挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界に巻き添え召喚されました 作者:鹿鳴館

四章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

141/163

141#Aチーム【王神流】

 ランディは、香織たちにカミーラを暫定的な仲間にしたと伝えた後、今後の方針を決めた。

 カミーラから、聞いた情報では、サバイバルゲームで規定日数に達すると、大型無人船が島に来て、自動でガストブレイク社の本拠地近くまで、たどり着く様になっていると。

 カミーラの妹、サクラ殺害のメンバーは、カミーラに任せて、それ以外の重要人物は、裸に剥いて山芋を塗り付けるとランディは言った。

 奇しくも、ガルが実行していた事なのだが。
 そして、ガストブレイク社に、対するお仕置きとして、生存者を出来るだけ助け、会社に五億づつ支払わせると言う、ルールに沿った範囲での嫌がらせを発案したのだった。

「カミーラ、この島には僕達以外に、三人の参加者が居るんだね」

「その通りじゃ、ワシの役目はランディ達を妨害しつつ、その三人が不甲斐ないなら、助け……頑張っているなら、妨害する手はずじゃった」

「なるほど……なら、その三人には、ゲームの楽しさを損なわない範囲で協力しよう」

 ランディは、まだこのサバイバルゲームを、楽しむつもりでいた。


 香織達にも、カミーラの置かれた状況を簡単に、説明してあったが、ランディの軽い感じの言動に、マーニャとひなたが、『カミーラさんの事を、気づかって』と言っていたが、この軽い応対がランディ流の気づかい方だった。

「泣くときは、思いっきり泣き。遊ぶときは、めいいっぱい遊び。復讐するときは、ガッツリ復讐する……カミーラも、僕と行動するならそれを心掛けよう…………ウジウジしてる暇は与えませんよ?」

 当初、カミーラもランディの言葉に面食らったが、数日後には、カミーラにとって、『ランディ流気づかい』が良手だと気づく事になる。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 B島より、数日遅れて送り込まれたゴブリン軍団に、宮城陸は苦戦を強いられていた。

 初の遭遇では、ゴブリン二体だったため、宮城陸が、快勝したのだが、二度目の遭遇は、四体だった。

 福島葵と山形美月まで、守ることは出来ない。
 かと言って、この場で見捨てるわけにも行かず、拠点に戻り、籠城する結果となった。

 ゴブリンは、何故か拠点には攻め要らず、その数を倍にして拠点の回りをウロウロと徘徊していた。

 そして、備蓄の食料も少なくなって来た時…………

 ……
 …………

「ゴブリン発見! 」

 そこには、熊を背負ったランディと、五人の美少女がいた。

 香織、リリス、マーニャが、『ジェイソン』が持って来ていた、ダガーを装備。
 ひなたは、剣。
 カミーラは、リリスが持っていた槍を貰い、装備している。


 ランディは、八体のゴブリンを瞬時に分析して、戦闘開始の合図をした。

「香織ちゃん、リリスたん、マーニャは魔法無しで一人を相手にして。ひなたんは二人、カミーラはゴブリンの誘導及び三人!」

「「「うん!」」」
「わかったぁ」
「わかったのじゃ」

 カミーラは、ゴブリンをうまく分散するよう誘導しつつ技を放つ。
「王神流槍術、奥義、正!」
 ゴブリンの頭部に穴が空いた。

 ランディは、カミーラを見て確信する。
(おおっ、スゲェ……王神流って、ガルが使ってる剣術じゃないか……もしかしたらカミーラは武器攻撃は、かなり強いかも知れないな……それでも、この動きなら、負ける気はしないけどね……呪文を使えば)

 この中で、最も弱いと思われる香織とリリスも、ゴブリン相手に、危なげ無い戦いをしている。

 流石に、瞬殺と言う訳には行かなかったが、香織は無傷、リリスもかすり傷程度で、戦いを勝利に納めた。

 マーニャとひなたも、戦い方は我流で練度は低かったが、身体能力がずば抜けていて、二体のゴブリンをあっさりと倒した。

 カミーラは、軽やかなステップにフェイントを混ぜ、ゴブリンがカミーラによって、隙だらけになった所で渾身の一撃を喰らわすと、ゴブリンの上半身と、下半身は別れを告げた。

