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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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005:遭遇

 さてと、そろそろ移動しないとな。
特に今すぐにやることはないけど食料がないんだよね。
米と塩・砂糖だけあっても困るし、まずは第一村人でも探しにいきますか。

 まず山で迷った時のお約束です。
とりあえず山頂を目指しましょう!どこかで道が見つかるはずです。
斜め方面に歩き出すと、ふと見た木にキレイな爪痕がありました。
えーっと、まいった・・・お約束すぎる。
地面を見てみると草が踏まれたらしき形跡もある。

 こういう時の対処法って難しいよね。
できればこっそり移動したいし熊避けに鈴とか大きな音を出すといいとかも聞くし。
ただ死んだふりは死亡フラグみたいだね。熊の確認作業でズタボロになるらしい。

 とりあえず足跡が向かっていないだろう適当な方向でまた上の方を目指してみる。
時々下の方を確認すると集落っぽいものが見えた。
舗装された道は無理としても人が通る道があればと再度移動を始めた。

 この山ってどんな用途で使うのかふと気になった。
熊らしきものがいるって事は小動物もいるだろうし更にはその動物達の食料とかもあるはずだと思う。
どんぐりとかまつぼっくりみたいなものも落ちていたしね。
異世界ってことは未知の動物なんかもいるだろうという訳で警戒するにこしたことはないね。

 少し歩くと前方に茂みを見かけた。
なんか嫌な予感がするなと思っているとガサゴソと音が聞こえてきた。
「すいませーん、こちらは逃げますので追ってこないでくださいね」
そう小声で叫ぶという謎な行動をしつつ木の棒を構えゆっくり後ろに下がる。
すると茂みの向こうから声が聞こえた。
「おーい、こんなところで何してるんだぁ。用心の為武器を構えて近づくけど他意はないからな」
少し離れたところから犬を連れた少年がゆっくり歩み出た。
「ゲイツさん、多分大丈夫そうです」
少年の後ろから弓を構えたヒゲ面のおっさんが警戒しながら顔を出した。

 木の棒をゆっくり下ろして様子を伺う。
「狩場は危ないから大人と一緒以外立ち入り禁止のはずだぞ。ん?そういえば見かけない顔だな」
「ゲイツさん、この人この村の人じゃないですよ。見たことないですし」
二人の会話から慎重に情報を得ようとしつつも、何もかも分からない異世界では何をどうしたらいいか分からないので状況を見守ることにした。

「すいません、立ち入り禁止区画に入ってしまったようで。えーっとですね、とある事情というかあまり記憶にないんですが記憶を失ったらしくこの山で目覚めたんですよ」
現状出来る精一杯を表現してみた。
「リュージといいます。食料がないのでとりあえず近くに村や町があるなら行きたいのですが・・・」
そういうとゲイツさん「ついてきな」と少年と犬を先頭に立たせ横に並んで歩き出した。

 少年の名前はアランといいカゴを背負い茸や山菜などを採りにきていたようだ。
ゲイツさんは付き添いで鳥や小動物などを狩っているらしい。
ここにはイノシシなんかも出るらしく、小さい個体までだったら対象にしているようだ。
今日の狩りは不猟らしく戻るところだったらしい。
村へと向かう道に入りようやく下山出来たのは夕方近くだった。

「坊主、一応決まりだからな。まずは村の衛兵の所で身分照会と入村料を払うんだが・・・そういやお前いくつだ?」そうゲイツさんが尋ねてきた。

 異世界に来て正直自分の姿をまだ確認出来ていない。
ゲイツさんの身長が大体170cmとして自分はそれより10cmは低いようだ。
一緒にいるアランはもうちょっと小さいから自分よりももっと若いだろう。
「14から16くらいだと思うんですが・・・記憶が・・・」
そう答えると「丁度良い14にしな」とゲイツさんが言う。
特に反論しても正解がわからないので言うとおりの設定にした。

 山の入り口に2名の衛兵がいた。
「おや、ゲイツさん。その子どうしたんですか?」と尋ねる衛兵。
「どうやら迷い人らしい。とは言ってもまだ子供だし俺が世話するからな。念の為代官に連絡しないといけねぇ」ゲイツさんが衛兵に話を通してくれているようだ。
「うーん、あの人嫌なんですよね・・・。まぁ仕事ですし明日面談出来るように連絡してみます」そう言うともう一人の衛兵が「名前と年齢を教えてくれ」と言うのでリュージ14歳と伝える。
今日は俺の家にいるからとゲイツさんは衛兵に告げて歩き出した。
俺は振り向き「お世話になります」と衛兵に頭を下げ少し駆け出しゲイツさんにありがとうとお礼を言った。

 村は農地がまばらにあり、そろそろ収穫の時期のようだった。
主に麦が植えており、違う畑には葉物や根菜などが見てとれた。
アランは「ゲイツさんありがとう今日はこれで戻るね」と言うと走っていった。
大きな建物が見えたがゲイツさんに聞いてみると教会兼孤児院があるとのこと。
「まずは飯でも食うか」の質問に「持ち合わせが・・・」と言うとガキが気にすんなと頭を乱暴になでてきた。

 そこは大きめの宿屋だった。
1階は食堂と宿屋の受付カウンターがありパン屋も併設されていた。
ゲイツさんは座るとやってきたおばちゃんに2人前と注文する。
どうやらメニューはないらしい。

 堅めの垂直に切ったフランスパンが2個そしてスープが届いた。
スープは玉葱・キャベツ・人参などが粗ミジンに切られており塩味というか素材の味をふんだんに活かしきれなかったものだった。
「あぁ・・・これが・・・そうなんですね」
そう言うとゲイツさんが不思議そうな顔をした。
異世界初の食事なのでパンが堅かろうがスープが薄かろうがガツガツ食べた。
食べ物に感謝をする事を忘れたら人として終わりだと思う。

 少しするとおばちゃんがテーブルにやってきた。
「お兄ちゃんいい食べっぷりだね。ここに来るのはいつもまずいまずい言いながら食べて困ったもんだよ」そう言うとゲイツさんに冷たい視線を向けた。
ゲイツさんはズタ袋に入れた獲物をおばちゃんに「これで今度うまいもんでも」と渡している。
スープに関して素材は美味しいから後は塩梅だけなんだよなぁと思う。

「ところでお兄ちゃんはどこの子だい?」とおばちゃんがゲイツさんに尋ねる。
「また後で紹介するけどリュージって言うんだ。そういやここって手伝いいらないかい?」とゲイツさんが言う。
この村では10歳を過ぎれば普通に研修のような形で仕事をしているらしい。
また、15歳で一人前の働き手として見ているようだ。
「まだ先はわからないが出来る事あったら探しといてくれや」ゲイツさんはおばちゃんにお願いした。

 二人とも食べ終わると「疲れてるだろうから飯食ったら家で休むか」そういうとゆっくり歩いてゲイツさんの家に着いた。独身だけあってこぢんまりとした家だった。
毛布は持っているので横になれる所を借りリュックを枕に早々と眠りについた。




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