私のお母様は壊れている。
あるとき異世界より落ちてきた女性、それがルミ・コウサカ。
この世界にはない黒髪黒眼の彼女に多くの男達が魅了された。その愛故に監禁されたり色々と大変だったらしいが、彼女を妻とした一国の王シャインは彼女を狙う男達を蹴散らして、彼女の心ともども射止めた。
それから彼女は皇后となって、幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
ってのが、大雑把なルミ……私のお母様とシャイン……私の父に関する世界中に広まっている有名な恋物語。
お母様を守り抜いたお父様は世界中の憧れであり、多くに愛された末愛する人と結ばれたお母様は女性達の憧れなんだそうだ。
パタンッと、そのことが書かれた本を閉じる。私はサエリア・ルーファベルト。ルーファベルト帝国の第一皇女。現在13歳。
ベッドの上に腰かけたまま、ただお母様の事を思う。
私の知っているお母様は決して幸せではない。物語と事実は違う。
私はお母様が泣いていた事を知ってる。
悲しんでいた事を知ってる。
絶望していた事を知ってる。
とっくに心が壊れてしまっている事を知ってる。
「サエリア」
お母様が笑って、部屋の中に入ってきた。後ろには母仕えの侍女とまだ幼い妹と弟がいる。
お母様の笑顔を見るだけで、胸が痛くなる。本当は笑いたくもないのに、笑っているお母様を思うと苦しい。
お母様は泣かなくなった。お母様は笑うようになった。でもそれは、お母様が幸せだからではないことを私は知っている。
幼いころ、お母様はよくないてた。嫌だ、とどうしてと嘆いて泣いていた。
ポロポロと涙を流して、私の腕を掴んでいたお母様。憎くて仕方がないって目を向けられた事もあれば、ごめんねと謝られた記憶もある。
私は、幼いころ泣きわめくお母様の言葉を聞いてきてたの。苦しいと叫んでしまったり、暴れそうになるお母様の言葉をずっと。
『どうして、こんなことに……。私は普通のジョシコウセイだったのに…』
『子供なんて生みたくなかった…。グインの奥さんに、なりたかったのにっ』
『ごめん、ごめんね。あなたが悪いわけじゃないのわかってるの。でもそれでも!! 私はアイツとの子供なんて憎いの!!』
お母様はお父様の皇后になんてなりたくなかった。グインと結婚したかったといっていた。私はその名を私は知っていた。この帝国の騎士だった男。物語の中で、お母様を監禁したとされる人。
私を憎いといっていた。生みたくもない男の子だから。でも、いつもその後冷静になってお母様は謝っていた。優しいお母様は可哀相な人だった。
そして、お父様はひどい男だった。
お母様を縛り付ける。お母様の大切なモノや人を人質にして。優しいお母様を縛り付けた。
そして泣き叫ぶお母様に、笑う事を強要した。
お母様が何かミスをするたびに、死んだんだ。お母様が大切に思っていた人達が。
それは情報操作などによって美化されて、お母様を狙う悪い奴らとされているけど、それは違うって知ってる。
そうして長年の時が経ち、お母様はいつも笑ってる。
そう、いつもいつも。何も感じてないように笑ってる。誰にでも笑ってる。
笑えと強要され続けたお母様は、いつも笑うようになった。
お父様はよくお母様を犯しに行く。それはきっと同意ではなかっただろう。だからお父様は長年お母様を強姦し続けているようなものだ。
お父様は何て酷い男何だろう。そんな風にお母様を縛り付けて、お母様を壊して。
幼い妹も弟も、周りもきっと笑い続けるお母様の幸せを疑わない。お母様が泣くのは私の前だけだった。
暴れたら監禁されたショックだのお父様がいっていたらしいし、笑う事を強要されて人前でお母様は泣かなくなった。人前で泣いたら、暴れたら、酷い仕打ちをされるのだ。お母様は毎回。
お父様は周りから見たら、優秀で優しい帝王らしい。だから誰もお父様のお母様に対する仕打ちを疑いもしない。
いつも笑っているお母様が、絶望しているなどと誰も信じない。
「サエリア」
笑う事しかできなくなったお母様は壊れてる。
――――私のお母様は壊れてる。
(可哀相であわれなお母様。私はお母様を助ける術を持たない)
突発。何となく思いついた話。色々文章おかしいかもです。勢いで一気に書いたので、不自然な点ありましたら教えてください。
サエリア
第一皇女。可哀相な母をどうにかしてあげたいけど、そんな力はなくて、笑うしかしなくなった母を見て心を痛めてる。父親は嫌いで、酷い男だと思っている。
ルミ(漢字は高坂留美)
トリップ者。もとはただの女子高生。トリップして、逆ハー展開後、帝国の王につかまった可哀相な人。結果壊れて、笑う事しかできなくなった。
シャイン
外面だけはいい、酷い奴。ルミに執着しまくる。子供の事は可愛がってはいる(本性知らない妹や弟はなついてる)。