 ランディは、目をキラキラさせながら、
(完全にオーバーキルだな……切断に向かない槍で、ゴブリンを二つにするのは、並じゃ出来ない)
と感心していた。


 ……
 …………

 僅か数十秒で、戦いを終わらせてしまった。

 カミーラは戦いながら、みんなの戦いも観察していたようで、助言を始めた。

「ひなたと言ったな……剣は初めてか?」

「えっ? うん、あっ はい」

「そうか、非常に教えがいがあるの……ひなたなら一年かからず、王神流剣術の『下位』を習得出来るぞ」

「えっと……カミーラさん、その『王神流』って凄いんですか?」

 ひなたの言動は、他所行き仕様だった。

「ふっ……ひなた言葉遣いは、いつも通りで良いのじゃ……身体能力はワシと比べて半分以上もある……したがって、基礎を身に付ければ、直ぐに『王神流 』を名乗れる」

 カミーラのセリフにマーニャが、食いついてきた。
「カミーラさん、私は? 私は?」

「マーニャだったかの? そなたは、我流じゃな……しかし、スピード、パワー、初撃の入りは文句無しじゃのマーニャならその短剣がちょうど良い、王神流短剣術を習うが良い」

「えっ、カミーラさん、その王神流短剣術を教えてくれるのって、教えられるの?」
 マーニャの瞳は期待に満ちていた。

 すると、カミーラの瞳は急に優しいものになり、答えた。
「良いぞ、ワシはこう見えても、あの『王神流』の『上位』者じゃからの」

 すると、じっとカミーラを見ていたリリスの視線に気づく。
「そなたは……リリスじゃったかな?」

「うん!」

「リリスは、今見た限り無手の方が得意と見た」

 ランディが、いきなりリリスの素質を、看破した事に、驚く。

「なので、王神流下位を名乗れるのは難しい……でも、基礎を学んで悪いことは無いのじゃ、マーニャと一緒にやってみるか?」

「うんっ!」

「因みにある程度、基礎を学んだら、短剣の両手持ちにすると、攻撃の幅が広がるのじゃ」


 そして、カミーラは香織をみる。

「そなたは、香織じゃったの……香織は短剣を使っておったが、見る限り小剣の方が向いていると思うのじゃ…………それに……香織はもしかしたら、王神流の使い手に習った事があるのか?」

「あっ……もしかしてガル?」

 香織の言葉にランディも頷く。

「そうか、もし小剣が有れば、教えられたのじゃがの……」
 と少し残念そうだ。

 この時カミーラは、四人の女性それぞれに、妹のサクラと重ね合わせていた。

 佇まいは香織、瞳はマーニャ、返事の仕方はリリス、背格好はひなたと言う感じに……

「カミーラさん、カミーラさんは王神流でどのくらい強いの?」
 マーニャはこう言う話題が好きだ。

 そして、マーニャの質問に優しく応える。
「そうじゃの……王神流には、両手持ち用の『大剣術』一般的な『剣術』それに『短剣術』『大槍術』『槍術』『斧術』があるのじゃ…………そして基礎を習得すれば、『下位』を名乗れ、数多(あまた)ある奥義の内、一つでも習得すれば、『中位』を名乗れる」

「うん、それでカミーラさんは?」

「ワシは勿論『上位』じゃが、その『上位』は数字で階級を表すのじゃ、ランディ……一発ワシの奥義を受けてみるか? 」

「良いよ、まあ来ると解っていれば初撃なら避けられ……いや、受けてやるよ……第6レベル呪文……鋼皮LVⅡ。さあ、来なさい」

 ランディの気迫に触発されたカミーラは、手加減をする気が、消えて無くなった。
「ふふっ、血が沸くのじゃ……王神流第十一位、カミーラ・フォン・アルフシュタイン参る!」

 カミーラは、助走をつけてランディに斬り込む。
「王神流秘奥義、鬼人剣!」

 カミーラの槍は、左右に別れるように見え、ランディの両胴を襲った。

 ドン! ドン!

 カミーラの槍は、ランディの両手に当たり、カミーラは次の攻撃体制に入った。
 どうやら、カミーラの『鬼人剣』は瞬時に左右二連撃した後、次の攻撃体制に入る所までが、『形』なのだろう。

「なっ!? ……」
 カミーラは、連撃を両腕で防がれて、なお無傷のランディに驚愕した。

「痛ぁ……流石カミーラ……強烈な痛みだった」

「流石のカミーラさんも、ランディの不思議な呪文には勝てないかぁ……」

「ランディ……お主は化物じゃな……ワシの師匠の師匠も化物じゃったと聞くが、どちらが化物か試して見たいのじゃ」

 ランディも、カミーラの『師匠の師匠』に興味があったようで、聞いていた。
「カミーラの知ってる化物さんて、どんなの?」

「ワシは直接知らないが、王神流第八位の剣士で、三つ目の秘奥義、『流星剣』を使う、正真正銘の化物なのじゃ」

「それじゃ一位から七位ってどれだけ凄いのかな?」
 珍しく、香織がこの手の話題に、食い付いて来た。

「う~ん、ワシが思うに、五位からは空想上の理論じゃと考える。剣速や、剣圧を極めた状態で、さらに二倍、三倍も力を上げたり、斬撃を十メートル以上も飛ばす『魔神剣』や『真魔神剣』など実現など不可能じゃ……」

「ふぅん……でも、王神流って有名なのね……ガル以外の使い手を、初めて見たわ……ねぇランディ、ガルって、どのくらいの階級だったのかな?」
香織はランディを見る。

「う~ん、ガルの秘奥義なんて、記憶に無いかならなぁ……」
(でも、ペタストラムとバトルした時、それらしい五連撃を放っていたけど……アレかな?)


