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将棋入門一歩前!  作者: 稲葉孝太郎
王様を詰ませよう!
21/60

自玉と速度計算2

 うふふ、もうすぐゴールデンウィークだね。

 今日も張り切って部室に行くよ。

「頼もう」

 私が古風に挨拶すると、部室のみんなが一斉に振り向いた。

 今日は盛況だね。知ってるメンバーは、全員いるかな?

 まずは歩美(あゆみ)ちゃんに話し掛けて、と。

「歩美ちゃん、答え合わせしよ」

 私が声をかけると、歩美ちゃんは盤面から顔を上げた。

「いいわよ」

 何をしてたのかな?

 ……あ、将棋の本の内容を、盤で再現してたんだね。

 駒がたくさんあって、楽しそう。

「じゃ、第1問から、状況を説明して」

 第1問は……。

 

挿絵(By みてみん)


 これッ! まずは、自分と相手の状況を説明するね。

「お互いに詰めろがかかってるよ」

「その説明だと、60点かな。ギリギリ合格ラインね」

 ん? 何か説明し忘れた?

 ……あ、そうだ。

「ごめん、どっちも必至だね。解除不能な詰めろだよ」

「正解。それで100点ね」

 昨日の夜は覚えてたんだけどね。うっかり、うっかり。

「じゃ、速度計算の結果は?」

 結果は……。

「私の方が先に指せるから、頭金で終わり」


挿絵(By みてみん)


「正解。こういう状況を、一手(いって)早いというの」

 確かに、私の方が一手早く相手の王様を詰ませてるね。

「第2問は?」


挿絵(By みてみん)


 まずは、状況整理だね。

「これは、どっちにも詰めろがかかってないよ」

 もちろん、狭義の詰みと広義の詰みも、発生してないよね。

 王手がかかってないし、私の玉も相手の玉も、すぐには詰まないよ。

「オッケー、そこまではいいわね。じゃあ、速度計算は?」

 んーと……それは……。

「計算不能、じゃない?」

 私の回答に、歩美ちゃんはしばらく口を噤んだ。

 ……間違った?

「どうして計算不能?」

「速度計算の定義は、『どちらの王様を先に詰ませることができるか?』だよね。今はどちらの王様も詰まないから、どっちが先に詰むかなんて、言えないよ」

 これは、寝る前にじっくり考えたから、合ってると思うんだけど……。

「んー、考え方は立派だけど、結論は間違ってるわ。抽象的で分かり難いと思うから、喩え話をしましょう」

 喩え話? イソップ物語かな?

「学校へ行こうとしてるAくんとBくんがいます。Aくんは登校の準備を済ませて、Bくんはまだ着替えもしていません。学校からの距離が一緒で、足の速さも同じと仮定した場合、どちらが先に学校に着くでしょうか?」

 算数みたいな問題だね。時速何キロメートルとかは、出てないけど。

「Aくんだよ」

「どうして? Aくんはまだ、歩き始めてないのよ?」

「Aくんは準備を済ませてるから、歩き出そうと思えば先に歩き出せるよ」

 Bくんは、最初にお出かけの準備をしないといけないから、後になるよね。パジャマ姿でそのまま学校に行くんなら、話は別だけど。

 私がそう答えると、歩美ちゃんは人差し指を立てた。

「じゃあ、話を将棋と摺り合わせるわね。詰めろは、詰みの何?」

 詰めろは詰みの……。

「準備段階」

「じゃあ、第2問の局面で、先に準備が完了するのは、どっち?」

 先に準備が完了するのは……あッ! そういうことかッ!

「私だね。私が先に詰めろをかけることができるよ」

 例えば2三金と打てば、次に2二金打で詰むから、詰めろだよ。

 相手も8七銀と置けば詰めろだけど、私の方が一手早いね。

「そっか、理解したよ。速度計算は可能で、私の方が速いよ」

「正解。というわけで、速度計算が可能かどうかと、詰みの有無は関係ないの」

 それは気付かなかったね。将棋って、やっぱり難しいな。

 でも、最初の頃に比べると、凄く進歩してる気がするよ。

「オッケー、それじゃ、先に進みましょう。何を指す?」

 ん? 指さなくても、答えは出てるんじゃないかな? 確認?

