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異世界に巻き添え召喚されました 作者:鹿鳴館

四章

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112#Aチーム【人減らしの薬】

真っ白なとてつもなく広い部屋のど真ん中に、大きなテーブルが有り、そのテーブルを囲うように、青森海斗・山形葵・宮城陸・福島美月の4人が座っていた。

ただ一人、岩手拓巳は何か壁や閉じている扉に向かって調べものをしている。


「まさか、こんな事になるなんて……」
項垂(うなだ)れている福島美月が呟く。

「さ、流石に始めは驚いたけどよぉ、良く考えりゃ当たり前じゃねえのか? 5億だぞ、5億」
青森海斗か自分に言い聞かせる様に語る。

「そうね……そうよね。 こんな大金を手にする確率より、病死や事故死の方が確率は何10倍も高い筈よ。でも……あと2部屋……後2人は脱落(しぼう)するのよね……」
山形葵も現状を受け入れ、徐々に割り切り出して来た。


「…………」
宮城陸の考えは山形葵と違っていた。
(あの鎖のゲーム……事前に知ってさえいれば、誰も死なない方法は幾つかありそうだな……しかし前情報が無い所であの無数の刃物とたった3分の制限時間で、それに気づくなんて俺以外いねぇだろ……しかも俺みたいな奴が最低3人……いや4人いるな……)

等と思考していたら、山形葵が動き出した。


「ねえ、皆さん。まだ時間も有るようですし、自己紹介でもしませんか?」
と提案して来た。

「あ? そんなの、外に出てからでいいんじゃねぇのか? 後2人は死ぬんだしよぉ」
青森海斗もこのゲームは一部屋につき、1人死ぬと思っている。

「だけどよう、俺様の名前は覚えておいた方がいいぜっ、俺様は青森海斗、25歳! プロレスラーだ。まぁテレビにゃ殆ど出てねぇけどなっ。後は勝手に自己紹介でもしてな……俺わわ、ぁちょっと休むわ」

と言ってゴロリと横になった。


「こんなゲームをしている中ずいぶんと無用心だな……」
岩手拓巳がやって来た。


「自分に自信あるんじゃないっすか? 素手じゃ4人ががりでも勝てませんって……」
と宮城陸は、答える。


「あー、うん……自己紹介、私もさせてもらうよ。私は岩手拓巳、23になる。実はこのゲームがとんでもないネタになると踏んで応募したんだが、まさか殺人ゲームだったとはね……」
と、おどけて見せるが、声は何処と無く震えている。
観察力のある人が見れば虚勢をはっている様にも見える。


彼も一部屋目の、精神的ダメージから立ち直っているように見える。


「ネタ……ですか? 雑誌とかの記者とかですか? あっ、私は福島美月です。 二十歳(はたち)になりました、どうしよう……私恐いです……」
と年相応の反応を見せる。


「ああ、当たりだよ。でも身分を偽って応募したんだが、あいつらにバレてしまいましてね……でも参加どころかカメラの持ち込みもOKしてくれた……あいつらは何を考えているか解らんよ……あっすまん自己紹介の途中だったな……」

と、自己紹介を言い出したもう一人の、女性を見る。


「私は山形葵です。つい先日21歳になりましたわ。○○証券のフロント受付をしていました。 ここに来た目的は、世界一周旅行等、色々したい事があります。 えっと……貴方の名前を教えて頂けませんか?」

と、山形葵は宮城陸を見つめる。


そう、山形葵にとって自己紹介は特に大事な事ではない。

鎖に繋がれた部屋で自分を助けてくれた男性。
この男の名前さえ知れれば良かったのだ。

普段、街中で見かけたら軽蔑の眼差しを向けるであろう風貌の男なのだが、こんな殺人ゲームの中で話が違う。
『助けて』の言葉に真摯に動いてくれた。
落ち着いた今、よく考えてみれば、彼は冷静に状況を見ていた気がする……彼を味方に付ければこのゲームを生きて脱出出来る可能性が高い。

彼に惹かれつつあるこの感情を抜きにしても、彼を味方に付けなければならない……

そう思ったのだ。


「ああ……俺は宮城陸っす……別に何の特技もないっす……まあ、みんなで大金ゲット出来ればいいっすね……」
そんな宮城陸の言葉とは裏腹に、思考は今回も全員助かる道があるのかを考えてワクワクしていた。

そんな宮城陸は「ん? あれ?」
と声を出す。


「どうしましたか、陸さん」
宮城陸の僅かな変化を捕らえた、山形葵が宮城陸に近寄る……

「ん、ああ……何でもない……」
(なんだ、身体に微妙な違和感を感じる……)


