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Chapter:8 閑話、屋敷にて
Episode:84
◇Saliya

「あれでだいじょぶかしらねー?」
「おばさま、心配しすぎですわ」
 本当にこの方は、何にでも首を突っ込む方。しかもそのほとんどが、厄介ごととセット。
 ご当人は「向こうから厄介ごとが来るだけ」と言うけれど、私にはわざわざ集めているようにしか見えませんし。

「だいいちこういうことは、当人が試行錯誤して覚えるものでしてよ? それをわざわざ手助けなんて、物好きにもホドがありますわ」
 けどおばさま、今日はうまく切り返してきて。

「だからって、タシュアが自力で分かると思う?」
「それは……」
 さすがにこれは、イエスとは私も言えないのが。

「ほらね。だいいちあのままじゃ、シルファが可哀想よ」
 この辺もまぁ、言いたいことは分かるのですけど。

「それにしたって、事態を余計にややこしくする必要はありませんわ」
「あら、あたしそんなことした?」
 一事が万事これなのが……。

「先ほどのやり取り、もうお忘れでして? おばさまがタシュアさんを、おかしな言い方でお連れになるから、さらに混乱したんですのよ」
「そんなこと言ったって、ああでも言わないと動きそうになかったんだもの」
 言い訳の仕方も、子どもじみてますし。

「おばさまが面倒くさがりなのは承知してますけど、だからって任務と称することはないでしょうに。だいいちこれの、どこが任務になりまして?」
「そう? やっぱならないかしら」
「なりません」

 いつもこの調子。尻拭いするほうの身にも、なっていただきたいもの。なによりこんなこと、他人が口を突っ込むことではないでしょうし。

「それにしても……冷めてるというか枯れているというか、変わってるわよねぇ」
 おばさまに変わってると言われたなんて知ったら、タシュアさん嫌な顔するでしょうね。私だってこれは嫌ですもの。
 もっともご当人はそんなこと思ってもないようで、話は続いていて。

「ほら、あの年頃の男の子って、良くも悪くももっと女の子にがっつているものじゃない?
 ましてや、シルファのみたいな可愛い彼女がいたら、余計だと思うんだけど」
「私に訊かれても困りますわ。そういうことは、当人に訊いていただかないと」

 ホントにおばさまにかかると、どの子もまとめて我が子扱い。いったい何人、子供を抱えれば気が済むのやら。

「それにしても、今回のことはやりすぎでは? おかげでずいぶんな出費でしてよ」
「あらそぉ? 何ならあたしのとこから、引いといてちょうだい」
 案の定、まったく考えてらっしゃらないし。

 出費というのは、タシュアさんを連れてきたことではなくて、学院と交わした契約のこと。何をどう思ったのかシエラの上級傭兵を、もうひとり卒業まで丸ごと借り上げるなんて。
 しかもこちらの依頼がない時は、学院は対価を取って派遣して構わないというのだから、一方的にこちらが不利。

「タシュアさんの件だけでも驚きましたのに、もうひとりなんて。そもそもこんな契約、学院のほうも前代未聞とおっしゃってましたわよ?」
「いいでしょ、別に。それにシルファとセットじゃなきゃ、タシュアが可哀想だし」

 思わずため息。
 そんなことだろうとは思ってましたけど……本当にそれだけというのも、振り回される側としては複雑なもの。





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