ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
Chapter:3 ルアノンにて
Episode:40
「いまどき走竜は、珍しいな」
「坂がけっこう急だから、コイツじゃないとダメなんですよ」
「なるほど……」

 たしかに急斜面は、そのほうが安全だ。
 イマドの案内で、知り合いだという竜舎へ入る。

「おー、来たか来たか。ほら、そこの使えや」
 気さくそうな男の人が、入るなり声をかけてきた。
 指差す先にはおとなしそうなのと、傷だらけで見るからに凶暴そうなのとが、用意されていた。

「案内と竜使いは要らないんだろ? 悪いがかき入れどきなんで、今言われても用意できないぞ」
「ええ、だいじょぶです」
 言いながらイマドが、おとなしそうなほうを指し示した。

「先輩、そっちのに。
 ルーフェイアは、俺といっしょな。ひとりじゃ乗れねぇだろ」
「え? いちおう、乗れるけど……」
「マジか?」
 驚く私たちに、ルーフェイアが答える。

「前線で、たまに乗ったから……」
「あー、それがあったか」
 話を横から聞いていて、はっとする。いま確かにルーフェイアは、「前線」と言った。

――だとしたら、やはり。

 学院内でも「少年兵あがりらしい」との噂はあったのだが、噂ではなく事実だったようだ。
 ただルーフェイアは、口をすべらせたことに気づいていなかった。振り返って竜舎の管理人を見てみたが、彼も向こうで走竜の世話をしていて、聞いていなかった。

 このまま知らぬふりで、黙っていようと思う。
 本人が自分の戦闘能力を嫌っているのは、一目瞭然だ。それに前線というのは私も任務で出たことがあるが、とても過酷で……正気でいられない者までいる。

 何よりあのタシュアでさえ、激戦の最前線でのことは、必要がなければ口にしない。
 そういう場所をうっかり口にして、この優しい子に思いださせたくなかった。
 ルーフェイアとイマドは、ほほえましい会話を続けている。

「まぁいいや、今からじゃめんどくせぇし。ほら、先に乗れよ」
「うん……」
 口でそう言いながらも、この子がためらった。

「どした?」
「この子、暴れない……よね?」
 さすがのルーフェイアも、凶悪そうな外見に恐れをなしたようだ。

「あー、コイツ見かけアレだけど、へーきへーき。よく言っといたし」
「……言葉が走竜に通じるのか?」
 思わず突っ込む。言葉が通じるくらいなら、暴れる走竜に手を焼く騒ぎなど、起こるわけがない。

「まぁ、細かい事はいいじゃないですか」
「いいのか……?」
 何か納得がいかないが、深く考えないほうがいい気はした。この後輩、何と言うか妙なところで、常人とかけ離れたところがあるのだ。

 ルーフェイアのほうはあっさり納得したようで、走竜に近づき、手をかけた。
 そのまま軽々とまたがる。乗っていたというのは、本当のようだ。

「先輩、行けます?」
「ああ」
 私も走竜にまたがった。傭兵隊に入っている学院生は、カリキュラムに入っているから、走竜には全員乗れる。





Web拍手 ←Web拍手です

FT小説ランキング  毎日OK:FT小説ランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票
 順位だけ見たい方はこちら

NEVEL Ranking  月に1回:NEWVELランキング“ルーフェイア・シリーズ”に投票


◇イラストいろいろです。随時募集中です♪◇
シエラ学院制服  Blue Ocean  ルーフェイア・シリーズ

自サイト美術室はこちら
掲示板はこちら。お気軽にどうぞ♪


筆者サイト
↑筆者サイトへ
最新話へのリンク、改行なし版等があります


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。