 カミーラもガルに興味が沸いた様で、
「ははっ、『奥義』はともかく『秘奥義』はそうそう習得出来る技じゃないのじゃ…………その、おぬし等の知り合いのガルとやらは『上位者』なのか?」

 その問にはリリスが答えた。
「うん、凄いよ。ガルの剣どころか、持ち手も見えなかったのよ……たしか『神速剣、刹那』って言ってたよ」

「んなっ? 『刹那』じゃと!?」
(バカな……神速剣、五段目の奥義じゃないか……ワシでも二段階目じゃと言うのに……)
 
「リリス、して……王力剣の方はどうじゃ?」

「うんとぉ……苦手って言ってた」

「そうか、そうじゃの……十位以下がそんな簡単に見つかる筈無いのじゃ……」

 ~~~~
 因みに余談ではあるが、カーズが王神流短剣術の第八位、ガルが王神流剣術の第六位、アーサーは王神剣術で、第一位である。
 ランディは未習得。
その中でガルは少々特殊で、奥義を使う際、技名を言葉にしない……ガルは隠密系なので当たり前なのだが、『王神流』は階級を名乗る、技名を言うのが常識になっている。
 第一位とは、王神流発祥の世界ですら、千年以上の長い歴史を誇る中、五人しか確認されていない。(アーサー含まず)
 ~~~~

 そんな話をしながら、ランディ達は、宮城陸達が籠城している、家の前までやって来た。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 宮城陸は、多数のゴブリンに囲まれて続けてしびれを切らす寸前だった。

 彼には、この状況を覆せるかもしれない手段が、一つだけ持っていた。

 それは、宮城陸一人だけこの場を、ゴブリン軍団から走って逃げて、福島美月、山形葵の二名を見捨てたと思わせてから、拠点付近に戻って、ゴブリンを各個撃破する。
 と言う作戦だったが、宮城自身、勝算が五分五分の作戦だった。

 しかし、このまま籠城していても、埒が開かない。
 宮城陸は憔悴している二人をチラ見してから、外の様子を、家の隙間から覗き見た。


「はぁ? 何だぁ?」

 宮城陸から見えたのは、熊を担いだ男の姿だった。
 宮城陸は、状況を把握する事も忘れ、外に飛び出して行った。

 後を追う、福島葵と山形美月。

 三人が外に出ると、そこにはランディと五人の女性が居た。

 宮城陸は、かつてないほど焦っていた。

 宮城陸は、喧嘩で負けた事が無い。
 理由の一つに、自分より数段強い者を直感で感じる能力が有るからだ。

 宮城陸は、熊にすら感じた事がない、圧倒的強者の気配を四つも感じ取っていた。

(駄目だ……打つ手が無ぇ……こいつらの目的は何だ?)

 そして、この中で空気の読めない福島美月が、
「すみません、どんな用事ですか? もしかして、仲間ですか?」
 と、笑みを浮かべた。

 山形葵はこの時、頭の中で、こう叫んだと言う。
『美月の大バカ者!! 十中八九略奪に決まってるじゃない! 三対六じゃいくら陸さんでも、勝ち目が……』
 しかし、山形葵の心配は、無駄に終わった。

「すいませ~~ん、熊を仕留めたんだけど、美味しく調理出来る人居る? 報酬は熊肉食べ放題なんだけど……」

 ランディの言葉に、宮城陸は盛大にズッコケたかったが、なんとか平静を装う事が出来た。
 そして、福島美月を見る。

「あの~、普通でいいなら、料理が出来ますけど、調味料が……」

 ランディは、カミーラを襲った刺客から奪った食料、調味料を出した。
「これで、行ける? 何せ、うちの姫様達と来たら……」
 ジト目で、香織達を見る。

 実は、マーニャとカミーラの料理は壊滅的で、香織とリリスは普通に下手で、まともだった筈のひなたは、味覚を失なった結果、味見が出来ずへたれ同然に成り下がっていた。
 この中では、ただ焼くだけのランディが一番上手いと言っても過言ではない。

 宮城陸は、ランディを警戒して、料理の報酬を、わざと吹っ掛けてみた。
 ランディの人柄を試すためであった。

「うん、僕より美味く出来たらそれで良いよ、僕らの食料、全ての均等配分しよう」
 元々ランディは、この三人に生き残って貰うのが目的だったので問題無かった。

 こうして、ランディは宮城陸率いるグループに溶け込む事になった。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