にじゅうご。
「お二人とも、生きてますか?」
「勿論です!まだ地獄に行く気はないんで。」
「地獄に行く気か、お前……」
あたし達の周りには倒れた侍の山。まだまだあたし達は元気だったりする。
「冗談。健ちゃんは地獄行きたい?」
「絶対嫌だ。」
真面目な健ちゃんだから真剣な顔で返された。
「さて、あとは……貴方だけですね。」
「クソッ……!!」
勢いよく刀を抜く重兵衛。
「俺がやる。」
瞳をギラつかせ、健ちゃんがあたしの前に出る。
「待っ……」
「待ってください。」
あたしの言葉より先に、先生が健ちゃんを止めた。
「止めないでください先生!!」
それが彼には歯がゆいようで、怒鳴っていた。
「健太君。この男を殺して得がありますか?」
「得とか!……損とか、どうでも良いんです。」
怒りを鎮めようと血が止まるくらいの力で拳を作る健ちゃん。
必死に堪えてるのが嫌でも伝わってきてなんだか辛かった。
「ただ、俺は仇を討ちたい。それだけです。」
「仇は見てるだけでも討てたのがわかります。お願いします、譲ってください。」
「なっ……!!」
「貴方の刀で人を殺したくありませんから。」
「……。」
穏やかな笑顔。先生はどこまで優しいんだろ。
「話し合いは終わったか?」
「ええ、たった今。」
笑顔で先生は刀を構えた。あたしと健ちゃんは、後ろで行く末を見守る。
「後悔するなよぉ?」
「ご心配なく。」
二人の睨みあいが続く。あたしの入れるような空気じゃない。もし先生があたしだったら、確実に無理だと思った。でも――
「私は自分の決めたことに後悔なんかしません。」
先生なら、何とかしてくれる気がしてたんだ。
高音が部屋に響く。刀と刀のぶつかりあいに、あたしは気迫を感じた。
「やっぱり俺が……」
ぽつりと呟いた健ちゃんを見上げる。
「まだ言ってんの?」
「申し訳なさすぎだろ。俺の問題なのに……。」
健ちゃんはこういう人だ。いつも周りを気にしてる。
「馬鹿。」
「あ?」
「何が俺の問題よ。ここにいる時点で先生も……あたしも関わってんの。」
一人で抱えようとするのはあんまり賛成出来ないから。
「健ちゃんの荷物、あたしと先生が背負ってあげるよ。」
ぽん、と背中を軽く叩いて笑ってやった。
「……ありがと。」
うつ向いて顔は見えなかったけど、健ちゃんの耳たぶは真っ赤だった。
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