移ろい
二人の画家が隣同士で暮らしていた。
二人は幼少のころから絵を描き続け、大人になってからもそれは同じように続いたが、評価まで同じとは言えなかった。
なにしろ二人の画風はあまりにも対照的だったからだ。
一人は見たままを正確に写実し、人や動物の躍動感をそのまま絵に閉じ込めたような作品が多かった。
しかし、彼の評価はいま一つだった。
もう一人はそれとは対照的にまるで絵具をキャンバスにぶちまけたような作品が多かった。
そして、彼の評価は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
「なんて素晴らしい作品なんだ!」
「見ている者の心にここまで刺さる絵が描けるなんて!」
「それにひきかえ、こっちの絵はまるで話にならないな」
「見たままをそのまま描くのなら俺にだって出来る」
二人の評価はそのまま変わることなく、生涯に幕を閉じた。
それから数世紀たち、二人の絵は再び衆目を集めることになる。
「なんて素晴らしい作品なんだ!」
「まるで生き物をそのままキャンバスに閉じ込めたようだ!」
「それにひきかえ、こっちの絵はまるで話にならないな」
「絵具をそのままぶちまけるだけなら俺にだって出来る」