年を!。
尚、50話の苦情は一切受け付けてお
りません(笑)。
「誰か来るとしたらマイクロさんだと思いました」
「なんだつまらないな」案の定来たのはマイクロだった。
今回の山岳訓練ではサリアル教授に生徒の引率を禁じられていたマイクロ。
それならば騎士の方を引率すればいいんじゃないかと割り込んだようだ。

 毎年この時期に騎士を嘲笑うかのように盗賊団が跋扈する。
冬場なのでどこにいつ現れるかはわからなく、基本的にメインルートには出ることは少ない。
しかし日程は公表していないが騎士がここに来る日には必ず盗賊団が活動しているらしい。
余剰要員としての訓練ということもあり、通り過ぎた後に活動されてもどうにもならないのだ。

 メインルート以外は荒れた道・獣道など過酷な道が多い。
今までの引率者は程ほどの道を通り、雪山での体力を残すように計算していた。
マイクロは急に日程を繰り上げ、強行軍体制を作り早めに出発した所で盗賊団と遭遇してしまったようだ。そのまま引きずって現地に行くと主張したマイクロを本来の引率者が引き止め、盗賊団のアジトを襲撃すれば後顧の憂いも絶てるとさっきまで捕縛をしていたそうだ。

「上級者ルートの危険は今のところなかったぜ。掃除についてはこの後合流できるはずだから、とりあえずそれまで寝ておくわ」寝ずに上ってきたマイクロは辺りを警戒することもなく毛布を出すと包まってすぐに眠りについた。
「まあ、ほっといても大丈夫だろう」教官が撤収の合図を出すと初級者コースを確かな足取りで下山した。

 麓の村に戻ると二時間の休憩のあとコテージに集合となった。
この二時間の使い方も評価対象だったので今度はバラバラにではなく話し合ってから動くことにした。
「まず、村長への報告は必要だろう」班長が発言する。
「小屋にある表にノウムさんの帰還をチェックしないとですね」ヴァイスが周りを見回したが異論はなかった。
「そうだ、整理体操してない。これはこの後すぐに何かあって動けなくなっても困るぞ」副長はマイクロを見て思い出したのか室内でも出来る柔軟体操をすることになった。

 報告は早めに終わり今日学んだことを話し合う。
出来た事・出来なかった事・良かった事・悪かった事等、忘れないうちに報告書としてあげると隊長が「時間だ」と告げる。普段着の上に防寒着を羽織る、そしてどんどん暗い方暗い方に歩いていった。

 その店の名前は【会議室】だった。
無機質な大きめの屋敷くらいの・・・お店なのかな?黒服のいかついスキンヘッドの男が立っていた。
隊長が男に話すと扉が開かれる、薄暗い中を歩くとある1室に案内される。
室内はとても暖かく防寒着を脱ぐと隅に置いてあるハンガーにかけることにした。
普通の会議室のようだった、多少椅子が豪華で広く座り心地が良いくらいの違いしかない。
いつもの位置に座り隊長に今回の訓練の報告をしていく。

 基本的に山岳訓練は学園にいる時は一回しか参加できない。
また、基本的に騎士団に入っても一回しか参加できなく、学園の時に参加したものは行わない慣例だった。
報告内容は『準備は足りていたか』『この訓練は有意義だったか』『感想』『今後この訓練をやる意義はあるのか』等だった。ザクスと自分はどう報告しても良いらしい、参加した時点で5段階評価中4以上ついているそうだ。

 副長・ザクス・ヴァイス・自分・班長の順番で報告となった。
副長の話では「魔法科と薬学科の二人がいなければ今回の準備は大幅に足りないものになっただろう」、二人の情報収集にも助けられたしザクスの細かい気遣いにも感心していた。
今回は仮に副長というポジションを与えられたけど、班長と多く話合うより立場を考えてこちら側の意見を吸い上げてもっと話し合う機会を持つべきだと思ったという報告だった。

 ここで隊長が声を掛ける。
「良いリーダーとはどういうものかを考えて欲しい。多くを指導してくれるもの・背中で語ってくれるもの・部下の自主性を見守るものなど指導の仕方はそれぞれだ」
「実はな、この訓練が始まったのはうちらの代なんだ。一緒に参加したのがマイクロで、新人騎士の訓練を任された王子を影ながら護衛する目的だったんだが、この村の事情を知ってな。王子なら騎士がついてるし大丈夫だろうとその時の顧問に話すと事態は大事となった」慌てた大人が共同訓練ということにしたらしい。
「マイクロがその時班長を務めたんだが、彼は体を張り危険な場所にも真っ先に飛び込む奴だった」全員が隊長の言葉を一言も漏らさないように聞き入る。

