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Chapter:9 閑話休題、孤島にて
Episode:99
「その旅行ってさ」
「うん」
 相槌をうちながら、何があったか思い返しておく。
 けど訊かれたのは、ぜんぜん別のことだった。

「シルファ先輩、どうだった?」
「どうって……?」
 何を言われてるのかが分からない。

「だから、シルファ先輩の様子。ヘンだったりしなかった?」
「ヘンっていうか……優しいけど、怒ってた……かな?」
 おおむねよく面倒を見てくれて、お姉さんみたいだったけど、たまに近づけないほど怒ってたのを覚えてる。

「うーん、じゃぁやっぱりあの噂、ホントだったのかな?」
 話を聞いたナティエスが、首をかしげながら言った。
「噂って……?」
「タシュア先輩とシルファ先輩が別れた、って噂」
 どうやら寮で、仕入れてきたらしい。

「どっからそんな話、出てきたのさ」
「なんかいろいろ」
 そう前置いて、ナティエスが噂の内容を話し始めた。

「最初シルファ先輩が、激怒して学院出てったらしくて」
 旅行に行った、その日のことだろう。あのときはものすごい怒り方で、問答無用で連れて行かれた。

「しかもそのあと、シルファ先輩は行方不明。そのうえタシュア先輩も、単独でどっか行った上、独りで帰ってきてる。だから……って」
 まくしたてるナティエスに、シーモアが突っ込んだ。

「でもそんだけじゃ、別れたって証拠にはならないじゃないか」
「それはそうなんだけど……でもルーフェも、シルファ先輩怒ってたって言うし」
 ナティエスの言葉に考え込む。

 シルファ先輩が激怒してたのは事実だけど、行方不明っていうのはあたしがシュマーの島へ誘ったからだ。それにタシュア先輩とも、その島で顔を合わせてる。
 ただ会った瞬間いきなり物が飛んだから、ケンカしてるのは間違いなさそうだった。
 けどそれが、別れるってとこまで行くだろうか……?

 悩んでる横で、ナティエスがさらに噂を披露する。
「あとね、タシュア先輩が浮気した、って話もあったかな」
 さすがに、シーモアと顔を見合わせた。

「そういうタマかい、あの先輩」
「違うと思う……」
 上手く言えないけどタシュア先輩、そういうことはしない気がする。
「あたしもそう思うんだけど」
 そこで一口ジュースを飲んで、ナティエスが続けた。

「タシュア先輩が、年上の美人と出かけて帰ってくるの、見た人がいるって。だからきっとタシュア先輩が浮気してて、気づいたシルファ先輩が激怒して、別れたんだろうって」
「全部違うと思う……」
 なんだか腑に落ちない。なにより、「年上の美人」というのが、何か引っかかる。

「うーん、ルーフェ的にはやっぱりそう思う? でも見た人多いって言うし……」
「どんな人か、聞いてないのかい?」
 シーモアに訊かれて、ナティエスが思い出すような顔になった。

「えーっと確か、年上で美人でグラマーですごい色気あって、人妻で金髪?」
 なんか心当たりがあるのは、気のせいだろうか。



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