挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界に巻き添え召喚されました 作者:鹿鳴館

五章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

151/163

142#武器屋ミランダ

ただ今のみんなは、どこにいるのでしょうか?
ランディパーティ≡ストマティア
キンジ組≡リスタニア
魔剣ガル≡ブルーガリア
召喚された勇者≡ブルーガリア

 ~~~
 この都市は、朝から活況溢れる様相を見せていた。
 その中でも、特に賑わっているのは、装備品を売っている大型建造物『モラトリア』だ。

 この建物もギルド会館と同じく、四階建ての構造物で、二階は防具専門店、三階は武器専門店、四階は武器防具を両方取り扱う店と、防具以外の装備品を売っている店が立ち並んでいる。
 そして、一階は魔石を錬成した色々な種類の『錬成魔石』や体力を回復させる『マジックポーション』が売られていた。

 ここは、外の小規模な店より、若干割高な価格設定になっているが、品質は保証付きで、粗悪品は商工ギルドの管理によって徹底排除されていた。



 ランディはドドンガの薦めで、ここで装備品を買いに来ていたのだった。

「ほええぇ……このフロア、全部武器屋さん!? すごぉい」
「これは、凄いよ。 私もこんな規模の複合店は初めてだよ……」
 リリス、マーニャもキョロキョロとしている。

 ランディも口には出していないが、誰よりも楽しそうだった。

 ランディはこの世界の理が、自分の知っているゲームに酷似していると確信していた。

 国や都市の名前こそ違うが、地下迷宮の名前が全く同じだったからだ。
 お陰でランディは、今すぐにでも地下迷宮に潜りたい気持ちを、押さえるのでいっぱいだった。

 ランディは今朝、第7レベル呪文を解放していた。
 なのに、気持ちの殆どは地下迷宮に向いていた。

 仲間探し・召喚主を探して宴会する・第7レベル呪文を検証する事を、すっかり頭から抜けていた。

 現在のランディ達は、まともな装備品を持っていない。
 なので、昨日ドドンガに教えて貰った、お薦めの店を目指していた。

 店の名前は『ミランダ』二階と三階には、その店の名前は無かった。
 ランディ達は、四階を探し始めている。
 四階に上がると、冒険者の数は激減していた。

 冒険者の殆どは、二階と三階で用が足りてしまうからだ。

 残りは、知り合いの店に行く冒険者・店にこだわりを持つ冒険者・掘り出し物を探す冒険者しか歩いていない。

 ほどなくして、ランディは『ミランダ』と書いてある看板を見つけた。

「ランディ、人の気配がないなぁ……おじさんに騙されたかぁ?」

「騙された? 主殿、ワシがギルドに戻って、ちょっと吸ってやろうかの?」

「カミーラその程度で、吸血行為は控えてください。いざとなれば僕の血をあげますから」

「本当か? それでは早速頼むのじゃ あ~ん……」

「カミーラ『いざとなれば』って言いましたけど……それに直接吸われると『エナジードレイン』を起こすから、止めてくんない?」
 素早くカミーラの牙から逃れるランディ。

「明日から我慢するから、ちょっとだけ、ちょっとだけでいいのじゃ……」
 もはや、カミーラの言葉の意味がおかしくなっている……それほどランディの血はカミーラにとって美味なのだろう。


 根負けしたランディは、香織に手を少し切ってもらい、それをカミーラに舐めさせた。
 カミーラは満足そうにしていたが、ランディの爪先に血が滴り落ちたのまで、舐め取っていたので、外での吸血行為は禁止となった。


「香織さん、あの絵面はヤバイよね……お兄ちゃんが、カミーラさんを膝まづかせて、靴にキスをさせてる様に見えた」

「実際はカミーラさんが、ランディに強要してるんだけどね……」

「あはは、誰かに見られたら大変だぁ」

 実際その行為は、幾人かの冒険者に見られていた。