 次にザクスとヴァイスが報告する。
「救援者を助けることが出来て良かった。ただ今後も起こる可能性がある以上、訓練という名目があれば今後も続けるべき」だとみんなの顔を見回した。

 コンコン、ノックが聞こえた。カートを押して6人の女性が入ってくる。
どうやら飲み物と軽食を持ってきてくれたようだった。
薄い生地に原色のきらびやかなドレスで肩にショールを羽織っていた。
みんな「??」な感じで様子を見ながら最後に隊長を見ると、表情を変えずに次はリュージ報告をと促された。

「ああ、もう良い時間なので食べながら飲みながらでいいぞ」隊長の許可が出たので軽食をつまむ。
そして飲み物に手をつけると・・・ワインだった。
「隊長、これは酒ですね」班長が確認を取るとニヤリと笑う隊長。
6人の女性がそれぞれの隣に座り腕に腕を絡めてきた。

「では改めてリュージ報告を」隊長は座ったままの報告でいいと言ってくる。
立って報告すると隣の・・・ちなみに肩まで伸びた茶色いサラサラ髪からふんわり良い香りが・・・いや、そういうことじゃない。とりあえず自分の番なので報告することにした。

 しどろもどろになりながら話し始める。今回の訓練は臨機応変な対応と多くの技術を持つ者がいる程身になりそうだと思った。ただ騎士科から騎士になるものも多いので、今後限られた人数や資源でどれだけの成果を出せるか勉強になったと思う。
何故か首元に顔を寄せている女性、ふぅぅぅぅと息を吹いてきた。
「かわいい」周りも似たような状況であまり話を聞いていないようだった。

 隊長は余裕な感じというかそういう店だと認識しているのか悠然と報告を聞いている。
しなだれかかっている女性は片手で抱きしめていたけどね。
班長と副長はかちこちに緊張して座ったまま硬直していた。
ヴァイスとザクスは諦めたのか為すがままにされている。

「今回は収納だけではなく色々動いてもらった事に感謝している」隊長が頭を軽く下げると隣で「すごぉぉい」と女性が小声で囁いた。顔が小さいのにスタイルは良い。
「では、最後に班長報告を」隊長が発言をした瞬間に女性達が一斉にショールをはずした。
入った瞬間にスタイルが良いのは分かっていた、ただ胸元が強調された衣装だったらしくショールがなくなった今右を見ても左を見ても・・・いや、班長の報告の番だとみんなは意識を取り戻し11人の視線が集まる。

「班長頑張って」と囁く隣の女性に一層カチコチになる班長、男性5人も頑張ってと思っていたと思う。
最初訓練が目的だったので漠然といるかどうか分からない相手をシミュレーションとして救うと言うのは正直ピンときていなかった。そして禁止されている雪山に入山する者の気持ちが分かるはずもなく『救うべき価値のあるものか?』という話を投げかけられた時正直迷う自分がいた。
実際にその場面になったら迷うこと無く動けたのは自信になった。ただ助けたいと思う気持ちが自分にはあったのだ、これは騎士には必要な資質ではないかと常々思っていたからだ。
「素敵な騎士さま」と隣の女性が本人にしか聞こえないくらいの声で囁く。

「あの、この会議室までが訓練なのですか?」と副長が隊長に確認する。
「勿論そうだ、訓練の後には反省と今後の課題は必要だろう。ちなみにこの一連の訓練は公には秘密になっている、今まで訓練が続いているのは参加者が秘密を守ってきた証拠だろう」
班長は『今後この訓練をやる意義はあるのか』について是非今後も続けるべきですと熱弁した。
一斉にしだなれかかる女性達、隊長は「お前達は何故山に登るんだ」と問いかけてくる。

「「「「「そこに山があるからです」」」」」
「飲みに連れて行ってくれたり、金払いが良かったり、早く帰ってくれるのも良い上司だな。支払いは済ませてある、どこまで相手をしてくれるかはお前達次第だ。ただ、これ以上ダメな時は相手からそういう反応があるだろう。カッコイイ騎士さまは女性にも優しくするものだぞ」

 手にたわわな感触がたわわにたわわだ。
何を言っているか分からないけど、隊長は「以上で会議を終わる、明日の朝は早いぞ。十分な休息を取るように」と言うと女性と退出した。
残ったメンバーはグラスを一斉に飲み干すとワインだった・・・忘れていた。
「お部屋で飲みなおしましょう」と誘われるとそれぞれ部屋から退出する。
これにて山岳訓練は最後の山登りに突入することになった。
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