――あ、でも、少し違うかな?
この間は行きも帰りもシュマーの高速艇だった。
そう思うと、ちょっと楽しくなる。この列車に乗ったのは、イマドと一緒に学院へ来たときが初めてだった。
あれ以来、あたしの生活は一変した。
本当に、ぜったい無理だと思ってたことが叶って、夢みたいで……。
と、先輩が立ち止まった。
「あの……?」
「チケットだ」
それだけ言って、先輩が列車の切符を差し出す。
行き先は、首都のイグニールだった。出発時間はお昼過ぎだから、まだ少し先だ。
「――先輩」
「なんだ?」
少しひるんだけど、今を逃したらさすがに後がないような気がして、勇気を出してたずねる。
「あの、連絡だけ……してきて、いいですか?」
「え?
――あ!」
先輩が、初めて気づいたという表情になった。
「その……来て、平気なのか?」
――えっと。
平気じゃなかったら、付いて来れないと、思うんだけど……。
「えっと、あの、行くのは平気です。
でも……あの、一応連絡しないと、いけないと思って……」
「学院にか? それなら、私から言おう。そのほうがいいだろうから」
先輩、少しいつもに戻ったみたいだ。
「あの、そしたらあたし、知り合いのほうに連絡してきます」
どこへはともかくとして、いなくなること自体言わずに行方不明になったら、実家から捜索隊が出されかねない。
冗談抜きで、それだけはやめて欲しかった。
「――ルーフェイア」
先輩が少し視線をそらせて、訊いてきた。
「本当に……いいのか?」
「はい!」
これだけは、はっきりと答える。
どこへ行くのか、分からないけど。でもどこかへ旅行できる。それだけで嬉しい。
「――そうか」
先輩が、安心したように微笑んだ。
「連絡してくるといい。まだ出発までには時間があるから、そうだな――」
「あ、でも、すぐ終わりますから」
本当に連絡するだけだから、いくらもかからない。
「分かった。そうしたら、もう一度ここで落ち合って、少しゆっくりしてから昼食にしよう」
「了解です」
なんだかうきうきしながら、あたしは連絡するためにすぐ近くの、シュマーの隠れ屋へ向かった。
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