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掌編小説集7 (301話~350話)

山間部の家

作者: 蹴沢缶九郎

山間部を通る高速道路から見る、山の景色が好きだ。ぽつりぽつりと山あいに点在する、まるで外界から遮断されたような家々の光景は、私の興味をそそり、心を掴んで離さない。あそこの家にはどんな人が住み、どんな暮らしを送っているのか…。


例えば、老夫婦。農業を仕事とする二人は、朝、朝食を済ませると、軽トラックに乗って段々の畑へと出掛ける。時間に追われず、急ぐ事もなく、彼らは彼らのペースでゆっくりとその日の作業をこなしていく…。

昼は妻の握った、今までに何度と食べた梅おにぎりと、これまた何度と食べたたくあん。しかし、食べ飽きた事などはない。食後、水筒のお茶をすすり、「ほっ」と一息つく。そんな時間に夫は幸せを感じる。

やがて、日が暮れ帰宅、夕飯の時間を夫婦は他愛ない話に花を咲かせる。


「今日も平和に過ごせて良かった。また明日も、何事もなく過ごせますように…」


夫婦はそう願いながら、床につくのだろう…。



車で山間部の高速道路を通る度に、私はそのような想像をめぐらせる。






今日もまた、何千何万という数の「クルマ」が「コウソクドウロ」を駆け抜けていった。あれはもう何年前の事だろうか…。奴等は突然この山に現れ、「コウソクドウロ」と呼ばれる巨大な石の道を造っていった。あれが出来てからというもの、昼夜問わず走る「クルマ」の出す騒がしい音と汚い放屁に苦しめられ、俺の我慢ももう限界だ。


山間部に通った高速道路の橋脚の下まで来た山姥は、躊躇(ためら)う事なく、作った握りこぶしを橋脚に向かい思いきり放った。

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