きゅう。
「ご託はいらないの。先生を返して。」
あたしの前には狂暴そうでいかにも悪な侍達。でも怯んだら確実に負ける。出来る限り強気な態度であたしは侍達を見つめ返した。
「先生?」
「藤沢元、そういえばわかる?」
先生のフルネームを言ったのは初めてかもしれない……でもそんなことを考える余裕はあたしに無かった。
そう、余裕が無いクセに、あたしってば堂々と正面から向かってしまった。ああ……馬鹿なあたし。
まぁ正直が一番だよね、なんて言ってみるけど。
「ああ……あの野郎の知り合いか。」
「お嬢ちゃん、ここは遊び場所じゃないんだ。わかるか?」
目の前に顔を持ってきた男の頬を木刀で勢いよく叩き倒す。一気に部屋の中が殺気立った。
「何してんだテメェ!!」
「……先生はどこ?」
無抵抗の人間を叩いたのは初めてで。この異常な殺気にもあたしは震えそうだった。
早く先生に会って安心したいよ……。
「なぁ、嬢ちゃん。アンタはあの男の何なんだ?」
一番偉そうな傷のある侍があたしに聞く。
何なんだって言われてもなぁ……。
「保護者だし、家族だし……何て答えれば満足?」
「何でも構わねぇさ。ここを知られたなら叩っ切るまでだ。」
人が真面目に考えてたのに、あたしの貴重な時間を無駄にしたなコラ。
金属音があちこちで聞こえる。当たり前な話だが、相手は侍。真剣を持っているのだ。
流石に木刀じゃ駄目だったかな……。
あたしの額からは汗が一筋流れ落ちる。
「おや?さっきまでの勢いはどうした?」
見下したような笑みを見せる傷のある侍。
「……上等よ。かかって来なさい!!」
木刀を強く握り締め、あたしは叫んだ。
その瞬間――物凄い轟音と地響き、砂埃が舞う。
「やはり牢にいるのは疲れますね。」
ボロボロの襖を蹴り倒し、彼は颯爽と現れた。
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