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その鎌で何刈る気 作者:織田 涼一
17/92

017:外堀

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3800PVを超えました。
決戦まで辿り着けませんでした・・・。
 気持ちはどんよりしていた。
この村にいる分には正直お金を使わないし、冒険者になるなら王都で本格的に稼げばいい。
やはりこの村にとって自分は異物なのだろうかと問わずにはいられない。

 村長とは別れ、木陰で考え事をした後にとりあえず仕事をして意識を変えようと思った。
食堂の裏口から大将と女将さんに挨拶をすると何やら空気が重いようだった。
「おはようリュージ、ちょっと困った事が・・・な」と何やら話しにくそうに大将が切り出す。
話を聞くと代官からの使いが来て、畑の開墾により今年の労役は十分に果たしたとのこと。
この食堂での自主的手伝いは問わないが、今後は給金が発生しないと伝えられたと言う。
そして今までの仕事と熊退治の案内の報酬及びボーナスとして銀貨2枚が支給された。

「バカじゃねーのか、あの代官」と大将がいうと女将さんは声が大きいと窘める。
ツッコミ所はそこなのですねと軽くおかしく思ったが徐々に外堀を埋められているようだった。
「じゃあ、お昼時だけ手伝いに来ますね。後は・・・事前に連絡を頂ければ」と濁しておいた。

 野菜の下準備や洗い物が一段落すると手伝いに変わったお仕事は終わりである。
片付けをして一度帰ろうと外に出ると私兵がいた。
これがまた挨拶するには遠く、かといって無視するような近さでもなかった。
ため息を軽くつくと今のうちに準備できるものを買っておこうと思う。

 ゆっくり歩くと一定の距離を保ちながら私兵がついてくる。
早足にすると早足に休憩で休むとあっちも休むみたいな感じだ。
無視して雑貨屋さんまで行き色々物色してみる。

 現在の所持金は銀貨50枚+42枚。
「こんにちはー、リュージでーす。約束通り仕事を頑張ったので買いにきましたー」と言うと奥からお婆さんがやってくる。
「いらっしゃい、何か買うかね」と言うのでまずは大量の荷物を持ち歩きできるように背負えるカゴを選ぶ。
着替え用にシャツ・ズボン他サイズが合うものを選ぶ、そしてタオルとして使えそうな大小の布を数本選んだ。
生活雑貨のザルも5個くらい欲しいな、包丁・まな板・木の大皿・小さい鍋・大きな鍋・丸型のバスケットっぽいカゴ・木杓子やフォークやナイフ等も買う。
また、村で取れた野菜も置いてあったのでキャベツと玉葱と人参をカゴに入って背負える重量だけ買う。
「おやおや、近年稀に見る量だね。はい、御代は銀貨300枚」といきなり高値を言ってくる。
一瞬固まり・・・え?そんなにするんですか?と聞くと「冗談が通じないのは悲しいねぇ。さーびすで銀貨30枚で良いぞ」と微笑む。
全部カゴに入れて背負うと一瞬「うっ・・・」となるくらいの重さになっていた。
でも、この重さを持てるってステータスに変化があった可能性がある。
小声でステータスオープンと呟く。

ステータス
【名 前】:リュージ
【レベル】:01
【職 業】:不明
【生命力】:20
【魔 力】:18(+4)
【筋 力】:09(+3)
【敏捷力】:06
【持久力】:08(+2)
【耐久力】:08
【知 力】:12

 名前の表示が変わっていた、また筋力と持久力にボーナスがついていた。
新しく取得できたのは短剣か農業姿勢/農業動作くらいなので多分後者の補正がついと思う。
ステータス表示を消すと荷物を担いで孤児院へ歩き出す。
私兵はお店のお婆ちゃんに聞き込みをしているようだった。

 孤児院に入る前に誰もいない事を確認し、今日買ったものを全部ウエストポーチへ仕舞う。
重量とかも気にならないし、まだまだ入りそうな予感がする。
孤児院へ帰るとマザーが神妙な顔をしていた。
肩に手を置き「あなたが苦しむ必要はないのですよ」と自分だけに聞こえる声で言う。

 食事が終わると部屋での作業に入る。
折角1番の畑を耕したので何か植えたいと考えていた。
素材の味が生きて単品で美味しく調味料を使わなくてもなんとかなるもの・・・。
そうだ、サツマイモにしよう。みんなで芋掘りとかも楽しいかもしれない。
そう思うと苗を準備することにした。

