第4話:狙われた司羽?初の入替え戦!
朝のHRが終わると机の周りにクラスの人が一斉に集まってくる。とは言ってもクラスは司羽、ルーンを入れて20人でその全てが女子だ。何だか逆に落ち着かない…
「ねぇ、どこから来たの?前の学校では歳毎に人が分かれてたの?」
「歳は?趣味は?どこに住んでるの?」
「初の男の子だね♪ルーンの知り合いみたいだけどどういう関係?」
とまぁこんな感じで質問責めに遭うわけで…。ルーンには話しちゃったけど、地球の事はあまり話さない方が良いんじゃないか?って思う、白銀の少女のことはマスターが任せろって言ってたしな…
「ほらほら、皆ストップ!!司羽が困ってるよ…転校生って珍しいから他のクラスからも野次馬が来てるし…」
ルーンの気遣いが凄く嬉しかったりする。ああ、向こうではろくに人に気遣われた事なかったからな…
「いや、ありがとうルーン。俺は大丈夫だよ」
「司羽…」
司羽は立ち上がって皆と向かい合うと気持ちを落ち着けて改めて自己紹介をした
「俺の正式な名前は萩野司羽って言うんだが、司羽で構わない。少し特異な生まれで、ここら辺の事は良く知らないんだ。趣味と特技はないが、家事は一通り好きだ。ルーンとは道に迷ってる時に助けられたんだ。いきなり最高クラスに編入して来ておかしく思うかも知れないけど、これから宜しくな♪」
自己紹介が終わると何だか黄色い歓声が飛び交う。最後のは営業スマイルだ。親父の御蔭で国の御偉いさんとも良く会ってたからな。たまにはやくにたつじゃん親父。そう思っているとルーンが黒いローブを纏い、布の様な物で顔を完全に隠した謎の人を連れて来た
「この子は親友のリア♪顔は勿論、声も聞いた事がないんだけど…でもすっごく良い子なんだよ♪ちなみに成績は私の次に良いの♪」
『宜しくお願いしますね』
筆談ですか…しかし首席にも驚いたが次席もまた…。でもルーンが親友だって言うくらいだし良い子なんだろうな怪しいけど…身長からするとルーンと同い年に見える
「こちらこそ宜しくな♪」
司羽がそう言うとリアはコクリと頷いた。素直な子だな。この子もルーンの様な美少女なのだろうか?親友と言っているルーンですら見た事がないんじゃあな…。
そうしていると、そんな俺達を見ていた違うクラスの男子らしい奴が近寄って来た。歳は…俺と同じくらいだろうか?少なくともルーンよりは年上っぽい感じがする
「…おい君、いきなりこのクラスに編入したんだってね?」
男の言葉と同時にクラスに静寂が訪れる。青年は何だかお坊ちゃまっぽい。少しパーマの掛かった金髪に人を見下した様な眼。非常に感じが悪い
「え…ああ。そうだけど、お前は?」
「僕はムーシェ、Aクラスだ。どんな手を使ってA+クラスに入ったかは知らないが…。僕は君に入替え戦を申込むよ」
入替え戦…?って何だ?何だかクラスの雰囲気が一気に悪くなったし…。ルーンがムーシェを睨み付けて言った
「あんた誰よ?Aクラスとか言ってたけど…。転校生にいきなり入替え戦を申込むなんて…」
ルーンは最低…とでも言いたげにムーシェを見て、ムーシェはルーンを見てこめかみを引きつらせた。
「ぼ、僕を知らないのかい…!?僕は男子首席のムーシェだっ!総合の首席だか何だか知らないが僕だって首席だぞ!顔と名前位覚えておいて欲しいね!…まったく…」
ムーシェは溜息をついてこちら側を睨んだ
「入替え戦だ!ちょっと顔が良いからって調子に乗るなよ?僕の方が強いに決まってるんだからな!大体下のクラスからの入替え戦は拒否出来ないから逃げられないんだし、覚悟を決めるんだな。裏口入学生!」
…いちいちムカつく奴だな…大体入替え戦ってなんだよ…。司羽が勝手に話を進められて困っているとルーンが面白くなさそうに教えてくれた
「入替え戦ってのは名前の通りにクラスを入替える為の戦いだよ。例えば司羽が負ければ司羽のクラスがAに下がってムーシェのクラスはA+に上がる。逆なら司羽は変わらずムーシェがA-に落ちる。これが強い人が上に上がって行くって言った理由だよ…」
なるほど、つまりムーシェは俺を倒して上に上がろうと言うわけか…。確かに転校生狙いってのは卑怯な感じがするなぁ
「それじゃあ広場に出よう。ふふふ…可哀相だがこれもしょうがない事なんだよ司羽君?」
「…はぁ…面倒だなぁ…」
ムーシェの見下した笑みを軽く流し、ルーンの不安とは違う不満が混じった表情を不思議に思いながら司羽は広場へと向かった
広場にはA+クラスの皆は勿論、他のクラスの者も集まっていた。あいつが落ちたら次は自分が戦おうとか思ってるのかねぇ…。俺は絶好のカモと…
「ふふふ…降参…と言う手段もあるが…どうするのかね?」
ムーシェは相変わらず笑みを浮かべたままだ
「ん〜?お前がするのか?別に良いぜ?地面に頭つけて生まれて来てゴメンナサイって言ったらだけどな♪」
「な…にっ…!」
おおー怒った怒った。面白いなこいつ。別に降参しても良いんだが、マスターが折角俺を最高クラスに入れてくれたんだし、俺も期待に応えなきゃな。ルーンが一緒のクラスの方が何かと教えて貰えそうだし。怒ったムーシェを観察して遊んでいるとミリクが『始めてくださーい♪』と言って結界の様な物を張った。
「ふふふ…先手を君にあげるよ!さぁどんな屑魔法を見せてくれるんだい!?」
「…魔法?」
…魔法で戦わないといけないのか?
