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異世界に巻き添え召喚されました 作者:鹿鳴館

三章

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99#さようならガル

 ランディside

 日本に来たと言う衝撃の事実に一同驚いている時、だだ1人日本を知らないリリスが凶行に出た。

「凄い……夢の世界みたい……手を洗う所も真っ白で綺麗……」

 パチャパチャ……
 リリスは洋式便器の中に手を突っ込んでいた。

「あっ リリス!?」香織が驚く。

「リリスっ! そ、それは……むぐぅ……」
 マーニャはランディによって口を塞がれた。

「マーニャもう手遅れだ……黙っておこう。知らない方がリリスたんのためだ……」

 ガルはリリスに向かって合掌している。
「ちーーん」

「でも、いずれ気付くわよね?」
 香織が突っ込む。

「その時は、その時さ……」
 開き直るランディ。


「しかし何故停電している? 何があった?」
 ガルは既に明かりのスイッチがonなのを確認していた。


 1人はしゃぐリリスが、扉を勝手に開ける。
 スーー……

「凄い……こんな扉はじめ、きゃあ!」

 扉を開けた途端に2体のゾンビが、襲ってきた。

「リリス!」
 ランディがリリスに、駆け寄ろうとした時、ゾンビの眉間にダガーが1本ずつ突き刺さった。

「香織、俺と同じタイミングって速くないか? もうビックリ仰天」

「だってガルはダガーは装着してないじゃない、私は足と腰につけてるし」

 香織は脹ら脛に2本、腿に2本、腰に2本のダガーを装着していた。


「ふえぇぇぇビックリしたぁ、ガル、香織ありがとう」

 しかしこの時、ゾンビの体液がリリスの口に入った事は誰も気付かなかった。


 ≡リリス ゾンビウイルス感染から 0時間≡


 全員多目的トイレの外に出ると、綺麗な廊下が続いている。

「ここは……デパートか?」

「う~ん……まだ判らないが、床や壁を見る限り築年数は浅い……3年未満って所だな……」


 ここは店舗が1階~3階、駐車場が4階と5階にある中型複合施設で、この施設は殆どゾンビに覆われている。
 この中で人間が生存しているのは2店舗分のみとなっていた。
 数日前ならもっと大勢の人間が生き残っていたのだが、食料の涸渇により、一か八かの賭けで1階の食料品売場に乗り込んで、ゾンビたちの餌食になってしまった。
 今、生き残っている2店舗内の人間達は、食料関係の店舗だったから、今まで生きているにすぎない。


 ランディ達は3階部分に居た。

 時間帯は昼間のはずなのに、建物の構造上外からの光が入りにくくかなり暗い。

 そんな中「此だけの施設なら書店が在るだろう、先に行きたい」とガルは言う。

「んじゃ、僕は食料雑貨かな……ガル、ホームセンターも行きたいから、地図買っておいて」とランディも言う。

「私は衣料品が欲しい! 香織さんもそうでしょ? リリスに似合うのも探して上げる」

 ゾンビに襲われたばかりなのに皆自由人だった。

 そんな会話を聞きつけてか、10体近いゾンビがランディの方に歩み寄ってきた。

 身構える女性陣を片腕でランディが遮る。

「試したい事が有るんだ……死に属する者よ、無に帰れ」

 なんとゾンビ達は全て淡く光出して灰になってしまった。

「ええ~~!?」
 リリスが驚きの声を上げている。

「うん、日本のゾンビもカテゴリーはアンデットモンスターだね」

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ガルが書店で立ち読みしている間、ランディは輸入品が豊富なカ○ディに立ち寄っていて、両膝を付いてうなだれている。

「ガーン! 僕、日本円持ってない……」

「お兄ちゃん、もうこの施設は機能していないから勝手に持っていったら?」

 その言葉にランディは「マーニャ! 僕はマーニャをそのように育てた覚えはありません!」

「うん、私はお兄ちゃんに育ててもらって無いもの……でも、これから夜の私なら育てても良いのよ?」

「そうだ、ガルに相談しよう」
 マーニャは無視された様だ。


 ガルに相談したら、ランディは20万円を貰って領域調味料を中心に大量に買い込み、買い物を済ませた。
 もちろん紙幣は別物だった事はランディは知らなかった。


 そして、ランディと合流したガルは爆弾発言をした。

「ランディ、この日本はエネルギー事情以外は、ランディと香織の知る日本と大差ない」

「エネルギー?」

「そうだ、ソーラーパネルが異常に発展してると思えばいい。で突然なんだがランディしばらくお別れだ」

「「「は?」」」

 突然の台詞に『は?』としか言えなかった。


「俺は今までの事をカーズとアーサーに伝えに行く……次に『日本』に来た時に、待ち合わせ出来るように約束してあるんだ。地図を見たら該当の住所は在った、本当はみんなで活きたいが、3人も居るしな……それじゃ合流したらカーズとアーサーを連れてくるから。くくっ彼奴等……ランディが女連れなんて知ったら驚くだろうなぁ」

