8
何回も鳴り響く目覚まし時計の無機質な音。
「うぅ……」
布団の中からのそのそと顔を出す。
目覚めは最悪だ。
いつもよりも早く起きたこともあるのだろうけど。
乱暴に目覚ましを止め、枕に顔を埋める。
昨日のことが頭の中をぐるぐると回る。
よりにもよって……理穂の誕生日だったのに。
くそ……あいつら、どういうつもりだよ。
思い出されるあの瞬間。
理穂の悲しそうな顔。
「気にしすぎ……なのか?」
しかし……悪い方向にしか考えられない。
「あぁ……駄目だ駄目だ」
むくりと起き上がって、顔を手のひらで叩く。
そうだ。こんな事ばっかり考えてないで、理穂を迎えに行こう。
こんなときぐらいは一緒に。
一緒に学校にいくだけでも違うだろうし。
「よし」
理穂は、俺が守るから。
そう、決めたんだから。
顔を洗い、着替え、軽く朝食をとった。
鞄を持って家を出る。
向かうは理穂の家。
あいつの家は比較的俺の家から近い。
早歩きで道を進む。
空は昨日の雨がなかったかのような青さだ。
すぐに理穂の家の玄関前にたどり着いた。
「久しぶりだな……」
そういえば最近ここにあまり来たことがなかったな。
登校時間も違ってたし。
まあいい。
もうそろそろ理穂も家を出るはずだ。
壁にもたれかかって数分。
玄関のドアが開き、その向こうから理穂が顔をひょこっと出した。
「あれ…?」
かなり驚いているようだ。
いきなりだから仕方が無いか。
「おはよ、理穂」
笑顔で言った。
「どうしてここにいるの?それにいつももっと遅いんじゃ……」
困惑した表情で尋ねる理穂。
「ん~、なんか急に一緒に行きたくなったからね。そのためなら早起きだってできるさ」
俺はそう言った。
本当のことだし。
「そっか」
理穂は少し顔を赤くして、一言だけ言った。
やっぱり可愛いな。
「理穂は俺なんかと一緒に投稿するのは嫌か?」
「全然!」
即答。
直後に理穂の顔がまた赤くなる。
嬉しい。
「じゃ、行こうぜ」
「うんっ」
理穂は笑って大きく頷いた。
確かに、笑顔だった。
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