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殺し屋

作者: 天理妙我

 彼が最初に人を殺したのは十八歳のときだった。そう彼は言う。本当に十八歳まで一人も殺していないのか。正直に言ってこれは相当に怪しいものだが、少なくとも、彼はそう信じている。傾向というか、その兆候の様なものは十五歳の頃からあったし、彼をそうたらしめたものは十四歳のある出来事だった。これだけは間違いない。十四歳のあの日、彼が殺し屋になる事は決まっていた。


 だから十八歳まで誰も殺していないというのは信じられないし、彼自身、初めてやったのは十七歳だったかもしれないと思っている。記憶は曖昧だが、それでも、少なくとも十七歳まで人は殺さなかったと、彼は言う。


 とにかく、確実な事実として、十八歳の年に彼は多くの人殺しを経験した。それは十九歳になっても続き、彼の記憶するところでは、二十歳になって一度に少なからぬ人数を始末する仕事をやってのけた。そして彼は自由を失った。


 拘束は長いと言えば長かったし、短いと言えば短かったのだろう。彼が帰ってきたのは二十六歳になってからだった。これに関しては彼にも自信がない。既に二十七歳を迎えていた様な気もしている。彼にとって二十七歳は特別な事件のあった年で、戻ったのはそれの以前だったという認識でしかない。年齢など重要ではないのだ。


 また、それとは別に、彼は二十七歳で初めて複雑なトリックを使って人を殺した。スマートな仕事だったと自負している。更にそれとは別に、今までとは規模の違う大量殺人を行った。膨大な数の人間を一時に抹殺した。言うまでもなく、彼は小説を書いている。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 天理おにーさんの作品の中で、五七五の詩とか制限つきの詩の作品を読みたい気分ですが、見つけられないので教えてください! [一言] む?むむむ? (感想欄見てから読み直し) あ、そういうこ…
[良い点] なるほど……これは意表を突かれました。
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