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Chapter:7 孤島にて
Episode:77
 ちょうどこちらを向いている車椅子の女性と、話しているらしい背を向けた2人。長身の黒髪と小柄な金髪は、シルファとルーフェイアの組み合わせに間違いない。
 向こうが気づいて振り返ったときには、タシュアとカレアナはかなり近くまで行っていた。

 何故ここにいるのかと言わんばかりの、シルファとルーフェイアの表情。
(ずいぶんですねぇ)
 たしかにおかしな経緯で立ち寄ったが、それを言うならシルファも、ここに居る人物ではないだろう。

 とりあえず久々に顔を見たパートナーに、声をかけてみる。
「旅行はどうでした?
 それにしても、妙なところへ迷い込んだものですね。シエラの上級生ともあろうものが、ほいほい人の後についていくのは、どうかと思いますが」
 瞬間、シルファの表情が変わった。

(怒った……のですかね?)
 そんなことを言った覚えはないのだが。
 当のパートナーは、そのまま答えない。

「おやおや、話しかけられたのに黙っているとは、休みの間に礼儀まで忘れましたか?」
「――うるさいっ!」
 瞬間、シルファが手にしていたバッグが飛んできて、とっさに受け止める。

「なんで取るんだっ!」
「なんでと言われましても」
 条件反射を、どうしろと言うのか。
 そもそも会うなり物を投げるなど、理不尽にもほどがある。

「何を怒っているのかは知りませんが、ともかく落ち着いてはどうです」
「………」
 怒気をはらんだまま、シルファがきびすを返す。
 ルーフェイアがおろおろしていたが、母親がうなずいて見せると、急いでシルファの後を追っていった。

「八つ当たりされても、困るのですがね」
「ぜったい違うわよ、それ」
 カレアナが突っ込んできた。

「それよりも、ずいぶんと嫌われましたのね」
「そりゃ、そーゆーことしたんでしょ」
 なにやら女性2人が、盛り上がっている。

「客に自己紹介もせず、品定めですか。さすが殺人集団は、礼儀が行き届いていますね」
 タシュアの言葉に、初めて見る女性が小首をかしげてみせた。
「あら、よくお会いするから勘違いいたしましたわ。そういえば直接顔を合わせるのは、初めてでしたものね」

(やはり、私の存在はシュマーに知られていますか)
 彼女の言葉に思う。
 もっともカレアナが自分を買い取ったことを思えば、当然とも言えた。加えてシュマーともなれば、学院でこなしてきた多くの任務とその結果も、分かっているだろう。
 ただ自分の出自のことを考える、とあまり歓迎できない状況ではある。

(まぁもともとルーフェイアに声をかけたのはこちらですから、自業自得ですか)
 ふだんの言動は抜けたところがあるが、彼女とて仮にもシュマーのトップで、しかも戦場育ちだ。危機管理だけはしっかりしている。
 だとすれば、タシュアが訓練後に声をかけた時点で、何らかの行動は起こしているだろう。

(気まぐれの行動が高く付きましたかね)
 とはいえ、今更だ。
 目の前の車椅子の女性のほうは、タシュアの毒舌になにか感じた様子はない。やはりルーフェイアだけが例外で、シュマーはみな図太いのだろう。





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