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異世界に巻き添え召喚されました 作者:鹿鳴館

五章

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153#対決! オークメイジ亜種

 オークが治める、ゴブリンの集落にある広場で、ランディが集落の長である緑色のオーク『オークメイジ亜種』と話をはじめた。

「ヨウコソ、我々の集落へ。 で、なにゆえこんな場所に迷い混んでキタノダ?」
 オークメイジ亜種の人間語は、なかなか上手だ。

 ランディは正直に答える事にした。
「食料調達のため『ブタシシ』を探しに、この森まで来ました。 中々見つからなく、ここまで来ました。 出来ればでいいので『ブタシシ』の生息場所を教えてくれませんか?」


「なるほど……して、あなた方以外の人間は来ているのか?」

 オークはランディの問いに答えない。

「仲間はいませんが『ブタシシ』は?」

「仲間はいないと……ソウソウ『ブタシシ』の話は諦めてなさい。 既に『ブタシシ』の大半は我々が飼育して、残りは森にナレタ者でも数日かけて探す事にナルダロウ」

「じゃあ、頑張れば見つかりそうですね」

「フゴゥ、諦めてと言ったのは、あなた方を新たな家畜として飼育するからなンデスよ。 これからあなた方を子供を産む家畜トシテ、使います。 産まれた人間の子を儀式トシテ使えば、我の魔力も上がり、エンペラーの道も開けよう。 さあ、お前達……胴体さえ無事なら構わない、コヤツラ捕らえよ!」

 すると、2つの兵舎からわらわらと、ゴブリンが湧き出してきて、後方からもゴブリンの一団が出現する。

「戦闘開始! 香織ちゃんは後方の一団に変更!」

 ランディの合図とほぼ同時に、リリスと香織が魔法の詠唱を始めた。
『冥府の番人よ、混沌の闇より黒龍の力を開放し、その力を彼の者に浴びせよ。魔天黒龍破』

「大気中の酸素よ、我が魔力と混じりあい爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」

  ゴブリンの3つの大集団は、リリスと香織によって全滅する。

 武器をゴブリンから受け取った二人のオークソルジャーは、受け取った瞬間の隙を、カミーラとひなたに突かれた。

 ランディもオークメイジ亜種に向かって、カミーラひなたコンビより、1秒遅れて特攻した。


「火弾、火弾、火弾! 火球」
 マーニャは魔法を連発しながら、ランディ達の武器を回収しに行く。

 大多数で一気に捕縛する予定だった、オークメイジ亜種は、逆にゴブリン兵の殆どを失った。

「何だと!? クッ、闇撃LV2!」

 サッカーボールサイズの闇魔法が、ランディに向かって射出されるが、ランディはこれを避けてしまう。

「避けただと!? ブゴッ」

 ランディのパンチが、炸裂する。

「くっ、なかなかの威力だが、それで私を倒すにはあと、100回以上の攻撃が必要ダナ。 それまでにコチラハ5回は殺せるダロウ」

 オークメイジ亜種は『スタッフ』と言われる長い杖を持ち、ランディに殴り掛かる。

 お互い5回の攻防を繰り広げ、オークメイジ亜種は5回、ランディは1回ダメージを受けるような打撃を受けた。

「なかなかの攻撃だけど、僕を倒すにはあと、300回くらい、今のを繰り返さないとダメだよ」

 ランディはオークメイジ亜種の真似をする。

「フゴッ、闇撃LV1」

 ランディはこの攻撃も難なく避けるが、避けた先にはオークメイジ亜種の杖があり、殴られてバランスを崩した。

 ランディは久し振りの、骨のある敵に喜んだ。

「第6レベル呪文……ストライキングス」
 この呪文で、ランディ、ひなた、カミーラの腕に、魔法ダメージの追加効果が付与された。


 戦っていると、強いのは三人のオークだけで、ゴブリン達は雑魚同然だった。

 それでも、マーニャの『火弾』1発では死なない個体もいることから、ゴブリン達も鍛えているのは間違いない。

「第3レベル呪文……リバース……シリアスダメージ」

「ゴプァァァァッ、ブゴッ」

 ランディは自分の攻撃命中率を上げるため、回避に力を入れていないせいか、ちょくちょく被弾している。

 だが、大きな一撃は貰っていない。
 代わりに、オークメイジ亜種のHPはガンガン減っていく。

 このオークキングよりも若干強い個体は、1対1の戦いで人間に押されているのが信じられなかった。

「プゴォォ、お前ラ、早くコッチヲテツダエ!」

 だんだんとアクセントに、品がなくなっていくオークの言葉につられて、ランディもひなたとカミーラをチラ見すると、ちょうどオークソルジャーが、二人にかじられている所だった。