「2三金と置くよ」


挿絵(By みてみん)


 これで、敵玉は必至だね。私の勝ち。

 私がにこにこしていると、歩美ちゃんは角を持ち上げ、それを6七に打った。

 

挿絵(By みてみん)


 え? 反撃してくるの?

 でも、歩美ちゃんの王様には、必至がかかってるから……あッ。

「王手だね……」

「そうね、王手よ」

 2二金は、王手放置で私の反則負けだね。

 7八金と受け……たら、歩美ちゃんの王様が捕まらなくなるね。

 金はとっておかないといけないから……。

「7八桂でガードするよ」

「あ、それはダメ」

 歩美ちゃんはそう言って、9八歩成とする。


挿絵(By みてみん)


 ……詰んじゃった。

「7八桂が、王様の逃げ道を封鎖してるわね」

「そうだね……」

 うーん、7八金でも同じだし、どうすれば……。

 あ、これがあるね。

「7八歩と受けるよ」


挿絵(By みてみん)


 今度は、9八歩成に7九玉と逃げられるよ。私の勝ち。

 私がそう思っていると、次に指された手は……。

 

挿絵(By みてみん)


「……」

「どうしたの? 数江ちゃんの番よ?」

 わ、私の金……。

「ギブアップ」

 私が降参すると、歩美ちゃんは仕方無さそうに頷いた。

「そうね、これは数江ちゃんの負けでしょうね。私の王様には詰めろがかからないけど、数江ちゃんの方は、次に8七金の詰めろがあるわ。私の味方は歩、香×2、銀、金、馬。数江ちゃんは歩×2、桂、金で、戦力が違い過ぎるもの」

 だね。ちょっと勝負にならないよ。馬が強過ぎるしね。

「でもさ、これって変じゃない?」

「変? ……何が?」

「速度計算では、私の方が速かったんだよね? 何で逆転してるの?」

 私の疑問に対して、歩美ちゃんは盤面を最初に戻した。

「速度計算って言うのは、『ある時点の』速度であって、変化しないものじゃないの。例えば、さっきのAくんとBくんの話だって、Aくんが途中で寄り道をしたら、Bくんの方が先に着くかもしれないでしょ。今回の将棋の場合は、数江ちゃんの2三金に対して、私が6七角と応じた瞬間、速度が逆転してるのよ」


挿絵(By みてみん)


 んー、そっか、確かに、ここから金を取られて悪くなったもんね。

 速度は一定不変じゃないんだね。状況によって、いくらでも変わるんだ。

「本来は、こういう変化も含めて考えるのが、速度計算よ」

 難しいね。下手すると、物理のテストより難しいかもしれないよ。

 等速直線運動なら、速度は一定だもん。

「マラソンみたいだね」

「それは、いい喩えね。ただ違うのは、将棋の場合、相手の妨害をしたり、出し抜いたりすることが認められてる、ってことかな。6七角みたいにね」

 そうだね。6七角は、マラソンだと、後ろから殴ってるような手だもんね。

「追い抜かれないようにしないといけないんだね」

「そうね。……追い抜かれない手はある?」

 追い抜かれない手は……。

 要するに、角の王手で、駒を取られなければいいんじゃないかな?