 と言いながら空を飛んで出発した。

「……行っちゃったね」

「ああ……逝ったな」

 ランディはガルが見えなくなる迄、空を見つめていた。


「でも、お兄ちゃんの仲間が来たらどうなっちゃうんだろ?」

香織がマーニャの問いに答える「性格は問題無いはずよ、ランディとガルの仲間なんだから……」

「香織さん、問題児が4人になっても問題無いって言える?」

「…………」

リリスが口を挟む「でも、ランディとガルだけであの強さだよ? みんな来たらどうなるのかな?」
リリスはランディとガルだけで、あの『ペタストラム』が逃げるシーンを思い出していた。

「たしか4人パーティの時は、アーサーさんって人が前衛攻撃型で、ランディが前衛補助型で、カーズさんって人が後衛攻撃型、ガルが後衛補助型って言ってたわ」

「補助型2人であの強さは、おかしいよね?」

と、女性3人は話し込んでいた。


 しかし、ガルとの別れはあまりにも、あっさりとしていた。


≡リリス ゾンビウイルス感染から 4時間≡

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 渡side


 古都成誠は密室(トイレ)に籠り、1人で怒鳴っていた。

「何故だ? 何故なんだ! 全てが上手く行く筈だったのに……何でだ!? 邪魔者は排除したのに、何で岬は僕に振り向かないんだぁぁぁぁぁ!!」

 いくら密室とは言え、防音ではない……誠の声は当然外に漏れる。

 そして偶然近くを歩いていた美鈴に誠の声は届いた。

(邪魔者は排除したですってぇ……まさかこの男……渡さんを)

 美鈴は直ぐに岬にこの事を伝えた。

 岬は美鈴の話を信じた。
 岬は誠の行動に不自然な点があって、可能性の1つとして、疑っていたからだ。


 岬と美鈴は、直ぐに誠を問い詰め責めた。
 
 気弱で線の細い誠は女性2人の罵声と暴力にあっさりと屈して、追い出されたのだった。

 その時の誠はブツブツと君の悪い声で呟いていた。
「岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物、岬は僕の物…………」

 ……
 …………
 ………………

 岬と美鈴は渡の残した道具のお陰で、ゾンビに出会っても生き延びる事が出来ていた。


 そして、渡が植えた二十日大根が収穫の時期になった頃、突然の1人の男が現れた。

 その男はガリガリに痩せこけ、目はギョロギョロとしていて、無精髭を生やしていた。

 2人とも、この男の正体が誠だと気づかなかったが、声を聞いて気づいた。

「ゾンビになろう、一緒にゾンビになるんだ、そうすれば僕達はずっと一緒だ、ずぅぅぅぅぅぅっと一緒だぁぁぁぁぁぁ!!」

 大声と共にアルミ鍋を取り出しガンガンガンと叩いて音をだす。

 大量のゾンビは、音に反応してやって来た。


 瞬く間にゾンビに囲まれていく……余りの数に対処の仕様がない。

 誠は既にゾンビ大量のゾンビに呑まれている。


 2人がゾンビに捕まり、命を諦めた時、事は起きた。


 ジリジリリリリリリリリリリリリリリリ……

 突如目覚まし時計の音が鳴った。


 目の前のゾンビ以外は目覚まし時計の音に反応して、そちらに歩き出す。

 そして、手薄になったゾンビ達の上半身に次々とネットが被されていく……

「あ、あぁ…………」岬はこの様子をみて、自分が助かった喜びより、彼が生きていてくれた喜びの方が勝っていた。

「ああ……わ、渡さん……グスッ……」

 渡は優樹菜と言う助手を連れ、次々とゾンビを拘束する。

 そして、いくつかのゾンビネット、ゾンビハンド、をその場に棄てて、脱出に成功した。


 誠はこの後、ゾンビになること無く、全身食べられて人生を終えた。


 安全そうな所まで避難したら、岬と美鈴は誠の事を話、自分を責めるように詫びた。

 あまり他人を信じなくなってしまった渡だが、彼女達の話は信じた。



 その夜……岬と美鈴が渡るの所にやって来た。
 
 岬と美鈴は渡に昼間のゾンビに傷つけられた事を告白した……そう2人は間に合っていなかったのだった。

 岬と美鈴は渡を真ん中にするように座って、寄り添い、たくさん……たくさん会話を重ねた。

 まるで思い残す事が無い様にと……
 そして、2人は渡に最後の思い出を要求した。

 渡もそれに答える様に、3つの影が1つに重なっていった。


 結局2日経過しても、3日経過しても、岬と美鈴はゾンビに変化しなかった。


 しかし、この4人が渡の異常さに気づくのはもう少しだけ、先の話であった。

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