ぷろろーぐ:出会い、始まる
「この世界で私を見つけ出して私の名前を呼ぶ事、それが貴方の勝利条件よ♪」
長く美しい白銀の髪を持った少女はにこっと笑ってそう言った。
「は、はぁ…?」
「ふふ、ちゃんと貴方が見つけられる範囲にいるから…それじゃあ、頑張ってね♪」
少年が動揺するのも気にせずに少女は風邪と共に消えた。少年一人がその場に残された
「冗談…だよな…?」
周りを見るとそこは元居た世界では無かった。
「……はぁ…どうすっかなぁ…」
少年は何故こうなったのかを整理する様に今に至る事を思い出し始めた。運命の歯車を狂わせる出来事が起きたのは今より体感で30分程前になる。
「あー。かったりぃ事になったなぁ…」
萩野 司羽は地元の川に掛かる橋から川を見下ろしていた。
「流石に父さんに勝っちまったのは不味いよなぁ…。はぁ…どうしよっかねぇ…」
司羽の父の誠は十七代目萩野流武闘術の師範であり、その萩野流は分家を海外にまで進出させる程の名家である。
その理由は戦闘でも難無く使える強さに有った。しかし、その戦闘用として使われる武術を最も使いこなせている筈の人間をその息子が萩野流を使わずに難無く倒してしまったとある。
何故そんな事になったのか。理由は簡単な事である。ただ一人息子である俺が萩野流の十八代目となる事を拒否した、それが元でケンカになり
「どうしても継ぎたく無ければ俺を倒してみろ!!」
と言うので、本当に倒してやったまで。萩野流を使わずに。自己流の武術で。だが、それが不味かったのだ…。
「萩野流最強節は無くなって。俺に自己流武術の師範になれとか…。責任の押し付けは止めろよな…」
まぁ、そう言う事。今さっきの事だからまだ完全には伝わってないだろうけど、時間の問題。直ぐに世界中に伝わり、外国に何らかの優位を欲する政府から圧力をかけられて終わり。
「はぁ…ただでさえ、父さんの息子ってだけで周りから避けられるのに、これ以上…」
誠はもうこの町の英雄的存在で、その息子と言うだけで周りからは期待と嫉妬の視線。更に司羽は長身で顔立ちが良く、母親からの遺伝である紅い目と艶がある黒髪。これだけモテそうな要素が揃うと逆効果。学校でも皆からは常に外れて生活する事になる。そしてそれはこれから、それ以上の物となる事が決まっている。
「俺は一体どうしたら良いんだろうな。それどころか、どっかにいる神様は俺に選択権を残してくれてるんだろうか…」
はぁ…とまた溜息をついて橋の下を見る。すると、年端もいかない少女がドンブラコドンブラコと溺れながら上流から流れて…
「か、神様…これは俺に選択させる気か…?助けるか助けないか…ってそれはノーカウントだろぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
そう言って司羽は橋の上から少女を救出すべく飛び降りる。
…見間違いだろうか…?司羽にはその少女が優しくフッっと微笑んだ…そんな気がした。
次の瞬間、世界は光に包まれた
「はぁ…貴方寝過ぎよ…?起きなさい、ネボスケさん♪」
パチンッ
と頭をデコピンされ、そして司羽は目覚めた
「ん…ここは何処だ…?」
司羽は周りを見渡しながら、白銀の少女へと質問した
「…うーん、普通ならそうじゃなくて、自分が何でこんな所に?とか、俺に何をしたっ!!とか言って狂い出すんじゃないの?」
少女は少し不満そうに頬を膨らませた。外見は十五、いやもっと下か…?そう思って下から上まで見回す
「何ジロジロ見てるの?私そんなにおかしいかしら…?」
そういって少女は真っ白いワンピースをチェックする
「いや、君の年が気になってね。何だか外見の割に大人びてると思ってね」
司羽は正直にそう答えた
「ああ。そういう事ね?貴方とそう変わらないわ十五だもの。貴方と二つ違いね♪」
自分が十七だと何故分かったのか?と言う疑問が残ったが、今はそれよりも重要な事がある
「あんた…俺をここまでつれて来たのはあんただろ?俺をどうする気だ。あんたは誰で何者だ。ここは何処だ。答えろ」
司羽は淡々と質問の嵐を少女に投げ掛ける。すると少女はクスッと笑って言った
「ここはエーラと呼ばれる世界。貴方のいた世界とは随分違うけど。それでも物質構成とかはかなり酷似しているわ。そして私の事は教えてあげない、難易度を上げる為だもの♪」
そして、あなたをここに連れてきた理由
「ふふ、貴方に同じ物を感じたから。貴方の願いを叶えて上げる。ただし、私に勝てればね…」
少女はクスッと笑い。そしてゲームは始まった |