 事が終わり、ランディ達は『ミランダ』と表記してある看板近くのドアを開ける。

 そこには、様々な武器防具が陳列してあった。
 綺麗に飾っている武具もあれば、無造作にしまわれている武具もある。

 店の奥から、妖艶な声色で、
「いらっしゃい……初めて見る顔だね。どの『クラン』の使いだ?」

「クラン?」
 リリスは不思議そうにしている。
 リリスは昨日の説明を一部忘れてしまった様だ。

 声の出所を見ると、紫色したウェーブのかかった髪型の巨乳の二十代後半に見える女性が、機嫌悪そうに、ランディ達を見ていた。
 様子から見るに、ここの店員だろう。

 ランディはクランに属していない事を告げると、
「はぁ? クランに入っていないだって!? ……パーティランクは?」

「Gです……」
 ランディは胸を張って答えた。

 女は呆れ果て、指を出入り口に向かって指す。
「出口はあっちだよ、三年後に来な……」

「あのう、ドドンガさんに言われてここに来たんだけど……」

 すると女は、ため息をついた。
「はぁ、あの物好きジジィめ……あの奥に使わない武器が沢山置いてある……その中で好きなのを選びな……もし使いこなせるなら、十分の一の値段で売ってやるよ」

 女は意地の悪い笑顔で、ニヤリと笑った。
 今のやり取りで女は、この店の主人と判る。

 ランディ達は、女主人の言っていた武器庫に入り、無造作に置かれた武器を見た。

 そこには規格外の大きさの武器や、奇妙な形をした武器が多数あった。

『チャクラム』・クリスタル製の『ブーメラン』・刃を散りばめた『ヌンチャク』・七つに分かれた『ムチ』・『鎖り鎌』・『蛇腹剣』・『月牙刺』・『飛爪』・『鹿角鈎』・『九節棍』等扱いに関しては何れも高難度の武器ばかりだった。

 これは、何れも扱いが難しいだけでなく、魔法の追加効果が付与されている、業物ばかりだった。
 しかし、この武器たちは使いこなせる使い手に出会う事なく、倉庫の片隅を住居にしていた。


 流石に、女主人の嫌がらせと気づいた女性陣は、ぎゃあぎゃあ文句を言っていたが、香織だけは違った。
 そう、この中にランディの得意分野の武器が、一つだけ有ったからだ。

 そして香織の予想通り、ランディは九節棍を手に取る。

 この九節棍は一棍あたり、三十五センチの長さで鎖の長さも合わせると、四メートルを超える射程に成る武器で、普通の冒険者が使える代物じゃ無かった。

 ランディは四番棍と六番棍を持ち、双状鞭のように振り回す。
 ランディが気を込めると、ランディの思い通りに鎖が収納されて、大きな三節棍に変化し、その後一本の長い棍となった。

「予想はしてたけど……予想以上だわ」
「おお……ランディすごいなぁ」
「ほえぇ、らんでい格好いい❤」
「お、お兄ちゃんって一体……」
「………………主殿は……何者じゃ?」

 ……
 …………

 武器庫を見つめていた女主人が、ランディ達の姿を見つける。
 しかし、彼女の予想外に、ランディは嬉しそうに九節棍を抱きしめて、女主人の方に歩いていた。

 女主人は、意気消沈したパーティの姿を期待して待っていたのに……
(ふっ……どうやら、あの武器の難しすら知らない素人だったとは……いいわ、教えて上げる。坊やが手にしたのは『多連ヌンチャク』と言って、最上級の難易度を誇る武器だって事をね……)

「お姉さん、僕……これにしますっ」

「ホントに使いこなせるのかい? あっちに試し打ちが出来る場所が有るから来な……もし、だらしないとこを見せたら、手間賃としてここの掃除をしてもらうよ」

 ……
 …………

 女主人は茫然とランディを見ていた。
(な、なんだってんだいあの坊やは……)
 
 ランディは縦横無尽に目標物に攻撃を仕掛けていた。

 目標物は、魔法で強化してあって、普通の攻撃ではびくともしない……それが一撃当たる度にビリビリと悲鳴を上げていた。
 
(速い……しかも重い? あれがビリビリと鳴いている!?)

