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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
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031:戦略的撤退

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14,000PVを超えました。
 マイクロさんの戦い方は一度見ている。
主に突進してくる敵をまず盾で受け流すか止めて、相手がひるんだ隙にメイスで意識を刈り取る。
後は前線で敵の攻撃をいなして、その間に仲間が仕留めにかかる。
以上の事を考えると不用意に飛び込むのは厳禁、武器でやりあうのは愚作で飛び道具や魔法を使い足止めするか押し切るしかない。

「いつでもかかってこい、戦闘の意思が見えないときは警告がくるぞ」マイクロが挑発してくる。
一度杖を腰に挿してゆっくり歩き出す。
「そうだ、挨拶するのを忘れていました」と剣が届く少し前で右手を出し握手を求めるとマイクロは盾を持つ手で棍棒を持ち右手をあけて開始線で待っている。
ゆっくり近づき握手が出来るか出来ないかの位置まで進むと「お久しぶりですね、こっちに来てるとはおも・・・」で素早く木の短剣を抜き振り上げるとカンっと乾いた音が聞こえた。
「あははは、おしいってレベルにも到達してないな」と棍棒を右手に戻し激しくうけていた。
「でも、いい挨拶だった。元気そうで何よりだよ」と自然体に戻るマイクロ。
ジリジリ下がると動き出す気配もないので開始線に戻り「では、行きますね」と宣言する。

 短剣を杖に持ち換えるとまずは嫌がらせを始めてみた。
「ぶつぶつぶつ・・・」こんなもんでいいかなって感じで詠唱をしている振りをする。
サンドボールと唱えて杖をマイクロ上方に向けると狙いをはずして魔法は少し上に飛んで行く。
そしてマイクロの真上にいったあたりでブレイクと杖を振ると土がドサっと落ちる。
「変わった魔法を使うな」軽いステップで数歩下がると簡単にかわされてしまう。

 一回詠唱した振りをして気がついたんだけど、とてもめんどくさかった。
今度は振りなしでサンドボールを2個同時に発生させて時間差でマイクロを正面から狙う。
一個目は盾でいなされ、もう一個は棍棒の攻撃にあっさりドサっと大量の土に変わる。

「もうちょっと魔法の修行してからのほうが良かったか?」と言うので「じゃあ、ハンデください」と要求してみる。
「ものによるな・・・助っ人で手伝いたい奴いたら入ってもいいぜ」と客席を見回すマイクロにほぼ全員が視線を逸らした。
「ヴァイス・ティーナ、この状況に少しは責任感じている?」と意地悪な質問をした。
「そういうな、こんな面白い経験なかなか出来ないぞ」とヴァイスが木剣と小さい盾を持って入ってくる。
「もー、私がバランサー役をするしかないじゃない」と言うと木槍を持ってティーナが入ってきた。

「助っ人を認めた以上、無様な戦闘は許されないぞ」とこちらに殺気をぶつけてくる。
「ヴァイス・ティーナ、不用意に突っ込むとやばいぞ。きっかけを作るから同時攻撃で対応してくれ」
「作戦会議はいいかな?」とマイクロが不意に突っ込んできた。
ブロック・ブロック・ブロック、三人の誰に来てもいいように足元に土の塊を発生させる。
「定石で言えば最初に魔法使いを潰すだな」とヴァイスが自分の斜め前に陣取る、そして少しスペースを空けてティーナが木槍を構える。軽く躓いて勢いを削がれたマイクロは急ブレーキをかけロングレンジからミドルレンジの位置に陣取る。
ストーンウォールと唱えるとマイクロの後ろに高さ2m×幅4mの土壁が発生し、一瞬後ろを見た隙をついてティーナが槍を突く。難なくかわすマイクロに素早く間を詰めたヴァイスが木剣を振り下ろす。
マイクロは自然な動きで盾を軽く振るうと当たった木剣は大きく流され体勢を崩すヴァイス。
一瞬でマイクロの必勝パターンに入りかかってると思い、当たらなくて元々と杖を左手に持ち木の短剣をマイクロ目掛けて投げると意識をこちらに向けさせることに成功できヴァイスとティーナは「「助かった」」と武器を構え直す。

「正直倒すビジョンがみえないな」とヴァイスが言うので「ちょっと荒っぽくいくよ」と魔法の連打を始める。
サンドボールを少し上方に撃ちブレイクで土の塊を落とす。
今度は魔法が真上に来るまでにマイクロは移動を終えていて多少足場が悪くなるくらいだった。
二個三個とマイクロが魔法を避けているタイミングでヴァイスとティーナが攻撃をしかける。
圧倒的な経験差で盾・棍棒を使い全部かわされると次第に前衛の心が折れてきたようだ。

 壁があるので後ろに下がることもできず、複数を相手にしても前線を維持できる。
これは顧問でも戦いたがらないはずだね。
「こんなもんで終わりか?降参すれば苦しまないように一撃で仕留めてやるよ」と物騒なことを言うマイクロ。
「降参しないとどうなるんですか?」と聞くと「ボッコボコだな」と笑みを浮かべる。

