ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:7 孤島にて
Episode:73
「すみません、あたし……」
「気にするな、食べよう」
 傾きかけた陽と、美味しいお菓子と、整った部屋。ここだけ時間が止まったようだ。
 そして、思う。このままここに居ようかと。

 もちろん、実際には出来るわけもない。ただそう思ってしまうほど、ひどく疲れていた。
 甘さを控えた、さくさくとした食感の焼き菓子。なのに、ひどく味気ない。
 一緒に食べているルーフェイアが心配そうな表情で、そんなふうに思わせてしまう自分が、さらに情けなかった。

「その……まだ、飲むか?」
 言いながら立ち上がって、答えも聞かずにお茶を継ぎ足す。
「ありがとう、ございます」

 それだけで、会話はまた途切れた。時折この子が何か言いたそうにするが、上手く言えないのか、すぐ下を向いてしまう。
 どうにかしないとと自分でも思うが、私もため息をついてあらぬ方を見るだけだった。
 と、ドアがノックされる。

「入るわよー」
 答えるより早く、先ほどの「おばさま」が入ってきた。

「母さん! もう、どうしていつもいきなり」
「あら、自分の家だもの、別にいいじゃない」
 その場で言い合いが始まる。

「けど、今ここ、先輩の部屋!」
「あらそうだったの? じゃぁ次から気をつけるわ」
 やり取りから察するに、親子喧嘩らしいが……。
 そこまでぼんやり思ってから、驚く。

「る、ルーフェイアの、お母さん?!」
「そうよ〜」
 あっけらかんと言われて、思考停止する。
 確かに似ている。同じような金髪だし、瞳の色もそうだ。年の差もまぁそうだろう。
 だが……。

「ルーフェイア、ホントにそうなのか?」
「はい……」
 小さくなって答えるこの子に、思わず同情した。これは確かに、「いい母親」とは少し違う。

「母さん、それで何の用?」
「えーっと、何だったかしらね」
 ルーフェイアがため息をついた。

「ならもう、いいでしょ……」
「良くないわよ。あぁそうそう、思い出した。サリーアが探してたわよ」
 言動に脈絡がなくて、ついていくだけでも大変だ。これでは周りは、振り回されっぱなしだろう。

「姉さんが? 何だろう……」
「何でもいいじゃない、早く行ってあげなさいな。あの子、忙しい子だしね」
 分かったというようにうなずいて、ルーフェイアが立ち上がった。
 それから心配そうに、私を見る。

「行ってくるといい。待たせたら、悪いだろう?」
「すみません、すぐ戻ります。
――母さん、先輩、困らせないで」
 釘を刺してから、ルーフェイアが部屋を出て行った。




Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。