 例えば……。

「3三金って打ってみるよ」


挿絵(By みてみん)


「なるほどね、これなら6七角、7八歩に、2三角成とできないわね」

 うん、そんなことしたら、同金で角を取れちゃうよ。さすがに私の勝ち。

「反撃が利かないから、3一銀と受けるわ」

 そこで3四桂……は、また6七角の王手があるね。

 7八歩、3四角成、同金……戦力は均衡してるけど……。

「2四桂って打つよ」


挿絵(By みてみん)


 次に3二金打、同銀、同金で、狭義の詰みだね。

「正解。9八角と王手をかけながら3二の地点を守っても、7八玉、5四角成、1二金、同香、同歩成。私の負けね」


挿絵(By みてみん)


 やったね。ようやくクリアだよ。

「じゃ、第3問。これはどう?」


挿絵(By みてみん)


「まずは、状況を整理してちょうだい」

「うんとね、私が先に詰めろをかけることができるよ」

 8七飛成が怖いけど、それは同桂。

 9八飛成の詰みは、9四の角が防いでくれてるね。

 だから、私の方が速いよ。

 但し、先を走ってても、背後に注意、と。

 2三金じゃなくて……。

「3三金ッ!」


挿絵(By みてみん)


 これで、相手は角しか持ってないから、防御不能だよ。必至かな?

「正解。第2問が分かれば、簡単だったかしら」

 だね。第2問が一番難しかったかも。

「ちなみに、2三金は何でダメなの?」

 2三金がダメな理由? 簡単だよ。

「それは、6七角で金を……」

「同桂」


挿絵(By みてみん)


 ……うん、6七は、桂馬の移動先だね。

「ご、5六角だよ。そうすれば金を……」

「6七角」


挿絵(By みてみん)


 ……あれ? 2三角成だと、同角成だね……詰めろだよ……。

「2三金でも良かったかな?」

「待って、その局面を、よーく見てちょうだい」

 うん、よーく見るよ……あ、何だ、そういうことか。分かったよ。

「2三金、5六角、6七角、2三角成、同角成は、9八飛成で詰みだね」


挿絵(By みてみん)


「でもさ、6七角じゃなくて、6七金って受ければいいんじゃない?」

「それは同角成かな」

 同角成? いきなり角を切っちゃうよ?

「同角だと?」

「9八飛成」


挿絵(By みてみん)


 ……あ、同じ筋で詰んでるね。9四の角は、動かしちゃダメなんだ。

「じゃあ、同桂だと?」

「8七飛成」


挿絵(By みてみん)


 7九玉は7八金。

 8八角も7八金、9九玉、8八金……詰んでるね。

 そっか、7九の桂馬がいなくなったら、8七の地点がスカスカなんだ。

 だから、私の負け。途中で速度が逆転してるよ。

「というわけで、2三金は、やっぱりダメね」

 そうだね。ただ、ここまで変化が多いとは、思わなかったよ。

 特に、9四角が移動すると詰むのは、まるで手品みたいだね。

「ま、速度計算に関しては、こんな感じね。後は実戦で鍛えましょう」

 はーい……ん? 今、実戦って言った?

 もしかして……。

「次から実戦?」

「あと数センチのところまで来てるわ」

 やったッ! ついに実戦だよッ!

