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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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041:予感

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程よい時間になるとグループ活動は終了となる。
基礎魔法グループも延長を申し出る生徒がいたけどサリアル教授はあっさり却下した。
この場所で迷惑をかけられない事と、この先グループの指導方針を修正しないといけないからだった。
「いずれ時期がきたらあなたに私の師を紹介したいと思います」と教授は言い、最後に全員集めて精霊さまに改めて御礼を言った。

寮に戻るとお礼状が届いていた、宛先はレンになっていて連名でザクスと自分の名前が入っていた。
先日の治療の事・お店の事・そしてクッキーが美味しかった事などが書かれており、今はリフレッシュできたので毎日が充実していると書かれていた。また、ラベンダーについても色々書かれており、これを戴いていいのか?植え替えをしても良いか?等新種の植物に対する興味も多く書かれていた。
よくよく読んでみるとサティス家当主のダイアンからのお礼状も一緒になっていて、先日のお礼も兼ねて今週の土曜日に内輪の快気祝いをしたいので都合を尋ねてきたようだった。
レンはザクスの予定を聞くまでもなく参加にした上でこちらの予定を聞いてくる。
「勿論、喜んで行くよ」と答えると嬉しそうな顔をして「じゃあこっちで返事しとくね」と部屋に駆けていった。

風呂を準備してから談話室に行くと今日はザクスだけがいた。
「リュージ、今日のあれ結構いい所までいったよ。明日か明後日には完成すると思う」さすがザクスだった。
「精霊さまがやることなんで簡単そうに見えたけど、そんなにすぐに作れるなんて凄いね」と素直に賞賛すると「一回見せてもらったのが大きかったよ」と謙遜していた。「似たような植物なら多分バリエーションとして作れるよ」と言っていたので、他の植物も後々提供出来たらと思う。
「リュージの方は温室どう?あれが春までもつなら植物とかも育てられそうだよね」
「うーん、現状では二日間しかもたないみたいだよ。春までもつようには出来ると思う、ただ全体図に対するピースは揃っているのにうまく埋められていない感じかな?」と言うと、ザクスは「わかるわぁ、きっかけ待ちだよね」と技術者っぽい台詞を放った。

「「ただいまー」」ヴァイスとティーナが帰ってきた。
二人は風呂に直行して汚れを落とした後、談話室に入ってくる。
みんなが集まるとヴァイスが話を切り出した。「なあ、毎年恒例らしい山岳訓練に行かないか?」と全員に問いかける。
どうやら騎士科主導で毎年ここから馬車で二日の場所にある山へ訓練に行っているらしい。
主な目的として害獣の駆除と山道にある禁止区域等の立て看板やロープの補修、場合によっては遭難者救助となっているがそれを想定した雪山の行軍がほとんどで危険はないそうだ。
先行部隊として王国の騎士から新人と監督者が出るようで、後発として騎士科から数名と有志の参加枠があるらしい。
「来週の予定だけど詳しい話を聞きたければ顧問に話通しておくよ」とみんなを見回すヴァイス。
「「「パース」」」と三人の声がハモると「寒いし」とか「試験があるのに」とか「お風呂のない生活なんて」とか声が聞こえてくる。

少し考えるていると「リュージー、お前がくると助かるんだ」と泣きついてくるヴァイス。
どうやら結構な荷物になるらしく、その分行軍は厳しいものになる。
出来れば収納持ちで動ける冒険者を雇いたいけど、ポーターとしてそういう人物は大抵パーティーのお抱えのポジションにいて雇う事はできない。理想を言えばヒーラー1人・魔法使い1人・騎士科から3~4名・顧問1人・技術者(狩人・林業・大工等)から1人がいると良いらしが魔法使いは毎回参加者がいなく、怪我人対策を考えると今度はポーション等の準備をしないといけないらしい。
山では決まったコースを歩き目的地の洞窟で一泊、その後翌朝に下山して麓の村で慰労会の予定のようだ。
二日分の食料・水・ロープ・補修用具・治療用具・毛布・ポーションは最低限必要で、その他に各自必要なものを準備するのを考える事からが訓練となっている。
同行者は極力荷物を持たせないように騎士科の皆が分担する予定なので、騎士科以外の人は優遇されるようになっているから是非積極的に参加して欲しいと広く募集をかけているようだった。

多分訓練として動くなら今年最後になると思うし、冒険者として少しずつでも経験値を増やすのも手かな。
「あまり無茶な量じゃなければ入ると思うよ、折角だから参加しようかな」と言うとヴァイスがヘッドロックをしてきた。
「絞まってる、絞まってるから」と肘あたりをバシバシ叩いてはずすように促した。
「今週土曜は予定あるからね、たまには留守番お願いね」とレンが言うと、「色々手配があるから一日寮にいるよ」と返事をするヴァイス。

