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Chapter:7 孤島にて
Episode:79
「シルファさんが旅行に出られたのは、ご存知ですわよね?」
「ええ。ですがそれが何か?」
 たしかに勧めたのは自分だが、シルファ自身が決めたのだ。幼児ではあるまいし、自分が口を出すべきことではない。
 だがサリーアは、やれやれというようにため息をついた。

「何か言いたいことがあるのでしたら、はっきり言っていただきたいですね。人外のシュマーはともかく、他人の頭の中などというものは、ふつうは理解できませんから」
 こんなことで連れて来られた挙句、よく分からない話を聞かされるのではたまらない。手をつけた軽食だけ食べ終えたら、さっさと帰るのが吉だろう。
 タシュアの考えを知ってか知らずか、カレアナがまた横から口を挟んできた。

「だからね、シルファがうちの子連れて、旅行に出たのはいいとして。
 あの子が言うにはその旅行、アヴァンからここまで延々、半月近くかけて南下したらしいわよ?」
「そうでしたか」
 大陸沿岸を縦断は初耳だが、だから何だと言うのか。
 ただカレアナのほうは、タシュアの答えに驚いたようだった。

「まさかとは思ってたけど……こういうのは、久しぶりに見たわねぇ」
「そうでなくては、こういうことにはなりませんわ」
 女性2人のやりとりが、どうにも気に入らない。説明不足にもほどがある。

「だからね、タシュア――」
「おばさま、私が」
 何か言いかけたカレアナを、サリーアが制した。説明は自分がする、ということだろう。
 正直タシュアにしてみても、そのほうが楽だった。常識をわきまえないルーフェイアの母親は、脱線の連続で説明の入り口にさえたどり着かない。

 金髪の従姉が話し始める。
「タシュアさん、旅行に出かけられるときは当たり前ですけど、ホテルや何かを予約なさいますよね?」
「状況によりますが、基本的には。中には何も考えずに行く、無計画な人間も居ますがね」
 暗にカレアナのこと――以前やられた――を言ったつもりだったが、当人には嫌味は届かなかったようだ。

「私も、そういう方に心当たりはありますけど、今は別の話ですわね。
 ともかく予約をするのが常なら、シルファさんも当然、そうなさったと思われません?」
「そうでしょうね」
 意外な面も持ってはいるが、シルファはおおむね堅実だ。どこかの誰かのように、予約もなしで泊まろうなどとはしない。

 そして、気づいた。
――話が矛盾する。

 学院で確認したとおり、シルファの旅行は長期だ。
 そのすべてを計画なしで、というのも考えられなくはない。だがそれでは、かなり無理のある旅行になるはずだ。下手をすれば、野宿する羽目になりかねない。
 だとすれば発ったのは通話石で連絡があったの当日だが……かなり前から計画していたはずだ。

 そして何より、ルーフェイアの同行。
 いくら子供とはいえ、いきなり連れて行くのは無理だろう。当人自身ははどうにかなるとしても、急に人数が増えては、行った先のホテルや何かですぐに困る。

 何よりシルファは、そこまで無計画で無責任ではない。あんな小さい子を、野宿しかねない旅行になど、連れて行ったりしないはずだ。
 その辺から考えるに、やはり旅行は前々から、計画していたと見ていい。
 ひとつ引っかかることといえば、なぜルーフェイアと行ったのか、という点だが……。





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