ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:7 孤島にて
Episode:78
「サリーアと申しますわ。こちらを預かっておりますの。もっとも形だけで、実務は他の方がやってくださるのですけどね」
 たおやかに微笑みながら、ルーフェイアに似た金髪碧眼の、車椅子の女性が挨拶する。

「タシュア=リュゥローンと申します。お招きにあずかって、光栄ですよ」
 毒舌と皮肉の応酬をしながら、記憶を探った。サリーアという名は、もぐりこんだシュマーの通信網で目にしたことがある。
 現総領はルーフェイアの母カレアナだが……たしか、その片腕だったはずだ。

――まさか、半身不随とは思わなかったが。
 シュマーには、戦えなくなったものを切り捨てる印象があったが、少々違うようだ。

「まぁ。喜んでいただけるなんて、こちらこそ光栄ですわ」
「私は喜んでいるなどと、言った覚えはありませんが?」
 すかさずタシュアは返す。

「集団の是非はともかくとして、人の上に立つような方がまともに言葉も理解できないのは、かなり問題でしょうね」
「あら、そうでしたの? それは失礼しましたわ」
 平然とうそぶいてみせるあたり、このサリーアという女性、相当したたからしい。

「ともかく立ち話もなんですから、こちらへ。飲み物でも用意させますから。
 おばさまもいらっしゃいます?」
 タシュアを無視することはなく、だが話には乗らずに進めていく。

「シルファさんが何故ここへ来たかだけは、先にお話させてくださいね。荷物のほうはなんでしたら、お部屋のほうまで運ばせておきますわ」
「結構です」
 サリーアの申し出を断る。もとがたいした荷物ではないし、何より他人に触らせたくなかった。

「では、お持ちになったままで」
 学院からシュマーの船で直接来たため、タシュアは例の大剣を持ったままだ。
 だがそれを、彼女は恐れるふうもなかった。まるで見えていないかのように、ごく自然に振舞っている。

 甘く見ているのか、それともよほど自信があるのか。あるいは最初から諦めているのか。だが目の前の彼女の態度は、どれも微妙に違う気がした。
 いずれにせよ、かなりの食わせ者なのだろう。
(片腕と呼ばれているのは伊達ではない、ということですか)

 案内された部屋で示された席に着くと、お茶と軽食とが出された。
(おや、ありがたいですね)
 細身の身体の割に、食べるタシュアだ。

「お口に合うかどうかは分かりませんけれど、どうぞ」
「では、遠慮なく」
 口に運ぶと、材料も調理法も手が込んでいるのが分かる。

 毒の心配は、別にしなかった。最高権力者のルーフェイアとカレアナがここに居て、なおかつそういう気がないのだから、取り越し苦労になるだけだ。
 だいいち彼女らが本気なら、ここへ来る間にどうかなっている。

「それで、シルファさんのことなのですけれど」
 間をおかず、サリーアが話を切り出した。
「私に言われても困りますが? 先ほどの様子から見ても、シルファは自分の意思でここにいるようですし」
「……ホントにタシュア、あなた分かってないわねぇ」
 話を聞いていたカレアナが、また突っ込んでくる。

「あなたが何かを分かっているつもりなのは、分かりますがね。そのつもりとやらを、私に強要しないでいただけますか」
 女性二人が、顔を見合わせた。
 少し間を置いて、サリーアが訊いてくる。



Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。