御徒町樹里はメイドです。
でも時々、冒険をしたり、湖の女神になったり、虫になったり、未来に行ったりと、大忙しです。
そんな樹里が、遂に念願の刑事になりました。
敏腕警部杉下左京との絶妙なコンビネーションをお楽しみ下さい。
俺は杉下左京。警視庁が誇る名警部だ。
今日は俺の所属する特別捜査班に新人刑事がやって来る事になっている。
しかも若い女性らしい。
その事を知り、ミスター無能の亀島馨は浮き足立っている。
そして、昔の相方である神戸蘭はイライラしている。嫉妬だろう。
「失礼致します」
その新人が、特捜班室に現れた。
おお! 若い。しかも可愛い。しかもスタイルもいい。
何一つ蘭には勝てる要素がない。
「特別捜査班に今日付で配属になりました御徒町樹里巡査です。よろしくお願い致します」
新人はそう言って敬礼した。俺と亀島は敬礼を返したが、
「ケッ」
と言って、蘭はそっぽを向いた。仕方のない奴だ。
しかし、だ。
「御徒町君」
俺は咳払いしてから言った。
「はい、警部」
御徒町巡査は俺を見た。
「メイド服はまずいだろう? スーツか、制服に着替えたまえ」
どんなボケだ、全く。
「そうなんですか」
御徒町巡査は、いきなりその場で服を脱ぎ始めた。
俺は飲みかけのコーヒーを吹き出し、亀島は湧かしたての黒烏龍茶を膝の上にこぼして大騒ぎだ。
「な、何やってるの、貴女は! 更衣室で着替えなさい!」
蘭が顔を赤らめて御徒町巡査を止めた。
「大丈夫です、お気になさらずに」
彼女は全く気にせずに服を脱いでしまった。つい、凝視ししてしまう俺と亀島。
「ああ」
俺と亀島は溜息を吐いた。何の事はない、メイド服の下にスーツを着ていたのだ。
期待させやがって、じゃなくて、驚かせやがって!
でもまあ、それでも可愛いから許す。コホン。
そして、早速俺達は今取りかかっている殺人事件の現場へと急行した。
現場は、八王子市の富豪の邸宅だ。
その家の持ち主である夕日奈熊五郎氏が殺されたのだ。
熊五郎氏は、大きな壷で後頭部を殴打され、頭骨陥没で死に至ったらしい。
容疑者は三人。
長男の浩二。熊五郎氏の後継者と思っていたが、実は隠し子がいて、その隠し子が社長に就任したため、熊五郎氏を酷く怨んでいる。
長女の礼華。会社の重役になれると思っていたが、使い込みが発覚し、免職にされ、やはり熊五郎氏を怨んでいる。
そして、次女の裕香。彼女は遺言書で熊五郎氏の財産の半分を譲り受ける事になっていた。そのために殺害した可能性がある。
三人共、それぞれアリバイはなく、動機も十分過ぎる程ある。
全員が怪しかった。
俺は早速事情聴取に取りかかろうとした。
「警部」
ミスター無能の亀島が話しかけて来た。
「何だ?」
こんな時に五月蝿い奴だ。置いてくれば良かった。
「御徒町巡査に、犯人がわかったそうです」
「何ィッ?」
嘘だろ? 今来たばかりだぞ? どうしてわかったんだ?
「御徒町巡査、犯人がわかったのか?」
「はい、警部」
御徒町巡査は笑顔全開で言った。
「一体誰が犯人なんだ?」
俺は彼女に近づいて尋ねた。うーん、いい香りがする。コホン。
「浩二さんです、警部」
「どうしてだ?」
浩二が怒りの形相で御徒町巡査に詰め寄った。
すると御徒町巡査はニッコリして、
「私、見てました」
「はあ?」
一同が一斉にそう叫んだ。
「意味が分からん。どういう事だ?」
俺が代表して尋ねた。
すると御徒町巡査はメイド服に着替え、
「私、昨日までここで働いていたのです」
「何ーっ!?」
驚天動地の結末だった。
御徒町巡査は、この屋敷に以前から潜入し、浩二が熊五郎氏を殺害するところを見ていたのだ。
「証拠の動画もあります」
御徒町巡査は、携帯で撮った殺害現場を見せた。
「おお!」
これこそまさに動く「動かぬ証拠」だった。
こうして、難航するかと思われた八王子の殺人事件は、呆気なく解決した。
その功労により、御徒町巡査は警部補に昇進し、亀島の上司になってしまった。
亀島が翌日休暇願を出したのは、言うまでもない。
小説家になろう 勝手にランキング
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。