11月最終週水曜日、学園に着くと門番から庶務課に顔を出すように言われた。
「何かしたかなぁ」と挨拶に行くとまたもや指名依頼だったようだ。
「リュージ君おはようございます、あなたとレンさんと基礎薬科グループ宛に指名依頼が届いています」と依頼書を見せてくる。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
指名依頼書
Eランク冒険者:リュージ
依頼内容:香りの良い植物の探索及び採取
報酬:要相談
依頼主:ダイアン
◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「お話は伺っております、依頼を受けた時点で達成の要件です。冒険者ギルドを通す事によってランクに対するポイントが加算されることになります」ともう1通の依頼書を見せ【香りの抽出の研究】を基礎薬科グループとレン宛に依頼をしたようだった。
基礎薬学グループの報酬は今後の研究に対する補助金と研究者(卒業見込者)の雇用だった。
ザクス達も達成の見込が既にたっているので依頼として受けることにした。
ギルドカードを見せると登録はこの場所でやってくれるようだった。

今日の講義は【神学1】【神聖魔法1】【瞑想】を受けることにした。
サリアル教授の講義は今日明日と休講になっていて、前から気になっていたこの二つの講義を受けてみたかったので少し覗いてみることにした。
神学ではこの世界の成り立ちから始まり、数々の試練と奇跡、人々の努力や目指すべき理想郷などの話があった。
また王国では1柱の信仰として女神さまを奉っている教会が主流派だが、他の国では多神教から精霊信仰まで多くの宗教があるようだ。この王国では邪神信仰以外なら迫害は受けないらしい。

神聖魔法は基本的概念から説明があった。
神の奇跡を魔法使いが媒介になり魔法として具現化するその方向性は二つ。
ひとつは奇跡を攻撃か防御の力に変える光の魔法、主にアンデットモンスターに効果があり【聖なる光】がどちらかに作用する。
ひとつは奇跡を回復の力に変える光の魔法、その力は最上級で死の淵に立っているものを現世に呼び戻すことが出来る。大抵は薬に頼ることになるが薬でどうにも出来ない場合には迷わず頼りたいのが神聖魔法だった。
回復・毒治療・病気治療などを始め、この魔法を取得したものは教会に入るものも多い。
王国での教会は信仰だけではなく医療・孤児院・教育を担当している面もあり社会的にも認められている職業だ。

講義は教会の魔法使いが担当していて説明を受けた所どちらかに偏る傾向があるらしい。
攻撃と防御も回復も出来る神聖魔法の使い手は稀のようで、どちらを覚えることになっても教会から推薦を受けるようになる。もし神聖魔法を取得したいようなら瞑想が重要なポジションを占めていることを教わった。
【一番近くにいて一番遠くにいる存在、一番遠くにいて一番近くにいる存在】それが女神さまを表す一番適した表現のようで「助けを求めるものには全員に手を差し伸べてくれる存在です」とウットリした顔で話していた。

魔法の技術的な話としては魔力を感知できる人が神聖魔法を見た時は光輝いて見えるらしい。
そして強い【聖なる光】の近くにいたものは覚醒しやすいと言っていた。
きっとレンもあの回復の【聖なる光】に影響を受けて受信しやすい状態になったのだろう。

今日の瞑想の講義では魔力を練ろうとは考えず無心で女神さまの事を考えていた。
この世界に来るようになったのはあちらの神様とこちらの神様の思し召しだ。
最終的に異世界に行くのを決めたのは自分だけど、恐竜がいる時代や戦国時代なんかに飛ばされたとしたらあっという間に死んでいただろう。そう考えるとこの世界にこられたのも悪くないなと思うようになってきた。

ふと肩に手を添える感触があった。
ゆっくり目を開けると一瞬だけ光が見えたようだけどすぐに霧散したようだ。
もしかすると教授が手を添えて共鳴を図ったかもしれないけど確認のしようがないし、この講義は特に私語禁止なので引き続き目を閉じて瞑想した。

午後は基礎魔法グループに顔を出したけどサリアル教授がいないようなので教室で自習となっていた。
「サリアル教授はいるけどいないよ、急いでいるなら呼べるけど」と講師の一人が教えてくれる。
「そういえば朝一番にフレアが拉致られてたな」と誰かが言うと可哀相に・・・と同情されていた。

少し遅れて冒険科での戦闘訓練の実技を行うことにした。
それが終わると今度は騎士科による行軍についての訓練になる、昨年の実績と予定ルートを考えて砂袋を持っての歩行訓練や緊急時の手信号を習う。この辺は騎士科が中心になって覚えているので今回特別覚える必要はないらしい。講師には今回の山岳訓練に参加する旨を話すととても喜んでいた。

参加者は講師とヴァイス・騎士科から2名・現地の村から1名案内者が出る予定で、後1名追加になるかならないか応募次第だという。出発は来週火曜日の朝で月曜の午後に荷物の確認及び可能ならその場での収納を依頼される。
「戻ったら美味い飯食わせてやるから頑張ってな、防寒対策だけはきっちりと頼む」とニッカリ笑う。
「雪山といえばチョコレートだよな・・・さすがにないよなぁ」と呟くと砂袋を担ぐ。
「おいおい、リュージは担ぐ必要ないんだぞ」とヴァイスは言うが足手まといになってはもともこもない。
「これも体力作りだよ」と言うと「ならいくか」と二人してみんなの後をついていくのであった。
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