さんじゅうなな。
「何か用ですか?」
後ろを見てなくても、もう感覚でわかる。
「カミサマ。」
「お前の未来を決めに来た。」
「……お待ちしてました。」
正座をしてカミサマに向き合う。自然と微笑んでしまうのは、心に余裕でも出来たのかもしれない。
「決めた顔だな。」
「勿論。」
何か今、カミサマも良い人に見えてる。
先生も静さんも幸宗も、健ちゃんも相変わらずだけど、雄吉さんは少しだけ心を入れ換えて商人になるらしい。少しの変化でもあたしは嬉しかった。
「答えは?」
「ここにいたいの。」
迷いはなかった。
「あたしが皆の運命を変えたんだから、このままでいたい。大切な人と一緒に生きたい。」
あたしの言葉にカミサマは目を瞬かせた。
「素直すぎて恐ぇよ寿々。」
「またボコされたいの?」
「ごめんなさい。」
土下座された。カミサマに謝らせるなんて、あたしは凄いのかもなんて今更思う。
「寿々さん。」
「あ、先生。」
「カミサマは、もう帰りましたか?」
「あーもう来ないらしいです……って、え?」
隣を見れば相変わらず微笑んでいて。
「私が貴方を連れてくるように頼んだんですよ。」
「はは……。」
平和になった今、どんでん返しされた気分だ。あたしは乾いた笑いを浮かべて先生を不思議な人と判断した。
侍は真っ直ぐだ。自分を信じて運命に逆らわない。あたしにそんな真似は出来ないけど、共に生きるなら出来る。
あたしは今日も江戸の町を歩く。空に開く穴を見上げながら。
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