「ま、不味いぃぃ、 後で魔法のお肉を食べるぅ」
「ペッ、オークの血は不味いのじゃ、後でランディにちょと血を分けてもらおう」

「…………」
「…………」


 そして、オークソルジャーがひなたとカミーラに倒さされた頃、オークメイジ亜種も残存HPが5%にまで下がった時、絶好の攻撃の機会が廻ってきた。

 杖についてる玉を割り、MPを回復させて、叫ぶ。
「イマダ! 闇撃LV3、変形ダークランス!」

 オークメイジ亜種、最大の魔法が放たれた。

 ランディも同時に呪文を唱えていた。

「第6レベル呪文……スペルイミュニティLVⅡ」

 大きな闇の塊が、幾つもの大槍に変形してランディを、突き刺すために発射される。
 しかし、闇の大槍はランディに刺さる直前にかき消される。

「ブゴ? ナンダト!?」

 驚いて、隙のできたオークメイジ亜種にランディのとどめの一撃が決まった。

「ゴアァァァ !!」


 ランディがオークメイジ亜種を、倒したとほぼ同時に、敵対勢力は全滅していて装備も回収されていた。

 残るは、ひれ伏しているゴブリン達がいるだけだった。

「コウサンシマス、ナンデモ、サシアゲマス、ドウカイノチダケハ……」

 ランディはゴブリン達を見ている。
 呪文で見える敵対反応は、赤色点灯から点滅になっている。

 ランディは1つ仮説を立てた。
(もしかしたら、敵対したいが、怯えててが出せない状況になると点滅になるのかな)


  結果、ランディのとる行動は決まった。

「分かった、降伏した者は殺さないよ。 その代わり家畜のブタシシを貰うよ。 あとオークの住居を調べてもいいかな?」

「ブタシシハ、ゼンブモッテイッテ、シマウノデスカ?」

「この集落のブタシシの数は?」

 少し間を置いてから、別のゴブリンが答えた。
「オヨソ、70トウデス」

「う~ん、なら20頭ほど貰おう、これなら影響ないかな」

「ハイ、ノコシテクレテアリガトウ、アノイエハ、スキニシテクダサイ」

「ありがとう」
「アリガトウ」
「アリガトヲ」

 この中には人間語の上手い個体もいるようだ。
 そして、このやり取りで点滅していた敵対反応の半分は消失した。


 ……
 …………

 ランディが調べている住居の中は、とてもオークが住んでいたとは思えない程の書物があった。

 その中には、森を迷路に作り替える方法や、魔法について詳しく書かれている物、戦闘の技術的な指導書等もあった。

 ランディは、3つの書物に目をつけた。

 1つは、オークメイジ亜種が使っていた変形魔法で、記述には攻撃魔法はLVが、上がるにつれ広範囲になるので、乱戦時でも使えるよう変形出来るような技術が記されてあった。

