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 木馬は、とうとう冬の女王の城へと着いたようでした。ガタガタという揺れが収まったからわかったのですが、毛布にくるまって眠っていたロールは目を覚ましたのです。翼を広げ、おおいかぶさるように暖めてくれていたハゲタカも目を覚ましました。「ついたよ」とロールはささやきます。

「そのようですね」

 ロールは穴からそっと顔を突き出してみました。木馬は荒地の中央にいます。引いてきた馬たちはすでに切り離され、男たちと一緒にもう背中を見せているではありませんか。来たばかりの道を戻っていこうとしているのです。出発してから丸一日がたって夜が明け始めたところで、アクビをしかけましたが空気の冷たさに気づいて、ロールは体をブルッと震わせました。だけどすぐに、彼は大きく目を見開くことになりました。朝の光が冬の女王の城を照らし出し始めていたのです。

 高い城壁があり、門はまだ閉じていますが、そのすぐ目の前に木馬は置かれているのです。これがプレゼントであることは誰の目にもすぐにわかるに違いありません。

 冬の女王の城とは、何に似た形をしているといえばいいのでしょう。よいたとえをなかなか思いつきませんが、西洋の騎士がかぶるカブトのようというのが一番近く、わかりやすいかもしれません。のちにこの城で暮らすようになったとき、ロールはよくまわりの荒地を散歩したのですが、少し離れた場所から見ると本当に巨人がひょいと脱いで、休憩をするために地面に置いたカブトのようだなあと何回も思ったものでした。

 馬と男たちが遠ざかり、視野の外へと消えてしまうと、木馬のまわりは本当に静かになってしまいました。耳をすませてももう何の音も聞こえません。城の中も同じようで、そろそろ住人たちが起き出してきそうなものですが、まだ何の気配も感じることはできませんでした。

 だから城門が突然開いたとき、ロールは飛び上がるほど驚いたのです。だけどハゲタカが頬にそっと触れてくれたので落ち着きを取り戻し、壁の穴に近寄って様子を眺め続けることができるようになりました。

 門を開いたのは数人の若い娘たちでした。みな真っ白なドレスを身につけているので、夜明けの薄明かりの中でもはっきりと見ることができます。だけどロールは奇妙なことに気がつきました。娘たちの一人が手に弓を持っているのです。かなり長く大型で、いかにも威力のありそうなものです。もちろん矢がつがえてあるのですが、その根元にはロープが結び付けてあります。だから娘が矢を射ると、後ろに引きずられながらロープは宙を飛ぶことになりました。

 矢は、ロールがいる場所の少し上のあたりに命中しました。びっくりしてロールは顔を引っ込めましたが、振り向くと窓の中央をロープがダラリとたれさがる形になっていることに気がつきました。さんざめき、娘たちがくすくす笑っている声が耳に届きます。何か仕掛けがしてあったらしく、ロープはするすると動き始めるではありませんか。そっと顔を突き出すと、娘たちがロープをつかんで引いているのだとわかりました。それだけでなく、ロープの先には縄ばしごが結び付けてあるではありませんか。すぐに縄ばしごは、ロールのすぐそばにまで届けられました。

 バタバタと羽音が聞こえ、思いがけずハゲタカが飛び立ちました。穴から外へと飛び出して、縄ばしごの先をクチバシにくわえました。そのまま木馬の耳へと、さっと縄ばしごを引っかけるのが見えました。この巨大な木馬の耳です。とても分厚く頑丈に作られています。少々何があっても、折れたり壊れたりする心配はないでしょう。これで縄ばしごが、ロールのいる場所から地面までしっかりと降ろされたわけでした。

 ハゲタカにうながされ、ロールはそれを降りていったのです。すぐに地面に足を届かせることができました。娘たちが歓迎してくれたことはいうまでもありません。そのまま城の中へと案内され、物珍しさと期待とで、ハゲタカの姿がいつの間にか見えなくなっていることにだって、ロールは気がついてはいませんでした。


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