 ここに居れる日もそう多くないなと思う。
作業が終わるとこっそり花壇の所に行き、成長促進と呟くとトマトとパンジーは蕾の状態までに育つ。
翌日、食事の時にもし次の畑が開墾できたら子供達に手伝って欲しい事があるとお願いした。
昨日花壇の様子を見たので表情でばれないように今日はみんなにお任せする。
どちらにせよ報告に来るので状況はわかるんだけどね。

 鍬を担いで孤児院を出ると私兵がついてくる。
開墾目的地へ行くとわかると何時の間にか消えていた。
現地には村長がいたので挨拶と「昨日はありがとうございました」とお礼を言う。
「力になれなくてすまんかったの」と言うと食堂の事・あからさまな私兵の監視を相談した。
「そろそろ考える時期かもしれんの」と村長は憤慨していた。
話を聞いてみると、この開墾場所も基本的に村人を立ち入り禁止にしていたようだった。
「開墾だけさせて掠め取る気なのかの、底が浅すぎて逆に次の手が読めないとは・・・」辛辣な評価だった。
「そうだ、村長さん。ここって開墾したら何を植えてもいいんですか?」と聞くと「好きに使うと良いんじゃの」と返事をする。
「こちらも見張られている可能性もあるので退散することにすることにするの」と言うと村長は帰っていく。

 この後2番に開墾魔法を使いあっさり最後までの開墾を終わらせる。
食堂を手伝い、仕事が終わったので鍬を担いで開墾予定地に行くと分かると、ついて来た私兵がまたどこかに消えていく。あまり急に作業を終わらせても問題なので、空いた時間で魔法の修行をしてみる。

 鍬を使い魔力を流しながら植物を植える場所を分ける畝を作る。
一本引き終わると地面に魔力を流し畝作成と呟く。
某表計算ソフトの幅を記憶しながら同じ操作をするみたいに畑一面に畝が出来上がった。

《New:スペル 畝作成を覚えました》
《New:土属性魔法のレベルが上がりました》

 象さんの鼻型ジョウロを出して魔力を流して水を撒く。
結構これ時間かかるな・・・。
試したい事があったので畑の真ん中に立つとジョウロの水が出る部分を切り離した。
水の魔力を込めてジョウロの先から出すイメージをする。
このままでは遠くまで届かないと思いエンチャントの【回転/移動】の要素を注ぎ込む。
そのまま両手を集中して花が咲く姿のように手を上に上げスプリンクラーと呟く。
クルクル回転するジョウロの先から通るはずのない水の量が遠心力で畑の端から端まで降り注ぐ。
そして適量と思われる量が降り注ぐとジョウロの先は手元に落ちてきた。

《New:スペル スプリンクラーを覚えました》
《New:らくのう魔法のレベルが上がりました》

 大分適当にやっても魔法として発動するようになったなぁと思う。

 そうだ、精霊さま達にも挨拶しとかないかなと思い呼びかけてみる。
「モグラさん、土の精霊さま、水の精霊さま、緑の精霊さまいますかー?」と声をかけると前回と同様サングラスに報酬第二と書いた黄色いヘルメットをかぶったモグラさんがやってきた。
そして地面から看板を出した「呼んだ?」と、ヘルメットの文字を変えるとはなかなか芸が細かい。

 多分そろそろこの土地を離れると思うから旅立つ前に挨拶したいと告げる。またご馳走したいからその時は是非来てねと伝言を頼んだ。「任せて」の看板を出したモグラさんは、すかさず回転させて「お土産も宜しく」とアピールした。

 翌日は孤児院のみんなでサツマイモの苗を植え、一緒に来てくれたシスターに子供一人当たり銀貨1枚としてまとめて渡した。きちんと頑張った人には報酬は必要だよね。
畑2箇所分の苗を植え、食堂を手伝いまた農作業をする。
その後1日一箇所ずつ耕して行き、花壇のほうはトマトの花が咲いた後緑の実をつけ始めたので摘果を行った。

 開墾後の畑には毎日成長促進魔法を使い順調に成長させる。
また、見学に来た農家さんと世間話をするようになり植えてない方の畑の土は自由に使っていいことを話す。
多分この村での実りが少ないのは土の力が弱いからだと予想していた。

 魔法を使いまくったので魔力タンクのレベルも上がっていた。
6番目の土地を開墾し翌日にはまとめて開墾した給金を村長から貰う。
そして三日後に代官(領主)の屋敷へ来るようにと連絡があった。
所持金:銀貨253枚(内50枚は保管予定)
銀貨:50+40+2枚= 92枚
銀貨:-30枚-9枚 = 53枚
銀貨:200枚    =253枚
+注意+
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