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転職編
樹里ちゃん、スーパーで買い物する
 私の名は亀島馨。警視庁特別捜査班の刑事だ。

 先日、御徒町おかちまち樹里じゅりさんがG県にいると聞いて、危うく失神してしまうところだった。

 しかし、私はエリートだ。あの役立たずの杉下左京さんとは違う。精神的にも強いのだ。

 あの人は本来なら首のはずだったが、私の進言で、転属ですんだのだ。

 土下座して感謝して欲しいくらいだが、もう顔も合わせたくないのでどうでもいい。

 ただ、気になるのは、杉下さんがG県に転属になり、その直後に御徒町さんがG県にいた事だ。

 御徒町さんは何故G県に行ったのか? それは非常に気になる。



 そんな中、私達特捜班に初の大仕事が入った。

 連続強盗事件の主犯と思われる男の目撃証言を得たのだ。

 その証言に基づき、我々は行動を開始した。

 男が目撃されたのはG県。何かの因縁だろうか?

 その証言の確認を私が命じられた。

 私は気が重かったが、それでも御徒町さんがそんな軽い女性ではないと信じ、G県に赴いた。

 目撃されたのはG県M市内だ。ますます憂鬱だ。

 あの杉下さんが副署長をしている所轄の管内だ。

 一応挨拶に行かないといけない。

 嫌だったが仕方がない。私は菓子折りを手に、M署に行った。

 嬉しい事に、丁度杉下さんは非番でおらず、署長に挨拶してM署を出た。

 これからが本番だ。仕事に入る。

 M市の中央町だ。M署から歩いて五分くらいのところにある。

 目撃者の家は比較的わかりやすいところにあり、付近の交番の巡査と共に訪問し、何事もなく証言を得、裏付けのために付近を聞き込みに回った。

 主犯の男がこの付近をうろついていた事は確実で、つい昨日も目撃した人がいた。

 これは収穫だった。やはり、刑事は足だ。靴底をすり減らしてナンボなのだ。

 私はすぐに本庁に連絡をとった。

 電波状態が悪い。建物のせいか?

 私は大通りに出て、通話を続けた。

 あれ? 今のは?

 スーパーから出て来た三人の女の子。

 ミニ御徒町さん? 奇遇だ。

 これは御徒町さんもいるぞ。

 私は自分の中の高揚感を押さえ切れず、スーパーに歩を進めた。

 その時、私はハルマゲドンが起こったような衝撃を受けた。

 ミニ御徒町さんの後ろから、御徒町さんそのものと見たくもない杉下さんが連れ立って現れたのだ。

 頭の中が真っ白になった。

「燃えたよ。真っ白な灰に……。燃え尽きた……」

 まるで走馬灯のように頭の中をあのボクシング漫画が駆け抜けた。

「終わった……。何もかも……」
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