「ちょっと待った」
司羽がそう言ってミリクの方を向くと『なんですか?』と答えてきた。ムーシェは降参かい?とか言ってるが気にしない
「魔法で戦わないといけないのか?素手とか気とか…まぁ武器があると凄く有難い」
そう言うとミリクはいきなり何を言うのですか?と言った感じで首を傾げる
「別に勝てれば問題ありますが…。それと魔道具は持参ですからあげる事は出来ませんよ?」
ふむ。なるほど、いいのか。なら…
「ムーシェとかいったな?先に攻撃して良いぜ?魔法とやらを見て見たいしな」
「何…?君は一体何を言っているんだ?」
…うーん。周りから奇異の視線を感じる…。電気を知らない感覚何だろうなぁ…俺って。
「ほら、屑魔法だっけ?さっさと使えよ。出来ないのか?出来ないならさっさと降参しちまえ。俺も弱い者苛めはしたくない」
そう言うとムーシェは本気で怒ったようで、細い杖の様な物を取り出した。
「後悔しても知らないよ?」
その言葉と同時にムーシェの前に現れた魔方陣から大量の火の玉が飛んで来る
「うわぁ…魔法っぽいなぁ…でもやっぱり銃弾の方が速いな…」
ここでも親父の無茶苦茶な特訓が役に立った。戦闘を学ばせる為に戦場に子供を放り出すんだからな…人のやる事とは思えん…。そんな事を考えつつ、自分に当る炎だけを避ける。炎の方を全く見ずに…
「なっ…!避けた…?あの数を?レジストではなくて避けただって!?」
「魔法にも質量はあるみたいだから風圧が多少あるし。力自体に気配の様な物を感じるからな。見ないでも余裕だ…。で?魔法ってのはこんな物か?他にはどんな事が出来るんだ?」
司羽の言葉にムーシェだけではなく、ミリクやギャラリーまで言葉を失った
「っ…ならば…。これでどうだ!避けられまい…!」
ムーシェは何かを念じる様に杖を天に掲げた後に杖をそのまま司羽の方に向け『破砕しろ!』と命じた。しかし…
「…な…馬鹿な…爆発しない…?」
「お前はアホか…?身体の中なんて気配を感じるに決まってるだろ?その前に気…いやお前には魔力って言った方が分かり易いだろうが、力が溜り易いから相殺するの何て指を動かすより簡単なんだよ。自分の力の事だろうが、把握しろよ」
「そんな馬鹿な事が…」
司羽はそう言って溜息をついた。ムーシェを見る限りもう手はなさそうだな。素手の親父の方がまだ強いぞこいつ。本当に男子の首席なのか?
「そんじゃあそろそろ終わりって事で…クラスまた頑張って上がれよ」
「なっ…速っ…!」
ドスッ
瞬歩で近付き腹に一撃。この世界は重力の関係だろうが動く速さが妙に速くなるんだよなぁ…朝の遅刻しそうな時も間に合ったし。司羽の前で崩れ落ちるムーシェを確認してミリクが終了のコールをする
「しょ、勝者司羽君です!!」
それと同時に周りのギャラリーから歓声が沸く。司羽がルーンの方を向いて笑うと、ルーンもクスッっと笑った。まぁ、変な学院だけどなかなか楽しくやってけそうだ。司羽は歓声に包まれながらそんな事を思った |