 でもその前に、数センチを埋めないといけないね。

「その数センチっていうのは?」

「細かいルールとマナーよ……。だけど今日は、速度計算をまとめて終えましょう」

 うーん、今日はお預けか。ポチの気持ちが分かるよ。

「速度計算は、基本的に、次のようにまとめられるわ」

 歩美ちゃんはホワイトボードに向かい、長い表を書き始めた。



 【速度計算フローチャート】


 1 狭義の詰みが発生している。→既に詰んでいる方が負け。

 2 広義の詰みが発生している。

  2-1 お互いに発生している。→先に指せる方が勝ち。

  2-2 相手の王様にだけ発生している。→自分の勝ち。

  2-3 自分の王様にだけ発生している。→自分の負け。

 3 広義の詰みが発生していない。

  3-1 詰めろをかけることはできる。

   3-1-1 お互いに詰めろをかけられる。

    3-1-1-1 先に指せる方の詰めろが必至。→先に指せる方が勝ち。

    3-1-1-2 後で指せる方の詰めろが必至。→先に指せる方が速い。

    3-1-1-3 どちらの詰めろも必至。→先に指せる方が勝ち。

    3-1-1-4 どちらの詰めろも必至ではない。→先に指せる方が速い。

   3-1-2 相手の王様にだけ詰めろをかけられる。

    3-1-2-1 それは必至である。

     3-1-2-1-1 今は自分のターン。→自分の勝ち。

     3-1-2-1-2 今は相手のターン。→自分の方が速い。

    3-1-2-2 それは必至ではない。→自分の方が速い。

   3-1-3 自分の王様にだけ詰めろをかけられる。

    3-1-3-1 それは必至である。

     3-1-3-1-1 今は自分のターン。→相手の方が速い。

     3-1-3-1-2 今は相手のターン。→自分の負け。

    3-1-3-2 それは必至ではない。→相手の方が速い。

  3-2 詰めろをかけることすらできない。→複雑な攻防戦が続く。



 歩美ちゃんは、水性マジックを置いて、表を一瞥した。

「こんな感じね。細部は省いてるから、完璧ってわけじゃないけど」

 ふんふん、これは丸写しにするよ。

 ちょっと待ってね。

 ……………………

 ……………………

 …………………

 ………………

 できたッ!

 でも、このフローチャートは、ちょっと複雑かな。

 例が欲しいね。

「ねえねえ、一個ずつ、例を挙げてくれない?」

 私のお願いに、歩美ちゃんは黙って盤に向き直る。

「簡単なのは、パパッと並べちゃいましょ」


【第1図 1】

挿絵(By みてみん)


【第2図 2-1】

挿絵(By みてみん)


【第3図 2-2】

挿絵(By みてみん)


【第4図 2-3】

挿絵(By みてみん)


「この4つに関しては、説明不要じゃない?」

 そうだね、これは何度もやったことがあるね。

 まず第1図は、相手の王様が詰んでるね。狭義の詰みだよ。

 狭義の詰みが発生した時点で、ゲームセット。私の勝ち。

 第2図は、両方の王様に広義の詰みが発生してるね。相手の王様は2二金、私の王様は8八金で詰み。先に指せる方が、そう指して終わり。

 第3図は、相手の王様にだけ、広義の詰みが発生してるね。2一金と受けても、2二金、同金、同と直で詰み。だから、どっちのターンか関係なく、私の勝ち。

 第4図は、第3図の逆だね。どっちのターンか関係なく、私の負け。

「オッケー、把握したよ」

「フローチャート3は、ちょっとめんどくさいけど……まずは……」


【第5図 3-1-1-1と3-1-1-2】

挿絵(By みてみん)


「3-1-1-1と3-1-1-2を同時に説明するわ。状況はどうなってる?」

 状況は……。

「どっちの王様にも次のターンで詰めろがかかって、相手の方は必至になるよ」

「正解。じゃあ、数江ちゃんのターンだと仮定すると?」

 私が先……その場合は……。

「2三金と置いて勝ちだね」


挿絵(By みてみん)


「正解。これで相手は必至。数江ちゃんの王様は詰まないわ」

 だね。相手の王様は、詰めろを解除できないよ。広義の詰み。

「じゃあ、相手のターンだと?」

 うーん、そっちの方が難しいね。9七歩と置いてみようか?


挿絵(By みてみん)


「これが詰めろだよね?」

「そうね、9八金までの詰めろだけど……8九玉と逃げるわ」


挿絵(By みてみん)


「ここで、どうする?」

 ここで……ここで……。

「えっと、次に2三金と打たれると必至だから、受けるかな?」


挿絵(By みてみん)


 これで、一時的には助かってるかな。最後は負けそうだけど。

 歩美ちゃんも、納得顔で頷いた。

「そうね、受けないと負けね。数江ちゃんの方が速いわ」

 うん、速度では、私の方が速そうだね。相手ももう、詰めろをかけられないし。

「じゃ、次行きましょ」


【第6図 3-1-1-3】

挿絵(By みてみん)


「この状況で、先に指せる方が勝ちっていうのは、分かる?」

 うん、それは分かるよ。

「先に必至をかけちゃえば、次のターンで狭義の詰みまでもっていけるもんね」

「正解。お互いに必至をかけられるときは、先にターンが回ってくる方が勝ち」

 そう考えると、ターンは重要だね。先に指せる方が有利なのかな?