 もう1つは、 王神流の基礎と応用を学ぶための指導書だった。

 最後の1つは、日本語とユーフォリア語の翻訳本だった。

 ランディ達は、祝福(のろい)の影響で、転移先の主流言語と母国語を使える。

 したがって、ランディ、香織、マーニャ、ひなたはランディが注目した本が、翻訳本であると直ぐに気づいた。


「うわぁ、お兄ちゃん。 これってこの世界に日本人がいたって事じゃない」

「しかも、王神流の指導書もあるぞぅ? カミーラの同郷もいるのかぁ?」

「いや、ワシの世界での王神流の始祖は異世界人と聞いたのじゃが」

「でも、翻訳本と教本は凄く古い本よね」

 香織が、2冊の本がとても古い年代物だと指摘する。

「まっ、ここの本は何冊か持ち帰って後日、考察をしよう。先ずはブタシシをもって帰らなきゃ」

 ランディはクリエイトアイテムで滑車付きの、檻を出した。

 ランディはこのオーク達が珍しい個体かも知れないと考え、生首をバックパックに入れて持って帰る事にした。

 ランディは2往復して、待ち合わせ場所である森の入り口まで来たが、自分の失敗に気づいた。

 ランディが確保したブタシシは20頭。
 対して、運べる移動用の檻は8頭分だった。

「あっちゃあ、やっちまった。 仕方ない、第3レベル呪文……クリエイトアイテム」

 ランディはブタシシが、10頭分は入れられる大型の檻を出現させた。

「いい? みんな。 ニャーさん達が、こいつに突っ込みを入れたら、何とか誤魔化そう」

「うん!」
「「「…………」」」
「あ、主殿? 誤魔化せるイメージが浮かばないのじゃが」

 ……
 …………

 日も傾き始めた頃、ジャカルタ4兄妹が1頭のブタシシを引きずって帰ってきた。

「ブタシシは1頭しか見つからニャかった。 今回はついてニャいニャ……おっ、ランディはもういるのか。 ランディ収穫はどうだったニャ、ニャ……ニャにぃぃ!?」

 ジャカルタ達の目に映ったのは、20頭のブタシシと往路にはなかったはずの、巨大な檻付きの荷車だった。

「ラ、ランディ、いったい何があったのニャ?」

「そうれす、このブタシシの数はおかしいれす……って、ジャカ兄、このブタシシ生きてますよ?」

「あ、あなた達は何者なの? ブタシシ20頭、全て生け捕りとかあり得ないの」

「ちょっと待つだわさ。 ブタシシより突っ込み処は、聳え立つ檻だわさ、いったい何処から持ってきたんだわさ?」

 ランディは、人差し指をつきたて口に持っていく。
「ブタシシ3頭あげるから、ナイショって事で……」

 ウインクするランディだった。




 ジャカルタは悩んだ。
 ブタシシの大量生け捕りは、非常に気になる……が、言いたくない事を詮索するのは、冒険者として『タブー』だ。

 現に自分も隠し事の2つや3つくらいある。

 だが、問題は口止め程度で、ブタシシを3頭も貰うって事にある。

 ただ、今回はブタシシがかなり欲しい状況なので、考えに考えた。

「分かったニャ、ブタシシはありがたく頂くニャ。しかし、これでは俺も気がすまニャいニャ。 それで、ジャイコをデートに誘ってもいいニャ」

「ガーン! あちし、ジャカ兄に売られたわさ」

「ジャイコ、頑張るの。 ブタシシ3頭分、たくさんつくすの」


 既に、ジャカルタとジャミラスはブタシシを自分の荷車に、乗せている最中だ。

「ジャカ兄、ブタシシを3頭も貰ったのれすから、ジャルミネも付けた方が、いいと思うれす」

「そうか、ジャルミネも付けるか……ただのデートだし、問題ないか」


 二人の兄をジト目で見つめて、ジャルミネはつぶやく。

「あたしも売られてしまうの。ジャカ兄とジャミ兄は非道なの」


 ……
 …………
 ………………

 帰り道、ランディとジャカルタパーティは、2組みの冒険者とすれ違った。

 ランディは冒険者達の不穏な気配を感じて、第3レベル呪文『ディテクトイービル』を使った。

 ランディの予想通り、冒険者達はブタシシを強奪する気満々のようだった。


 ランディとジャカルタ達は夜営をして、マーニャ、リリスが見張りとなった。

「今夜はランディ達に見張りを任せるニャ、比較的安全な道だから、気を張らないでもいいニャよ」

「しかし、想像以上の馬鹿力れすね」

 カミーラ、ひなたは4頭を乗せた荷車を一人で牽引して、ランディは9頭を乗せた大型の荷車を、呼吸を乱さず牽引していた。

「まさか、二人がかりで運んでる、ジャカ兄たちより余裕とはびっくりしたわさ」

「きっと、痩せ我慢なの、ランディも早く寝るの、無理してると明日に響くの」

 ジャカルタ達が寝静まった時、ランディ、ひなた、カミーラは
 ムクリと起き上がった。

「さぁ香織ちゃん、活きましょうか」

「ランディ、やっぱり彼奴等は『黒』かぁ?」

「はい、真っ黒です。 念のため、様子を見てから仕掛けますよ。 リリスたんマーニャ見張りをよろしく」

「うん、解った。 」
「任せて、お兄ちゃん」

「さあ、行きましょう」

 ランディ達は、すれ違った冒険者を覗きに、音もなく出かけた。
来週の投稿は間に合わないかもしれません。
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