じゅうご。
「あー……あたし生きてるっぽい。」
目の前には見慣れた天井。あたしは自分の部屋に寝かされたらしい。
「……。」
肩に触れれば包帯が撒いてあった。静さんがやってくれたのかな、なんてぼんやり思う。
起き上がろうとするとまだ肩が痛み、あたしは顔を歪めた。
「まだ寝てろ。結構深く斬ったから。」
「……アンタ。」
視線の先にはあたしを斬った侍。水が入った桶と布を持って側にきた。
「生きてたんだ。」
「正確に言えば生かされたんだよ……あの人に。」
あの人とは先生のことだろう。
「貴方の命を一時預かります、しばらくここで生きてみませんかって言われてたな。」
「幸、宗……?」
ひょっこり侍の後ろから顔を出したのは幸宗。
「大丈夫か?」
「……まぁね。」
笑う元気はあるから。たぶん問題なしですよ。
「幸宗、静さんに起きたって言ってきてくれ。」
「わかった。」
侍の指示に従い、幸宗は部屋を出ていった。
「名前、聞いても良いか。」
ぽつりと侍が呟く。
「……寿々。アンタは?」
「伊尾健太。」
「ふーん……何歳?」
「十七になった。」
「やっぱタメか。」
「タメ?」
「同い年ってこと。」
「ああ……」
少しばかり沈黙が流れる。それを破ったのは健太だった。
「……悪かった。」
無理矢理しぼりだしたような声。
「何が?」
あたしは目を瞑ったまま聞き返した。
「いきなり斬りかかったことだ。」
「ああ……別にいいよ。」
「別にいいわけないだろ。嫁入り前の女に傷をつけてしまった……」
あら、本気で気にしてるっぽい。
「いいって。残らないと思うし。」
「しかし……」
あー何かイライラしてきた。
「うるっさい、いつまでもウダウダ言ってる暇があるなら先生のこと調べなさいよ。」
「……はい。」
ドスのきいた声で言ってやれば、か細い声が返ってきた。
「どうやって幸宗を手なづけたの?」
「手なづけてはない。あの人みたいに強くなりたいと言ったら仲間だと言われた。」
「……じゃあ明日から稽古だね。」
「稽古?」
健太は首を傾げる。
「幸宗に気に入られちゃったらとことん稽古の相手させられるよ。」
「……それもいいかもな。」
ふっ、と穏やかな笑みを浮かべた。
「やっと笑った。」
「?」
「さっきからずっと難しい顔してたから。」
夏休みに溜った宿題を片付けるあたしみたいに。……例え方が悪いね。
「そういえば、笑うのは久しぶりかもしれない。復讐することに必死だった。」
「あのさ、しばらく忘れない?復讐。」
「……。」
あたしの問いに顔をしかめる健太。
「あたしの傷が完全に治るまでで良いから。」
その間に先生への勘違いを無くしてほしい。
「……わかった。」
健太は渋々頷く。あたしは自然と笑顔になった。
「じゃあこれからよろしくね、健ちゃん。」
「……健ちゃん!?」
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