「ヴァイス・ティーナ、もうちょっとだけ付き合ってくれ」と言うと集中を始める。
マイクロがまた攻撃に切り替えヴァイスが一生懸命さばいている。
ヴァイスやティーナに訓練をつけているような感じに見える。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 午前の授業で学んだのは属性魔法の特性についてだった。
土水風火の属性魔法は理科や科学で言うところの固体・液体・気体にエネルギーで表現出来る。
そして物質をもし作るとしたら土魔法が安定しやすいという話があった。
魔法の素質があるものは魔法瞬発力というか魔法持久力に優れている人が多く、精霊や神に祝福を受けた人はその分野の魔法を覚えやすいと言っていた。
魔法の研鑽を積んだ人(多分レベルがあがった人)は今まで出来なかった魔法も覚える事ができるらしい。
そして一番大事なのが複数の魔法を使える人は特殊な魔法を覚える可能性があることだった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 今ならこっちに意識がないはずだと落ちた土から物質を創造させようと意識を集中です。
最初、土で手首から先を創造させようとしたがイメージがうまく伝わらずに土に還ってしまった。
水の力を混ぜて土属性の魔力を集中する。

《New:スペル マッドバインドを覚えました》

 突如発生した土の山から二本の泥の手が産まれる、マイクロの足首を掴むと「今だ上下に揺さぶりをかけながらながら攻撃を」とヴァイスとティーナに叫ぶ。
二人に攻撃を任せて全力で壁の後ろに走る、マイクロがいる場所の壁の真裏に行き壁を解除する。
そして後ろから降参を求めようと杖を振り下ろそうとした時、マイクロが背後へのノールック盾強打を行いマッドバインドが土に還る。そしてヴァイスの顎を掠めるように棍棒を振りぬき、木槍を目線だけで留めさせる。
ティーナは両手を開いて槍を放すとカランとした音と共に「それまで」の声が聞こえた。

「救護班、担架を二つもって来い」と顧問が叫びマイクロとサリアル教授がこちらの様子を確認に来る。
まだかろうじて意識があったのでどうしようか考えていると「そのままこの場所から避難しなさい、今日はお説教と賞賛を相殺しておきますので」とサリアル教授が自分とマイクロにしか聞こえない声で囁く。
「十分休息を取ったら今日は帰っていいぞ」とマイクロも小声で言う。

 救護班が担架を持ってくるとティーナが付き添うと言ってくる。
そしていつの間に見学していたのかザクスとレンも手伝ってくれた。
保健室に着くとローブを脱ぎ大きく伸びをする。
「魔法使いに戦いを挑む盾役って大人気ないな」と軽口を言いベッドに倒れると爆笑された。
なんでも3人いる顧問のうちの一人は実はマイクロだったからだ。

「この学園の教授や顧問は基本的に国の仕事に就いている。マイクロさんは何と言うかな?聞きなれない言葉で言うならば裏近衛なんだ。」とヴァイスが説明してくれる。
この学園の卒業生であるマイクロはとある縁で王子を守る職に就いている。
お互いにただの悪友だと語る間柄で定期的にマイクロは存在を消すそうだ。そしていつの間にか王都に戻ると忘れた頃にこのグループに稽古をつけに来てくれる。今日初めて会う部員も多くいたが先輩や顧問から多くの武勇伝を聞いていたらしく嵐が去るまで身を屈めるように言われたそうだ。

「リュージは運が良かったのか悪かったのか」とティーナが言うと「「「最悪だよ」」」と笑われた。
ところで何でリュージはマイクロさんと面識があるの?とレンが質問してきたので今までの経緯を説明した。
王都にきたら冒険者になって色々な魔法を使ったり、かっこいい武器で敵を薙ぎ払ったりするイメージだったんだけどね。あっちで農業して料理して、こっちきてからお菓子作ったり勉強したりと予定を大きく逸れてるよと愚痴る。

「冒険か・・・、多分俺らが集まればゴブリンくらいは余裕だよ」とヴァイスが笑顔でこちらを向くと「「それ私(俺)も数に入ってる?」」とザクスとレンが聞いてくる。「ザクスはポーションがあれば十分戦力になるしレンも色々経験にならない?」とティーナが追随する。
みんな冒険者カードは持っているらしく戦闘以外での収集なんかはかなりの戦力になるようだ。
「このメンバーでパーティー組んだら面白いと思うけどな」とヴァイスが言うと悪くないなと思った。

 ノックが聞こえる、サリアル教授とマイクロが様子を見に来た。
「楽しそうな話してるな、でも今すぐにいくのは止めておけ」とマイクロが言う。
さっきの模擬戦の後、騒がしいあの場を収める為に全員に指導してきたそうだ。
そして全員に共通して言えることは『今は体作りをしたほうがいい』ということ。
筋力・持久力・瞬発力・戦闘動作の全てが足りないらしい。
冒険者ギルドで討伐依頼を受けるにはDランク以上になる必要があるし、EからDになるには戦闘関係の試験があるそうだ。これは学園での試験でも代用できるので是非身につけてくれとマイクロが言う。

「体は問題なさそうですね」というサリアル教授は「説教をするつもりはありません、ただ・・・春までは基礎を学ぶべきです」とまだ準備が足りない事を指摘する。「特に魔法使いが不用意に前衛の立ち位置に居たり、とどめを刺そうとするのはいただけません」と指摘を受ける。
もしパーティーを組むなら申請が必要で、皆の同意があれば組む分には問題はないそうだ。

 グループ活動は個人のやる気に関わってくるので自分にあったもの興味を持ったものに参加して欲しいとのこと。
「基礎魔法グループに来てもらえるなら指導も出来ますし、薬学科や農業科のグループに入れば畑や開墾地等も借りられます」とサリアル教授が説明する。
とりあえず今日はゆっくり休んで明日からまたグループ見学をするといいでしょうと言われた。
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