 ランディは持つ棍を三番棍と四番棍に、変えて二種類の間合いで攻撃を始めた。

「完全に……使い……こなして……いる?」

 ランディは気を込め三節棍として攻撃を繰り返した。

「…………」
(ばかな……そんな機能があるなんアタシャ知らないよ? これでGクラス!? 嘘だろっ!)

 最後は一本の棍にして、快心の一撃をあたえた。
 目標物に亀裂が入った。

「ば、ばかな……あれは、どれだけ頑丈に出来てると……」

 女主人は脚の力が抜けて座り込んでしまった。
(ドドンガのジジィに、してやられた……)


 それを見たランディは、一言。
「やり過ぎちゃった? テヘッ」

 ……
 …………

「こいつは、『名工ベルガー』の晩年の傑作品でね……元々は金貨一万千二百枚で売られていたんだ……」

「せ、一万千二百!?」×6

「しかし、この武器を使いこなせる者は皆無でな……みるみる価値が下がっていって、私の店の倉庫に置かれた時は、金貨千枚まで下がっていたよ……」


「絶対に原価割れしてるよね?」
 マーニャボソッと呟く。

「嘘か真か判らないけど、ベルガーの武器はみな原価が安い……インスピレーションで力のある武器を造るらしいからね……だからベルガー晩年の作品はどれも、扱う冒険者が居なくなったのさ。」

 女主人は、いまだに興奮していて、ランディに寄ってきた。

「坊や……じゃなくてランディって言われてたね。約束通り、こいつは十分の一……いや二十分の一でいいよ。持ち合わせが無いなら、出世払いでいいから……」

 ランディと女主人の顔の距離は十センチも離れていない。

「近い近いよ、お姉さん」
 ランディは女主人の攻めに少し困っていた。


 それを見ていたランディの女仲間の達は、

「まさか、お兄ちゃんにフラグとか、立ったりしないよね?」

「大丈夫だぁ、そうなったら始末するからぁ」
 と言って、剣を取り出す。

「大丈夫じゃないから、ひなたは刃物しまって」

 いつの間にか、マーニャ・リリス・ひなたの保護者になりつつある香織だった。

「しかし、この武器は扱いが難しいね。馴れるのに十日はかかりそうだよ」

「今ので、まだ扱いきれて無いのかい? ……なぁ、他の武器も色々面倒を見るからさっ……ちょくちょく顔を出しておくれよ。そこで、殺気を放っている恋人さん達用に、武具を探しておくからさ」

『恋人』の単語を聞いて、マーニャ・リリス・ひなたから、殺気が忽然と消えて、だらしない顔になっていた。

 さすがは、女主人と言うべきだろう。

 ランディは遠慮なく二十分の一の値段で武器を買った。
 ランディは手持ちの大金貨を全て使った。

 そして、カミーラにはバカでかい大剣……『名工ベルガー』作、『重剛剣』を十分の一の価格で、買った。
 勿論カミーラは、それを楽々と振り回していた。
「これくらいなら片手でもイけるがの……」

 ひたなには、駆け出し冒険者用のロンクソード。
 香織にも、同じく駆け出し冒険者用のショートソード。
 リリス、マーニャにも、駆け出し冒険者用のダガーを二本づつ購入した。

 これらは、割引くと全く利益が出ないのだが、ロングソード一本・ショートソード一本・ダガー四本の合計、銀貨百三枚のところ、銀貨百枚にまけて貰った。

 因みにカミーラの『重剛剣』は割引後の価格で金貨二十枚だった。

 防具はランディの懐事情もあって、保留になった。

 ランディ達が地下迷宮に探索するための準備は、整いつつあった。


 ~ランディパーティの懐事情……金貨二十枚~
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