「次はちょっと複雑かな」

 歩美ちゃんはそう言って、第7図を指し示した。


【第7図 3-1-1-4】

挿絵(By みてみん)


「どう?」

 えっと、状況は……どっちにも詰めろがかかる、かな?

 ただ、2三銀には3一玉、8七銀には7九玉で、すぐ逃げられるよね。

「どっちにも詰めろがかかるけど、解除可能だよ」

「正解。この場合、先に指せる方が速度では速いけど、勝ちではないわ」

 ふんふん、速度計算で先=勝ちじゃないんだね。理解したよ。

「3-1-2-1-1と3-1-2-1-2も、一緒にやりましょう。第8図よ」


【第8図 3-1-2-1-1と3-1-2-1-2】

挿絵(By みてみん)


「状況を整理してちょうだい」

 うーん……相手は銀2枚だね……。

 私の王様は、歩2枚で防御されてるから……。

「私の王様には、詰めろがかからないよ。相手は2三金で必至」

「その通りね。じゃあ、数江ちゃんのターンだと?」

「それは私の勝ちだよ、2三金で必至だもん」

「相手のターンだと?」

 相手のターンだと……。

 攻めたら2三金で負けるから、受けるよね。例えば……。

「王様を上がるよ」


挿絵(By みてみん)


「そうね、それで2三金の必至を回避してるわ。ただ、速度では数江ちゃんが上」

 だね。速度では、私の方が速いよ。相手には、攻める暇がないもんね。

「オッケー、次が最後よ」


【第9図 3-1-2-2】

挿絵(By みてみん)


「さて、これはどうかしら?」

 えーと、まずは状況を整理して……。

 私の王様には、詰めろがかからないね。相手は、2三銀で詰めろ。

 ただ、3一玉で簡単に脱出できるから、必至ではないね。

「速度計算では私の方が速いけど、勝負はまだ分かんないかな」

「正解。……以上よ」

 以上? チャートはまだ残ってるよ?

「3-1-3と3-2は?」

「3-1-3は、盤面を反転させるだけ。3-2に正解はないわ」

 ……そっか、3-1-3は、私と相手のターンを入れ替えるだけだね。

 3-2は、もうどうしようもないかな。

「正確に言うと、詰めろの準備段階として、一手スキという概念もあるんだけど、最初の頃は気にしなくていいわ。アマチュア戦でも、そこまでは考えないことも多し」

 いってすき? 一手好き? 何だろうね。

 詰めろが詰みの準備段階だから、いってすきは準備段階の準備段階だね。

 何だか、複雑そう。

「というわけで、実戦の準備は終わり。後は細かいルールとマナーを覚えるだけね」

 やったーッ! ここまで長かったね。感涙ものだよ。うるうる。

「じゃ、今日の宿題を出すわね」

 歩美ちゃんは全ての駒を箱から出して、盤の上に並べる。

 ん? これは……えぇッ!?

 

挿絵(By みてみん)


「これが、将棋における初期配置」

 ふえぇ……圧巻だね……。

 言葉もないよ。

「今日の宿題は、この配置を覚えること。それじゃ、また明日」

【今日の宿題】

最終図の配置を覚えなさい。



《将棋用語講座》

○一手スキ

詰めろの準備段階で、「仮に3手連続で指せれば、相手の王様に狭義の詰みが発生する攻撃側の動作」を言う。なお、これはX手スキに拡張することができ、「仮に4手連続で指せれば、相手の王様に狭義の詰みが発生する攻撃側の動作」を二手スキ、「仮に5手連続で指せれば、相手の王様に狭義の詰みが発生する攻撃側の動作」を三手スキと言う。つまり、詰めろを「零手スキ」と言い換えることもできる(但し、専門用語としては「詰めろ」)。通常は二手スキまでしか使わず、それ自体の使用頻度も多くはないので、初心者のうちは考えなくてもよいかもしれない。

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