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探偵編
樹里ちゃん、別の怪盗に挑戦される
 御徒町樹里は、居酒屋と喫茶店と新聞販売所で働き、その上、ダメ夫の杉下左京の探偵事務所を手伝うスーパーレディです。



 ある日、樹里の居酒屋に牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた若い女性が現れました。

 髪はショートカット、服装は黒のワンピースで、お葬式の帰りのようです。

 女性は挙動不審で、店内をキョロキョロ見渡しています。

「いらっしゃいませ」

 樹里はそんな事はまるで気にかけず、声をかけました。

「わあ!」

 何故か、出川○朗さんのように大袈裟に驚く女性です。

「ツイッターでお見かけしました。神村律子さんですか?」

 樹里が尋ねます。女性は狼狽えて、

「ち、違います。ツイッターしない人にわからない話、しないで下さい」

「そうなんですか」

 樹里はそれでも笑顔です。

「私はこういう者です」

 女性は名刺を渡します。

「名刺屋さんですか?」

 樹里が尋ねます。

「以前使ったボケをまた使うのはやめて下さい!」

 女性が怒ります。女性は「空間クリエイター」の六本木厚子さんという方です。

「そうなんですか」

 樹里は席に案内します。

「個室がいいんだけど」

「承知致しました」

 厚子さんは一番奥の個室に案内されました。

「ご注文がお決まりになりましたら、そのベルでお呼び下さい」

 樹里が出て行こうとすると、

「待って。御徒町樹里さんでしょ? 話があるの」

「そうなんですか」

 樹里は振り返って厚子さんを見ました。

「貴女、ドロントを知ってるでしょ?」

 厚子さんは急に声をひそめて尋ねます。

「はい」

 樹里は笑顔全開で答えます。

「私ね、ドロントの小学校時代の同級生なの」

「そうなんですか」

 樹里はまた部屋を出て行こうとします。

「まだ話は終わってないのよ」

 厚子さんが大きな声で言いました。

「そうなんですか」

 樹里は笑顔で振り返ります。

「私は、ドロントの恥ずかしい過去や、素顔も知ってるのよ。どう、知りたくない?」

 厚子さんはドヤ顔で言いました。

「いえ、別に」

 樹里は深々と頭を下げて退室してしまいました。

「ええ?」

 厚子さんは唖然としました。そして、手許のベルを鳴らします。

 すると店長が現れました。

「ご注文、お決まりですか?」

「すみません、御徒町さんを呼んで下さい」

 いきなりの樹里指名にショックを受ける店長です。

「はい」

 店長は項垂れて退室しました。

 入れ替りで樹里が現れます。

「何でしょうか?」

 厚子さんはニヤリとして、

「私も怪盗だと言ったら、どうする?」

「通報します」

 樹里は携帯を出してボタンを押します。

「わああ、何するのよ!?」

 厚子さんは慌てて樹里の携帯を取り上げ、電源を切ります。

「ホントに警察呼ばないでよ!」

 厚子さんはゼイゼイ息をはずませて言いました。

「そうなんですか」

 樹里は携帯を返してもらい、ポケットにしまいます。

「私はベロトカゲという怪盗なの。明後日の午後十二時、プラントン銀座から、世界最大の真珠を頂くわ。これ、予告状ね」

 厚子さんは可愛いキャラクターモノの封筒を樹里に渡します。

「じゃあね!」

 ボンと煙を出し、逃げる厚子さんですが、煙が少な過ぎて、走って行くところが丸見えでした。

「またのご来店をお待ちしております」

 樹里は深々と頭を下げて言いました。

 

 仕事が終わって帰宅し、樹里は左京に予告状を見せました。

「悪戯だろ、これ」

 左京はそのままゴミ箱に捨てました。

「そうなんですか」

 樹里は笑顔で応じました。

 

 そして一方、警視庁の神戸蘭警部の元にも、ベロトカゲから予告状が届いていました。

「何これ? 悪戯にしても、あまりにも稚拙でバレバレね」

 蘭は予告状をシュレッダーにかけました。

 

 予告の日の夜です。

「誰もいない……」

 颯爽と登場しようと仮面とコスチュームまで特注で作った厚子さんでしたが、無人の現場を見て、項垂れて帰りました。



 めでたし、めでたし。
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