第10話:不良は全滅後にピンク色の髪の女に財布を抜かれたらしい
「はーい♪2列に並んでゲートに入ってくださーい♪」
ミリクが観光案内の指導員の様な格好をして旗をパタパタと振りながらゲートへ入る様に指示をする。ゲートの向こうにはもう旅館が見えている
「課外学習の時ですらルーンは寝ているんだな?なんかルーンを背負って学校に来るのが日課になりそうだよ」
「うーん、でも司羽の背中って多分高級旅館の布団より寝やすいわよ?寝た私が言うんだから」
隣りにいるミシュナと話をしながらゲートイン。
「俺自身は俺の背中で眠れないからそんな事言われてもなぁ…」
司羽はそう言いながらリアの方に視線を送った
「司羽…、どうかしたの?顔が強張ってるわよ?」
「…いや、なんでもないよ」
後ろにいるムーシェに視線を送って司羽はそう言った
「…まぁ、良いけどね…」
ミシュナは少し不満そうにそう言って会話を区切った
「中に入ったら向こうの添乗員さんから部屋割りを聞いて荷物を置いたら旅館前に集合してくださーい♪」
「はーい、皆集合しましたねぇ?」
ミリクがクラスの人数を確認して満足気に頷いた。
「えーっと、今から自由時間に入るんですけれど。程よくはっちゃけて下さいね?皆様の中にはそんな人はいないとは思いますが、昔他校の不良を一人残らず土下座させた人がいたんですよ。ねぇシノハ先生?」
「なっ…あれはミリクに言い寄って来る奴等が…」
「それでは解散♪」
シノハの言い訳を軽く流してミリクがパンッと手を鳴らす。何というか嬉しそうだ。
「ねぇ司羽、何処行く?私達は何回も来てるから何処でも良いけど」
『はい、御任せします♪』
「…そんなこと言われてもなぁ…行きたい所かぁ…」
そう言って司羽は地図を見た。基本遊園地と同じ様な感じだな。アトラクションも元の世界とそう変わらない。旅館に遊園地が一緒に建設されているのはなんか変な感じがするけど
「ミシュ、なんか行きたい所ないのか?」
「はぁ、なんで私に振るのよ……それじゃあ、オバケ屋敷でも行く?定番の一つだし、そこにあるし」
見ると確かにオバケ屋敷らしき建物がある。結構デカいな。にしてもオバケ屋敷か、まぁ別に良いだろう。他の二人も平気見たいだし
「んじゃあオバケ屋敷からにするか。でも二人ずつ見たいだな、カップル用か?」
「あ、僕司羽とが良い♪」
すかさずルーンが立候補してくる。まぁ分かってはいたけど
「そうだな。それじゃあ…」
「あ、司羽は私と入ってもらえない…?ちょっと怖いのよねぇオバケ屋敷…」
そう言って苦笑するミシュナ。オバケ屋敷見たいな家に住んでるって言ってたのにな
『ルーン、私と入りましょう♪』
「うーん、そうだね♪行こ、リア♪」
ルーンはクスッっと笑うとリアを連れて中に入って行った
「ミシュ、それじゃあ俺達も…」
「はぁ、やっと二人で話せるわ…。全く…苦手な物を自分で推すわけないじゃない…」
又しても司羽の台詞を遮ってミシュナは言った。まぁそうだろうとは思ったけど…
「司羽…さっきからあのリアって子の事気にしすぎよ?どうしたの?」
「うーん、バレてたか…」
ミシュに気付かれるとは失敗だ…。
「…惚れたとか言うんじゃないわよね?顔も見てないのに有り得ないわ。司羽…。私に何か隠してない?」
鋭い…
「別に…って言っても信じないんだろうな。じゃあどうせならミシュにも手伝ってもらうか」
「手伝う…?」
ミシュナは首を傾げて微笑する司羽を見つめた
「それはまた壮大な話になったわね…」
取り敢えず司羽はミシュナに全てを話した。ミシュナは俄かに信じられないと言う顔をしたが、司羽の真剣な顔を見て納得した様だ
「つーわけで。リアの髪を確認しないといけないわけだ」
「…なるほどねぇ…。まぁ、協力してあげない事もないわ」
ミシュナはクスッっと笑って言った
「ああ、そう言ってくれると助かるよ」
「借り一つ…うふふふ…♪」
ゾクッ…
「おーい…ミシュナさーん…?」
「ほら、私達もオバケ屋敷に入るわよ♪さーて。何に使おうかしらぁ…♪」
『ルーン、どうかしたの?』
オバケ屋敷に入ってからルーンの表情は一転した。
「司羽さ…リアの事見てたよね?」
『…そうなの?私は特に気がつかなかったけど…』
ルーンは何かを考え込むように黙り込み、俯いた。
『ルーンは…好きなの?』
「…好きだよ。家族だもん」
ルーンは拳を握り締めて言った
『ルーン…?』
「リア…なんでそのローブ付けてるの?」
ルーンの瞳からはもう幼く無邪気な色は消えていた
『…ごめんねルーン…言えない』
「リア…」
ルーンは哀しげに親友を見つめて言う
『本当にどうしたの…?私はルーンの好きな人を取ったりしないよ?』
「そうじゃないの……。ごめんね、何でもない♪だから、此所で話した事は忘れて♪」
ルーンはそう言って笑った。リアにはその笑顔が酷く哀しげに見えて、何も言う事が出来なかった |