宮城陸の感覚は鋭かった。
彼が、違和感を感じていた時から約20分後。

みんなが身体の不調を訴えていた。

その時アナウンスが流れ出した。

『ようこそ、この【人減らしの薬】へ……現在この部屋には、致死性の猛毒ガスが散布していました。 とは言っても、解毒薬を摂取すれば簡単に助かる程度の毒ですが……』

既に5人には自覚症状も現れ、致死性の毒も最初の部屋をくぐり抜けた者なら、嘘ではないと解る。

『これから解毒薬を置いている4つの小部屋を出現させますその小部屋には解毒薬が1(・・・)置いてあります……解毒薬を飲んだら体調が戻るまでの二時間弱、休んでいてください……この部屋の試練はこれだけです。』

このアナウンスの直後、部屋の四隅に1m四方の『小部屋』と言うより『大きな箱』と言った方が似合う物体が出現した。

なんと同時に3人、初動が早かった。
それは、青森海斗・岩手拓巳・山形葵だった。

偶然にも宮城陸は、右下側に位置していたせいか、青森海斗が左下・岩手拓巳が右下・山形葵が左上に向かって進んでいた。

出遅れた、福島美月はこの状況についていけないで、泣きながら震えていた。


「チッ……」

なんと宮城陸は、福島美月の居る部屋の中央に向かって動いた。

宮城陸は、部屋の中央に着くと、
「おい! お前、あっちが空いてる……行け……」

「えっ? あっ、えっ!?」

「早く!!」

「あ、ひゃいっ」

とヨロヨロと右下に向かって進んでいった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◇観戦会場◇

宮城陸の以外な行動に騒ぎ出す観戦者達。

殆どの観戦者達は、岩手・山形・福島のどちらかが脱落(しぬ)と、予想して賭けていたので無理もない。

家族の参加者以外に自分の命を投げ出して他人を救うなんて事は殆どの観戦者には記憶にない出来事だった。


1人がスクリーンを見て叫ぶ。
「待て、まだ判らないぞ!」

観戦者達は宮城陸が、観戦者達から見て右下……岩手拓巳を追いかける様に移動していた。

宮城陸の移動速度は、普段の全力疾走には程遠いが、他の4人に比べて圧倒的に速いのだった。


今回、薬を入手するための殴り合いには、ならなかったが、命を賭けた競争に発展して、会場は更に湧いた。

だが、岩手拓巳と宮城陸の距離は開きすぎていた。
観戦者達は、ギリギリ間に合わないであろう宮城陸を見ながら、盛り上がっていた……。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


青森海斗は、一番始めに解毒薬のある小部屋に、たどり着いた。
そこには、腰掛け椅子とドリンクホルダーが有り、ドリンクホルダーの中にガラス製の解毒薬が有った。

ガラス瓶には、真ん中に黒い線が引いてあったのだが、青森は気にも止めないで解毒薬を飲み干す。

「はぁはぁ、助かった……あと一部屋だ……ん? 扉が開かない……」

すると、部屋には小さな音量のアナウンスが流れ出していた。

『おめでとうございます……念のため完全に解毒薬が効くまで、安全なこの部屋で御待ち下さい。』

「ふふっ……そうか……解毒薬を飲めなかった奴が自棄を起こして殴り掛かる事も出来ないか……まあ俺なら返り討ちにするんだけどな……じゃ休むとしますか……あと一部屋だ……」

……
…………

山形葵も必死に小部屋に転がり込んだ方だ。

他を確認する心の余裕は無かった。

ただ、スタートに出遅れた福島美月がどっちに向かって追い掛けたかのかなと思っていた。

そして、宮城陸が一番小部屋に近い所に居た……彼は間違いなく生き残るだろう……そして次の部屋も生き残ると思う……恐らく彼を味方に付ければ自分の生存率は高くなる……身体を使ってでも彼を味方に……

と解毒薬を飲み干した山形葵は考えていた。


……
…………


福島美月は泣いていた。
あのアナウンスの後、全員が機敏に動いた。
私1人だけが、出遅れて脱落したのだと気づいて、絶望した。

そんな時、あの人が助けてくれた……
正直あの人は何処と無く怖い感じがする……だから少し距離を置いていた、なのにあの人は私に解毒薬のある部屋を譲ってくれた……
私は、次の部屋からどうしたら良いのだろうかと悩む……

解毒薬を飲んで暫く経つと、小部屋のドアが開いて、
『次の部屋にお進み下さい』
とのアナウンスが聞こえた。

私は、言われるがままに部屋を出た。
そして、私は衝撃に襲われたのだった。

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